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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

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17 文化祭の準備④


           *      


 文化祭まであと数日と迫っている。

 今年の文化祭は雪の影響で五月の頭に開催だ。前世の日本ではゴールデンウィークに当たる。

 学園の敷地では、桜は葉桜になっているが、ハナミズキの木は鮮やかなピンク色の花を咲かせている。

 また、園芸部が手入れしている庭園の方では、チューリップやネモフィラなどが色とりどりに咲いている。あそこだけ茨城の海浜公園みたいになっているのよね。

 秋はコキアがいっぱい植えられているし…。

 もう少ししたらツツジやフジが花を咲かせるし、あそこも解放したらいいのにと思ったりする。

 四月下旬の今は大分気温も上がってきていて、少し汗ばむ日もある。

 だからだろうか? 暖かくなると、変な人が増えるのよね。


 「あの…レオナルド殿下にシェルミー様……」

 「どうかしましたかクリス」

 「どうかしましたか? クリス様」

 これを聞いてしまっていいのかどうか…。

 「あの…失礼を承知でお伺いしますが、どうして女子の制服を着ているんですか?」

 「あぁ、これですか。役に慣れるためにも普段からスカートを履いておくべきだと思いましてね。いやぁ、なかなかに開放感があっていいですね」

 「私も役に徹するために、心がけているんですのよ」

 もしかして目覚めちゃったのかな? どうなんだろ? 文化祭が終われば元に戻るのかな?

 レオナルドは兎も角、シェルミー様の努力は凄いね。背の高いジル様がもう一人いる感じだもん。

 服装や髪型はもちろんの事、口調、声の出し方、抑揚、メイク、姿勢、歩き方と完璧にいいところのお嬢様になっている。

 人ってここまで変われるもんなんだなぁと関心する。

 そんなシェルミー様を見て、ジル様は複雑な心境なのか苦い顔をしている。

 一応役柄的にジル様が指導していたんだけど、まさかクローンかなってくらいそっくりになるとは思わなかったのだろう。

 ジル様の癖でもある扇子で口元を隠す仕草なんて完璧だもん。

 しかし、よく一ヶ月であそこまで髪の毛伸ばしたね。ウィッグなしでもいけそうだもん。

 というか、レオナルドも伸ばしてるんだよね。可愛いヘアピンなんか付けちゃってまぁ。

 これは演劇期待できそうだけど、レオナルドの評判が下がっていないかが心配だわ。

 「そういえば、最近ソフィア見ないけど」

 「何やら放課後にやる事があるとかなんとか。まぁ、ここまで出来ているから、大丈夫だとは思うけど…」

 「いや、監督なんだし、言い出しっぺなんだから…」

 不安に思っていたら、鼻歌交じりにソフィアが戻ってきた。聞いたことのあるメロディだな。

 「ソフィア、離れてていいの?」

 「あぁ、ごめんごめん。私もちょっと忙しくって…。でもちゃんと確認してるのよ」

 「それならいいけど…」

 「期待してなさい。すっごいのやるからね」

 「うん」

 ちなみに広報の役割として、ポスターやらパンフレットなんかを描いて貼ったら盗まれるくらい話題になっているそうだ。

 流石に貼り直したらそう言うことはなくなったけど、会議室にもらいに来る生徒がいたのにはびっくりだったわ。

 しかし文化祭直前の学園っていいよね。非日常な感じがあって。

 廊下には至る所に飾り付けがされていて、廊下や教室では作業が続いている。歩きづらいのがなんとも。

 こう言う時は先生も楽しいんだろうか? 結構浮かれてたりする。

 うちの担任なんて真昼間っから顔を真っ赤にさせてるし、副担任も別の意味で顔を赤らめているし。仕事しなくていいのかしら?

 今日も学園内をチェックしながら回っているのだが。

 「あれ、アンジェさんその格好は?」

 透けてないけれど、丈の短いメイド服を着ている。そして頭にはメイドキャップではなく、猫耳のカチューシャをつけている。尊い。

 「あぁこれですか…」

 そういって猫耳カチューシャを外して私の頭につける。

 「やはりクリス様の方がお似合いですね」

 「あの……」

 戸惑っていると、苦笑しながら説明するアンジェさん。

 「いえ、うちのクラスはメイドカフェをすると言う話になりまして…」

 「あぁ…なるほど。だからアンジェさんもいつもと違うんですね」

 「え! えぇまぁ…そうですね。ほほほ………」

 ん? 違うのかな?

 「それでどういう感じなんですか? やっぱりケモミミメイドカフェな感じですか?」

 「大体合ってますね。男子生徒がメイドを。女子生徒が執事をやります」

 あぁ。よくあるパターンのやつだね。大体そこで目覚めるんだよね。

 でも、メイド服って既製品でも意外と高いのよね。全員分揃えられないと、交代時に着替えるんだろうけど、サイズとか合わないと着れないから、既製品しか入手できない場合は着れないかわいそうな男子とか出てくるのよね。主に腕とか肩幅とか、あと背中もそうね。

 そういう場合は裏方だったりするんだろうけど…。

 まぁ今の私にはそういう障害とかはないから、好きな服を着れるってものよ。ホント転生してよかったわ。

 そんな事を話していたらなぜか周りに人だかりができていた。何で?

 もしかしてこれかなと思い、猫耳カチューシャを取ろうとしたら、一斉に止められた。

 「取らないで!」「お願いそのままで」「それを外すなんてとんでもない」「あぁ…なんて尊いの」「かわいいよぉ…」「お持ち帰りしたいくらいかわいい」「何で猫耳生えてないんだろうな…」「尻尾もあれば完璧だった」

 みんなして絶賛してくれるのは嬉しいけれど、これ抜け出せないんだけど。困ったわ。


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