57 後日談 ウエディングドレスは誰だって憧れるもの⑤
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「あぁ、なんて可愛いのかしらっ!」「あーいいっすねぇ」「こっちに目線くださーい」「ちょっとくるっと回ってくださーい。オッケー完璧ですー」「振り返って手でハートを作ってください」「そのままスカートを持ち上げて……」
ゴンッ……。
カメラを持つソフィアとグリとグラに合わせてうちのメイドさん達が合いの手を入れる。
まぁ、それっぽいポーズはいい。だが、えっちなのはよくないと思うの。
頭を押さえ悶絶するアンジェさん。最近この人、タガが外れたのか結構欲望に忠実になっている気がする。
普段そういうことをしているはずの他のメイドさん達も苦笑いだ。
「私だけ撮ってもしょうがないでしょ。そのためにあなた達を呼んだんだから」
「そうですね」「実はちょっと憧れてたんですよね」「いつかクリスとぐふふ…」「抜け駆けは許さないわよ」「これはもう結婚したも同然では?」「一理ある」
みんないろんなことを言いながら着替えて行く。
「ねぇ、よくこんなに作ったわね。これ一つでこのカメラより高いんじゃ?」
「そうでもないよ。基本一般人がレンタルできるようにコストを抑えたのも多いし。まぁ、私好みにしたのは流石に値が張るけどね」
「中身男の人ほど、お姫様っぽの選ぶのね」
「逆にどうして女性陣があんなに肩出しのシンプルなの選ぶの?」
「私に聞かないでよ。私はどっちかというとクリスの好きな方が好みだし。(好きな人の趣味に合わせるのは当然よね)」
意外だよね。ソフィがが着ているのはプリンセスラインのロングスリーブで、引きずるほど長いトレーン。光沢の強い厚手の生地。
まさかソフィアと趣味が合うなんて思わなかったけど、もしかしたら寒いから長袖を選んだのかな?
「一応5〜23まで用意してるんだけど、エリーみたいに大きい人用に31とか33もあるよ」
「ねぇ、クリスちゃん! 私に合うサイズがあるのは嬉しいんだけど、ちょっと地味すぎない?」
サイズの話をしていたら、丁度エリーがやってきた。
「ごめんね。そのサイズだとまだ準備しきれてなくて…」
「そうなの? じゃあ今回は諦めるわぁ」
そういって、カメラマンであるグリさんの方へ行った。
仲良くギガさんと並んで撮っていた。
「ねぇ本当のところはどうなの?」
ソフィアがニタニタしながら聞いてくるが、実際にそこまで作れていないのが現状だ。まぁ、エリーが着ると破けそうだから袖なし襟なしのシンプルなビスチェタイプしか作ってない。それでも結構パッツパツになってるので後ろのファスナーが外れないか心配だ。
まぁ、全体的に筒みたいなデザインなのは致し方ない。
ちなみに私とソフィアが二人入っても余裕のあるサイズだ。
「まぁご想像の通りに…」
「そういうことにしておくわ。それよりもクリスって本当にちっちゃいわね。サイズいくつよ」
「デザインによって変わるけど、これは5号よ? さっきのは7号だけど」
「まぁ、まだ子供だしね。でもそれにしても小さいわね」
「これでも気にしてるのよ。まぁまだ育ち盛りだから」
「そうしてもらわないと困るわ」
まーた小言を言ってきたなと思ったら不意にソフィアに抱きしめられた。
え、なんで? いや、それよりも私の顔の位置に胸があるってことは、私よりソフィアの方が背が高いって事! 何てことかしら。いつもバカやってるから気づかなかったわ。これはもっと牛乳を飲まないといけないわね。
「あぁずるいっ! ソフィアお姉様私も抱いてください!」
「クリス姉様ずるいです。そこを代わってください!」
マーガレットとメリーちゃんが騒ぎ出すと、他の面々も騒ぎ出した。
仕方がないので、それぞれペアを組んで写真を撮っていった。
それぞれ好みのドレスを着て、ポーズを撮ったりしているんだけど、あの三人組が一番ノリノリな気がするわ。
あーしさんは両手でギャルピースや羽ハートにほっぺつんつんしたり、プリクラでも撮っているんだろうかという感じのポーズを撮っている。
しかし、あんなにポーズに種類があるなんて知らなかった。
うちのメイドさん達も倣っていろいろやっている。
「あんなー、ピースって200種類あるんよ」
「そんなにないでしょ」
「いや、作れば……ほら、ほらっ!」
中身が公安の元おっさんだなんて信じられないくらい可愛いんですけど。
そのうち一兆個くらい作ってくれそう。
プロフィアさんも、なんというか多幸感が溢れている。
この人こんな風に笑えるんだってくらい幸せそう。
普段髪の毛縛ってる人が、解くとドキッとするけど、この人の場合はその比じゃないよね。たまにチラチラこっちを見てくる時の仕草がキュンキュンする。
しかし、一番衝撃的なのはギガさんだわ。
もう色気の暴力としか言えない。なんでこの人ウエディングドレス着ただけでこんなにエロく見えるの? おかしいよ。
テレンス君を抱っこしたり、しゃがんで撮ったり、常に一緒にいるから、一瞬経産婦かな? って思うんだけど、醸し出す色気がそれを否定している。
いやぁ、なんというかオネショタは最高ですね。
そんな感じで、うちのメイドさん達や、エリーにマーガレット。そして嫉妬にまみれたロベルタさんもノリノリで撮影していったんだけど、やっぱり、テオドールたんのウエディングドレス姿は別格ですね。控えめに言って最高です。
なーんであんなにかわいいの? 今すぐお姫様抱っこしてランナウェイしたいくらい。
私と同じようなお姫様感の強い、ティアードスカートにオーバードレスの組み合わせ。しかも恥じらうように笑う姿が愛おしい。
今すぐ押し倒してしまいたいくらい…………。危ない危ない。自重しなきゃ。
しかし、ホントに天使よねぇ…。ずっと見ていられるわ。はぁ…。




