12day2
食事を終える。
「パパのご飯美味しかったよ」
「それはよかったよ」
「それで井上今日は何をするの」
その事についてはなにも考えていない。
「菜々美きれいな服着たい、パパ洗って」
そう言われ菜々美を見ると確かに汚れている。
「海があるなら川もあるよな、よし今日は洗濯しに行こう」
海辺を歩けば、海に続く川くらいあるだろう、今日の天気はわからないが夏のように暑いなら、どれだけ天気が悪くても1日で乾くだろうから、洗濯には向いているはずだ。それに洗濯なんてなかなかできないのでやれるときにやってしまいたい。
「あなた、わかった、なら私は荷物をまとめておくね」
「菜々美も手伝う」
「なら僕は川を探してみるよ」
せっかく双眼鏡を見つけたのだから使うことにする。そのために甲板に出て辺りを見渡す。ついでに付近に何かないかを探してみてもいいかもしれない。そう思いながら周囲を見渡す。
「はぁパパか」
探しながら菜々美について考える、当たり前ではあるが菜々美は僕の実の娘でも義理の娘でもなく赤の他人だ。だからパパと呼ばれるのは違和感しか感じない。
「それに結婚もしてないのに娘持ちか」
もとの世界では1人だった、恋人もいたことがないから当たり前ではあるかもしれないが。
「けどなんであんな娘がひとりでいるんだ」
そうは呟くがある程度は察しがつく。多分本当のパパは死んだか何かしてもういないのだ、それをあの娘は理解できずにたまたま見た僕をパパと思っているのだろう。
「まあどうしようもないか」
専門家とか医者でもないのでどうしようもない、けど見捨てることもできないのでこのままにしておくことしかできないだろう。
「あっ川あった」
西側に川がある、他にはなにも見つからなかったが。
「あなた、荷物まとめ終ったよ」
「パパ終ったよ」
「こっちも川見つけたから行って見ようか」
「わかったよあなた」
「うん」
そうして荷物を背負い、武器を用意し、川に向けて歩き出そうとした。
「パパ、ママ、手を繋いでいこうよ」
菜々美がそういうので、菜々美を僕と紗枝とで挟んで手を繋ぐ。僕、菜々美、紗枝の順番で手を繋ぎ、横一列で歩き出した。




