5day6
ホテルが段々と見えてくる、それにともない銃声も。
「おい、相棒どっかに捕まっとけよ」
「ああ」
道路にゾンビが多くなってきている、そこを突っ切るしかなさそうだ。
「こいつなら多少の障害くらいどうにかなるけどよ、ハンドルとられて、どっかに突っ込まない事だけ祈っとけよ」
ぶつかった時に舌を噛まないように口を閉じ、シートベルトがしっかりとかけてあるかを確認する。
「よっしゃ突っ込むぞ」
ゾンビが山のようになっているところに突っ込んでいく。ゾンビにぶつかる度に衝撃がくるが、止まることはない。
「うおっと」
かなりふらつくが、ある程度まっすぐには進めている様だ。銃声が止んでいる。
「後少しで切り抜けられそうだぜ、相棒」
衝撃が段々と来なくなってくる。ゾンビの数が減ってきているのだろう。
「うっしゃー」
衝撃がなくなる。
「ハンドルも快調、切り抜けたぜ相棒」
男がこっちを叩いてくる。
「よかった」
ホテルの駐車場が見えてくる、見覚えのあるバイクも止まっている。
「あれあんたのか」
「ああ」
「あれで来たからあんなに速かったのか」
駐車場では石井が手招きしている、そこに男は近づけ停める。止まった後で降りようとしたときに。
「そうだ、名乗ってなかったな。斎藤だ」
「井上」
「そうか、助かったぜ井上」
そう言われ、タンクローリーから降りると即座に衝撃。
「井上、ちゃんと帰ってきてくれた」
「ただいま紗枝」
「おかえり井上、怪我とかしてない」
「痛みがないからしてないと思うけど、そういう紗枝は」
「あんなやつらに触らせるわけないから、怪我なんかないよ」
紗枝も無事だったようだ。そこに石井が来る。
「助かった、これで発電機を動かせる」
「発電機何てあったんだ」
「ああ、これで電気か使える」
斎藤と他数名がタンクローリーから大きなホースを伸ばす。多分中身をどこかに流すんだろう。
「これで食料事情はかなり改善する、そこでだ余剰食料を使ってパーティーをやるんだが参加していくか」
「参加するけど、それって」
「ああ、元々計画していた。何か気分発散させないと色々危険だからな。まあいい楽しんでくれ、3階でやってる」
そう言われ、紗枝と一緒に3階に向かう、楽しそうな声が聞こえる。だが、3階の踊り場で止められる。
「おいあんたら、入りたかった、ら」
紗枝がリボルバーを抜いている。
「バ、バーサーカー」
「井上の邪魔するな」
「は、はい、どうぞ」
3階に入る。かなり陽気な音楽が流れ、缶詰やらジュース、酒などが振る舞われている。
「井上何飲む」
「何かジュースでも」
年齢的には酒でもよかったのだが、飲む気はなかった。
「分かった」
紗枝が少し離れる。陽気な音楽を聴きながら、置いてあった椅子に座り体を休める。何だかんだと疲れきっていた。
「井上貰ってきたよ」
紗枝が缶ジュース2本とビスケットの箱を持ってくる。
「食べようか」
ビスケット、缶ジュースを開け、乾杯する。
「お疲れさま、紗枝」
「お疲れ井上」




