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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第5章

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24 ランチって何頼むか悩むよね


 さて、第二騎士団の人たちを体良く追い出したのはいいんだけど、今日もお昼を食べ損ねてしまったわ。楽しい事をやっていると、ついつい忘れちゃうのよね。

 今寮に戻っても昨日みたいな事になりそうだし、こういう時は外出許可を取って街で食べるに限ると思うんですが、どうですかねタロンさん?


 上手い事集る……驕ってもらう事になったので、三人でまた王都へやってきた。

 それにしてもタロンさんは女性達に人気だねぇ。行き交う人みんな立ち止まってうっとりしてるもの。そしてその横で誇らしそうにしているディンゴちゃん。

 ところどころ黄色い歓声も聞こえる。

 毎回街に来る度にこれじゃあ疲れちゃうわね。

 そんな感じで心の中で同情していたんだけど、なんか様子がおかしい。

 女性陣の視線がタロンさんじゃなくて私に向いてる気がするんだけど、気のせいよね。


 前を行く二人の邪魔しちゃ悪いなと思って、少し後ろを歩いて付いていく。一体どこのお店を紹介してくれるのだろうか?

 なんて思っていたら、到着したお店はうちで経営しているお店の支店だった。

 「僕は、ここのお店の料理が好きでねぇ」

 「わぁ、楽しみですー」

 二人ともすっごく楽しみにしてる。

 経営者側としては、お客さんの声が聞けるって意味では貴重ね。


 「いらっしゃいませー」

 お店に入ると可愛らしい制服の女の子が迎えてくれた。これがうちの領だったら、男の娘の可能性も多分にあるのよね。感覚が麻痺してるけど、うちの領って結構ぶっ飛んでるのね。

 でもまぁ良かったわ。私を知っている人じゃなくてバイトさんみたいな人で。


 また『クリス様』なんて言われたらどう対応していいかわからないからね。

 そうして、ボックス席に案内され、水とおしぼりとメニューを出してくれた。

 「お決まりになりましたら、そちらのボタンを押してください」

 終始『???』状態のディンゴちゃん。常連のタロンさんと私は慣れてるから特に反応無いけど、知らない人からみたら異常なのかな?

 「こ、この水はいくらなのかな?」

 「それはサービスよ」

 「えっ! タダ!」

 「そうよ。ちなみにそのピッチャーにも入ってるから、おかわり自由よ」

 「はわわわわ…」

 なんか新鮮だなぁ。こういう感情久しくわすれてたわ。


 そういえば、王都に来てからちゃんとお店で食べるのは初めてかもしれない。

 何にしようかなとメニューを見る。

 うーん悩む。ハンバーグもいいし、生姜焼きも捨てがたい。ミックスグリルなんてのもあるし……寒いからドリアにしましょうかしら。でもなぁ…昨日の夜クリームシチューだったからクリーム系は無しかなぁ。そうなるとグラタンも外して……。

 ダメね。どれか一つになんて決められないわ。もうお子様ランチにでもしようかしら? でも揚げ物も昨日食べたからなぁ……。

 そんな感じで優柔不断になりながらも、最初に目をつけたハンバーグにした。迷った時は一番最初に目をつけたものにするべきよね。


 食べたいものが決まったのでメニューから顔を上げると、二人はもう決まっていたみたいだ。

 「僕はいつもこれなんだ」

タロンさんが選んだのは、デミハンバーグ目玉焼き乗せ。男の人ってわりかし毎回おんなじの頼むわよね。

 それでディンゴちゃんは?

 「これが気になって…」

 選んだのは期間限定の麻辣麻婆オムライスタルタルソース乗せとかいう、本当に試食して作ったの? というのを選んだ。

 まぁ、初めて行くお店で最初に期間限定選ぶ人いるけど、50%くらいは微妙よね。当たるとそればっかり食べちゃうけど、失敗すると凄く後悔した気持ちになるわよね。

 というか、よくこんなの選んだわね。もしかして『限定』って言葉に弱いのかな?


 注文した料理が到着し、各々熱々のうちに頬張るのだが、案の定ディンゴちゃんは目を回している。辛いんだろうね。でも寒いから丁度いいと思うのだけど、正直味の想像がつかないわ。うちの方のお店ではあんなのないから、王都店の限定メニューなのかな? 商品開発どうなってるのよ。


 暫く食べ続けていると、二人からの視線が気になった。

 「どうかしました?」

 「いや、ねぇ…」

 「うん。なんて言っていいのか」

 「?」

 首をかしげると、二人とも食事を止めてしう。

 「いや…その、なんていうのかな。すっごく綺麗な食べ方をするなと思ってね」

 「ホントよね。いつも見てるけど、一人だけ別世界の住人みたいだもの」

 「えぇ…そんな事ないわよ。うちでは特になんとも言われないし」

 そういえばうちではご飯食べる時に何か言われた事ってなかったなぁ。


 「ホントにぃ? どっかのお貴族様みたいよ。見た感じといい食べ方といい。なんていうのかな? 気品に溢れてるっていうの?」

 「そんな大げさよ」

 「でも、いい家の出なんじゃない?」

 まぁ、合ってるんですけどね。変に肯定すると面倒くさそうだから、黙っておきましょうか。


 「あ、そういえば食べ方で思い出したんだけど、クリスって食細すぎない?」

 「そうなのかい?」

 「あぁ…」

 そういえばそうだわ。転生してからはあんまりガツガツいってない気がする。作るのは好きなんだけど、あんまり食べられないのよね。


 「そうね。昔(前世)はもっといっぱい食べてたんだけど、最近(今世)はあんまり食べられないわね」

 「昔はいっぱい食べてたんだ。どのくらい?」

 「うーん…そうねぇ。例えば、ここの料理だと、グラタンに唐揚げとポテチフライとナポリタン。しめでケーキとコーヒーって感じ?」

 「それは食べ過ぎじゃない? というか、その小さい体によく入るわね」

 「そうね。昔は若かったから…」

 「えぇ…」

 二人ともドン引きしている。そんな事してると料理が冷めてしまうわよ?


 「まぁ、今だとあんまり食べられないから、こんな時間にこんなにがっつり食べたら夕飯は殆ど食べられないわね」

 「勿体無い…」

 正直、夜はお酒とおつまみくらいでいいのよね。そういえば、寮生活してるんだから、お酒とか飲んでも大丈夫よね? あとで聞いてみましょ。


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