06 クリスのメイド服姿が見たいんだそうだ③
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「うっま! え…なになに…ソフィア様は毎日こんな美味しい料理食べてるんですか?」
「そうよー」
「ソフィア嬢が羨ましいよ」
「本当ですわね。是非ともうちにお嫁さんとして来てほしいですわ」
「三人いるから丁度いいね」
「よくありませんよ。クリスは私のですよ」
「そうよ。誰一人としてあげないわ。というか勝手に話を進めないで」
みんな、料理に絶賛するあまり、突拍子もない事を言い出す。貴族って基本こういうものなんだろうか?
「ところで、クリス嬢達は食べないのかい?」
「後でいただきますよ。私達は振る舞う側ですので」
「そうね。メイドが一緒の席で食べるわけにはいかないもの」
「と言う事でお気持ちだけ頂戴いたします」
「それは残念ですわ」
「アーンしてもらいたかったけど、仕方ないね」
「そう言う事なら仕方ありませんね」
「そうだね。今日はわがままを言いすぎたようだね」
皆が納得しているところ悪いんだけど、笑いを堪えているソフィアさんや、もう少しポーカーフェイスを心がけたらいかがでしょうかねぇ?
しかし、マーガレットとカリーナちゃんの意趣返しは意外だったわ。
私ばっかりかわいいかわいい連呼されて拗ねてるとかじゃないよね?
その後、四人は満足して帰って行った。
まぁ、帰るまでにチェキを撮って渡したり、メイドカフェでよくやるゲームなんかをやってあげたら、思いの外好評だった。
別に前世でそれにハマっていたワケでは断じてないわよ。
どっちかというと女装してメイドさんの格好する方が好きだったからね。
まぁ、参考に月一で通っていたのはハマってたって言わないわよね?
しかし、イヴ様は兎も角、シェルミー様とジル様が「にゃんにゃん」言いながらゲームに興じていたのはいろんな意味で凄かった。必死で笑いを堪えてて大変だったわ。
レオナルドはレオナルドで、ルール無視してあれこれして欲しいとねだるし。申し訳ないけど、ルールを守れないお客様は出禁よね。
マーガレットも意外とノリノリ。というか私より詳しいし、なんなら主導権握ったまであったわ。あの動きは経験者ね。
まぁ、カリーナちゃんは顔を真っ赤にして恥ずかしがってたから、次回は普通に接するようになったらいいと思うの。
まぁ、一番の問題はそれを見ていたソフィアが顔を真っ赤にして歯ぎしりしていた事だろう。
帰り際にジル様達が「またくるね」と言ったら「二度とこないで」とソフィアが言うんだもの。よくそれで公爵令嬢できるよね。
「ふぅ…。邪魔者は帰ったわね」
「そうね。やっと帰ってくれたわね」
「お…お義姉様!」
いつの間にか現れたお姉様が私に抱きつき、メイド服を触りながらまさぐる。
「お姉様何してるんです?」
「あれ? クリスって不感症だっけ?」
「何バカな事言ってるんですか。もう…離してくださいな」
渋々といった感じで私から離れるお姉様。いやぁやばかった。あのまま続いてたら危なかった。一応平静は保っているけどね。
ソフィアが私のやりたかった事みたいな顔しているがスルーする。
「メイドといったらご奉仕するのが仕事なんじゃないの?」
「どこの世界のメイドですかねそれは? そもそもメアリーを見てくださいよ。仕事してないじゃないですか」
「あ、そうね。ごめん」
勝手にメアリーの株が下がるけど、もうこれ以上は下がりようがないから別にいいわね。
「じゃあみんな呼んでくるのでご飯食べましょうか」
「そうね。そうしましょう」
その後、お姉様と一緒に食べる事になったんだけど、お姉様以外みんなメイド服なのよね。
「なんか凄く食べづらいわね…」
ちゃっかりソフィアもメイド服を着て、本日二回目の夕食をしれっと食べている。
「私達こっちで控えていた方がいいですか?」
「どうしてそういう方向で話が進むのよ。そのままでいいから」
面白そうだから暫く家ではメイド服でいようかしら?
翌日、学園へ行くなりジル様達に囲まれてしまった。
いや、いつも囲まれているんだっけ。でも今日は他のクラスメイトも何人か集まっている。
どうやらジル様達が、昨日のチェキを見せびらかしていたらしい。何やってんのよ。
それで、トミー様とかカイラ様とかが目を充血させた状態で一緒にチェキを撮って欲しいと懇願されているのだ。
別にいいんだけどさぁ。それ一回やると次も次もって収集つかなくなるよね?
まぁ、この二人には特別に後で一緒に撮ってあげよう。なんか怖いし。




