04 クリスのメイド服姿が見たいんだそうだ①
「僕はクリス嬢のメイドはいいと思ったんだがね」
自分の案が採用されず、苦い顔をするシェルミー様。
「私はお城で見ましたよ。いやぁ甲斐甲斐しくお世話してくれたクリスは可愛かったです」
王城でメイドやってたけど、そんな記憶ないんだけど。
「私はクリスと一緒にメイドやったわよ」
ソフィアと一緒にメイドの仕事はやってないわ。二人とも記憶を、捏造しないで。
「待ってくれ。君達はなんか色々と楽しんでるんだね。僕たちにも見せてくれてもよくないかい?」
「そうですわ。私、クリス様のメイド姿みたいですわ」
「ダメー。うちのクリスのメイド姿は見せませんー。まぁ、私はうちでいっつも見てるんだけどね」
「ずるい! ずるいですわ。そうですわ。ソフィア様のお宅にお邪魔してもいいですわよね?」
「えー、なんかやだぁ…」
「そこをなんとか」
何で私がメイドする前提で話が進んでるんだろうね?
まぁ、日頃料理や掃除する時にメイドさん達に混じってメイド服着てやるけどさぁ…。
それに貴族なんてメイドさん見慣れているでしょうに。私がやったところで何か思うところでもあるのだろうか?
まぁ、前世ではメイドさんって非日常な感じしたけど、こっちの世界じゃ日常だもん。その辺の感覚が分からないのよねぇ…。
そんな事を、考えていたらソフィアに肩をゆすられた。
「え…何?」
「話聞いてた?」
「あ、ごめん聞いてなかった。何?」
「いや…先に謝っとくね」
「何、怖いんだけど」
「この私が推し負けちゃって、不本意ながらこれからジル達がうちに来るから、メイドやってくれない?」
「ふーん。別にいいけど」
それを聞いてジル様達がそれみろと口を開く。
「ほらぁ。クリス嬢なら快く承諾してくれるじゃないか」
「そうですわ。ソフィア様ばっかりずるいですわ」
「心が狭いよね」
イヴ様言い終わると同時にレオナルドの袖をツンツンと引っ張る。
「あ、ああ…。コホン…。婚約者の私がいるのですから、ソフィアが囲い込むのはおかしいですよね?」
そんな事よりイヴ様とレオナルドの関係が気になるんだけど。こそこそ話し合ったりして、部活の仲間より深い関係になってませんか?
それに、どうもイヴ様がレオナルドを操っているようにも見えるのよね。
「あーもう! うるさいわねぇ。ちゃんとクリスのメイド姿見せてあげるんだから、ギャーギャー言わないでよ。そんなに言うと見せないわよっ!」
いやいや。私はソフィアのペットとかじゃないのよ? 何でそんな所有権を主張するのかしら?
「もう…。そんな言ってないじゃないかぁ」
「そうですわ。そんなに非難してませんわよ」
「そうよ。ソフィア様がいなかったらクリス様と仲良くなれなかったしー」
急に柔らかな対応をする三人。
「最初から余計な事言わなければいいのよ。ねぇクリス」
何でソフィアさんはそんなに強気なんですかねー?
というか、私に同意を求めないでほしい。
「じゃこんなとこで喋っていても仕方ないから帰りましょうか」
「そうだね。いやー楽しみだなー」
「ええ。全くですわ」
「胸が高鳴るわ」
「いやぁクリスのメイド姿…久しぶりですねぇ」
「え? レオナルド殿下来るの?」
「何です? 私だけ除け者ですか?」
「いや女子寮だし」
「今更それをいいますか?」
「入口で止められなければいいんじゃない?」
「分かりました。女子の制服を着ていけばいいんですね?」
「おっと。それだと僕も該当するじゃないか」
うちの学園の寮おかしいんだよ。女装していれば女子寮だし、男装してれば男子寮だし。
まぁ、完璧に女の子になっているから問題ないけど、付け焼き刃の女装で入れるだろうか?
まぁシェルミー様は女性だから大丈夫だろうけど。
とりあえずそのまま寮へ向かうと、案の定レオナルドとシェルミー様は止められた。意外。
フロントで『問題を起こしません』という誓約書を書かされていた。
「女の子の格好をしていれば問題ないかね?」
「いやぁ…ちょっと…」
「ええ…」
シェルミー様が戸惑っている。まぁ、シェルミー様は王子様が板についていて、どうやっても女性像が思い浮かばないのよね。
しかし、ホントどういうシステムなんだろうね。




