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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

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20 文化祭一日目③


 それからみんなで、いろんなところを回ったり、食べたり過ごした。

 意外な事に他のグループと一緒になるという事があまりなかったのよね。

 まぁ、みんなはみんなで楽しんでるんだろうなと思う。

 被ってもすぐ別のところに行ってしまうしね。

 でも実際かなり楽しいのよね。私も結構はしゃいだ方だと思う。

 ラストの方では私達全員何かしかのケモミミカチューシャを付けているもの。

 どこかの遊園地の帰りみたいな状況になっている。

 普段なら恥ずかしがって絶対につけないであろうジル様がウサ耳だもんなぁ。

 ロップイヤーみたいなぺたんとしているのじゃなくて、バニーガールっぽい縦長の耳だもん。意外と似合うわ。

 ちなみに私が犬。マーガレットが鹿(ツノ付き)、トミー様とカイラ様が猫だ。

 何というか、居酒屋でお酒飲んだテンションとかの感じよね。あ、お酒は飲んでないわよ。そもそも出してないし。


 そんなこんなで、今日何度目か分からない屋台広場へやって来た。

 そこではなぜか凄く騒ついていた。

 気になって、お店の人に聞いたら、スタンプラリーを達成させた人がいるんだそうだ。

 「へぇー。ちなみに何人ですか?」

 「何人って、そりゃああんなの出来るのなんてそうそういないよ。一人だよ」

 うーむ。どっちなんだろうか。お姉様かソフィアか。

 「噴水前広場の方にいるから気になるんなら行ってみたら?」

 という事でみんなで見に行こうという話になったので行ってみると、案の定お姉様だった。

 なんか表彰式みたいのしてるけど、お姉様の改造した制服のせいで独裁国家の演説みたいな感じになりそう。

 「生徒会長…おめでとうございます」

 「ありがとう。こういう催しは本当に大好きだわ」

 「生徒会長は三年連続一番乗りですが、他に感想とかございますか?」

 「そうねぇ…。年々食べ物の種類が増えてるのはいい事だと思うのだけど、同じような食べものを売っているところが多いのは改善の余地があるわね。でも、料理の質は確実に上がってきているから更に精進する事を期待するわ」

 「ありがとうございます。他にはありますか?」

 「え? 他……そうねぇ。もう少しスペースを取るといいわね。一般開放の時はより混雑する可能性があるわね。あと、飲食スペースも少ないから、明日までに増やしておくように。あとは…似たようなお店が固まってるから分散して出店しなさい。なんか買う時気まずいから」

 「なるほどです。他にはありますか?」

 「え? えっと……そうね……。来年は一般客として来るから頑張るのよ」

 「来年もお越しくださるそうです。他にはまだありますか?」

 「もうないわよ」

 あのお姉様が戸惑うとは…。あの司会の人中々やるわね。

 そう感心していたら、いつのまにか横にソフィアがいた。

 「くっ…先を越されたわ」

 「あらソフィア。もしかしてソフィア、全部達成しようとしていたの?」

 「あと八十くらい残ってるんだけど、流石にギブだわ。苦しいもの」

 「これどう考えても一日で達成できるものじゃないでしょ?」

 というか、そんなによく食べられたわね。

 一緒に付き合っていたであろう生徒達は全員顔が真っ青なんだけど。別にソフィアに無理して付き合う必要無いと思うんだけどな。

 「明日明後日もあるでしょ?」

 「いやぁ、私も色々あって難しいのよね…」

 まぁ、二日目は演劇があるから大変なのは分かるけど、そんなつきっきりじゃないでしょうに。

 なぜかマーガレットがうんうん頷いているし。マーガレットはソフィアの言う事になんでも肯定しちゃダメよ?


 いつの間にかクラスメイト達と合流していたらしく、周りにはレオナルドやウィリアム達がいた。

 それに気づいたジル様達が苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 「おやクリス。ここで会うとは奇遇ですね。この後一緒にどうですか?」

 「まぁ待てレオ。たまには俺と廻ってもいいよな。食べ物の事とか聞きたいし…」

 「えぇ…。僕もクリスと一緒に廻ってチョコバナナ食べたいな」

 「いえいえ女神様には私が付き随うべきだと思うのですが…」

 攻略対象が珍しく集まっているわね。残念だけど誰とも廻る気はないわ。

 だってもうお腹いっぱいなんだもん。そんなに食べられないわ。

 それに廻るんならみんなで回ればいいと思うのよ。

 ただこの人数で廻ると迷惑かけちゃわないかしら?

 そう思っていたら急に手首を掴まれれ雑踏の中へ連れ込まれてしまった。

 「ちょ!」

 そのまま引っ張られる事一、二分。

 少し開けたところで立ち止まるので、引っ張った主へぶつかる。

 周りにはハナミズキの木が一列に植えられている。なんというかデートスポットみたいな場所だ。


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