12day5
「はっはっはっはぁ」
体を地面に投げ出す、全身びしゃびしゃだ。紗枝も菜々美も同じように身を投げ出している。
「はぁ~」
菜々美があくびをし、目を擦る。疲れているのか眠くなってしまっているようだ。
「眠いなら帰ろうか」
どうせ濡れていても、歩いている内に乾くはずだ。
「やだ、菜々美、まだパパとママと遊ぶ」
そうは言っても眠そうな声なので、すぐに寝てしまうだろう。
「いや帰ろう、パパくたくたなんだ」
「あなた、そんなに疲れてるの」
紗枝が飛び起き、驚いたように聞いてくる。
「まぁね」
「なら早く帰ろうよ、あなた」
「パパが疲れてるなら菜々美も、はぁ~」
菜々美の言葉はあくび混じりだ。
「よしじゃあ荷物まとめて帰ろう」
「分かったよ、あなた」
「はぁ~い」
荷物と言うか、洗った洗濯物をリュックにしまう。全部乾いていた。
「それじゃあ」
帰ろうか、と言おうとしたのだが菜々美の頭は揺れ、目はとろんとしていた。そのためにリュックをお腹の方にやり、菜々美の前背中を向け膝をつく。
「ほら」
「………うん」
菜々美は体を僕の方に倒れるようにしてくる、なのでそれを背中で受け止め、手で支え背負う。
「よしって紗枝」
「いいなぁ、井上におぶられて」
「紗枝」
紗枝は羨ましがるようにこっちを見ている。だが名前を呼ばれ驚く。
「えっあっなに」
「帰ろうか」
「うん」
そうして拠点としている船に向けて歩き出す。だが紗枝は少し寂しそうだ。だから気合いをいれて、片手で菜々美を支え、もう片手で紗枝の方に手を出す。
「紗枝手を繋いで帰ろうか」
そう言うと紗枝はとたんに嬉しそうな顔をしてうなずく。
「うん、帰ろうよ」
そうして船に向けてのんびりと歩いていった。




