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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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61 後日談 ウエディングドレスは誰だって憧れるもの⑨


           *      


 主祭壇から頭しか見えてないロベルタさんによる神父いや牧師………。どっちなんだろうか。あんまりその辺気にしてなかったわ。

 後でちゃんと役職名を考えないといけないわね。

 そんなロベルタさん進行で式は順調に進んでいった。


 「では、新郎新婦誓いのキスを…」

 「「………………」」

 お父様もお母様もメチャクチャ顔が真っ赤になっている。二人とも白い衣装を着ているから余計に際立つ。

 「早く……」

 ロベルタさんがさっさとしろといった感じで催促する。

 「あ…あなた……」

 「れ………レイチェル……」

 恥ずかしそうにしながらもそっと口付ける。

 それと同時に式に参列していたうちの使用人一同から黄色と黒の歓声が教会内に響き渡った。

 ロベルタさんは前髪が隠れてるから分かりづらいけど、頬が赤い。


 「はわわわわわわぁ〜」

 テオドールたんは手で目元を隠しているけど、隙間から覗くように見ている。恥ずかしいと言いながら真っ赤になってちゃんと見ている。かわいい。

 「あぁ…やっぱりレイチェル様は素敵だ…」

 うっとりとした表情で呟くウィリアム。

 「素敵だね」

 「そうね」

 しみじみとした表情でお父様とお母様を眺めるお兄様とお姉様。感極まったのか、あのお姉様が涙を流している。

 そんなお姉様にハンカチを渡すお兄様も眥に涙を溜めている。

 なんか凄いものが見れた気がする。

 「こういうのもいいですね」

 本来ならあの場所にいるであろうアーサーが、隣のテオドールを見ながら呟く。

 ちゃんと式の方を見なさいよ、まったく。


 「いつか私もあの二人のようになりたいものです。ねぇクリス……。あれ、聞いてますか? クリス……」

 「えっ…あっ…はい。なんですか…」

 アーサーとテオドールたんの方を見ていて、呆っとしていたわ。

 「いえ、ですから、将来あの二人のようになりたいですねって…」

 「あー…………そう……ですね。なれたら素敵ですよねぇー」

 「ですよね。クリスもそう思いますよね!」

 ニコニコしながら同意を求めるレオナルド。

 今体は女の子になってるけど、あと一、二ヶ月もすれば元に戻るのよね。そんな日はこないだろうけど、ここで変に否定するわけにもいかないわよね。


 「そういえば、レオ様は随分と久しぶりな感じですが、どうしていたんですか?」

 「えっ!」

 なんでそんな意外そうな顔をするんだろう。今まで三日にいっぺんはウィリアムと一緒に来ていたのに、夏頃から急に来なくなったから、何かあったのかなと思って聞いたんだけど。

 だから、今日も来ないんだろうなと思ったけど、一応招待状は出したのよね。

 まぁ、王妃様とかは忙しくて来られなかったらしいけど、まさか返事の手紙と一緒に来るとは思わなかったわ。


 まぁ他には、最近知り合った宰相や元教皇なんかも式に参列しているのだけれど、いろいろ招待したら結構な人数になったのよね。

 お父様とお母様には誰が来るか内緒にしていたから、結構驚いたんじゃないかな。

 ロベルタさんの前で待っていたお父様はずっと緊張していたし。

 バージンロードを歩くお母様もあまりの人の多さに戸惑っていたものね。お父様みたいに顔に出さないだけで、結構緊張していたんじゃないかしら。


 そんな事を思い出していると、私の顔を覗き込んできたレオナルドが訝しげな表情で尋ねてきた。

 「あの…、結構お手紙とか出したんですが、届いてなかったですか?」

 「お手紙……ですか? いいえ、私は知らないです」

 手紙なんて届いた記憶がない。もしかしたらお父様が知っているかもしれないけれど。どうなんだろ? 王家からの手紙をスルーするなんてことあるのかしら?

 「ふむ…。これは伯爵に話を聞かないといけませんね。ふふふ…式の後が楽しみです」

 暗い顔で笑いながらブツブツ言いだすレオナルド。やっぱりソフィアの言う通り腹黒なのかしらね。


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