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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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12 移動中は暇


 結構馬車に乗っているけど、まだ王都には着かないらしい。

 「ふぅあぁ〜〜〜〜〜〜っ」

 お姉様が片腕を上げながら欠伸をしている。


 「ちょっと暇になってきたわね。これでもやりましょうか」

 よくあの短時間で用意したなと思うくらい、準備がいい。お姉様の手にはウノがあった。

 「本当はトランプでも良かったんだけど、何故かジョーカーの絵柄が私に似ているからあんまり見せたくないのよね」

 「分かりましたお姉様。次回からはエリーを絵柄に変更いたしますね?」

 「やっぱりそういう意図で描いてたんじゃない!」

 いや、そんな意図はないのよ。たまたまよ。たまたま。


 隣でお姉様が私のほっぺたをムニムニ(つね)ってくる。うっとおしい。

 私もやられてばっかりじゃないところをみせるわ。抓ってくるお姉様の手を軽く弾く。一瞬怯んだ後、再度伸ばしてきた手を弾く。

 パシパシとお姉様からの攻撃を弾いていると、お姉様が焦りの表情を見せてくる。

 「おかしいわね。今までのクリスなら簡単にいじれたのに。くっ…」

 くっ…じゃないわよ。


 しかし、本当に私もよくお姉様の攻撃を躱せるなと感心する。結構レベルが上がってるんじゃないだろうか? 今なら『ステータスオープン!』とか言ったら何か表示されるかしら? でも、出なかった時のことを考えると恥ずかしくて言えないわね。ずっとネタにされそうだし…。

 「私には早すぎて、何も見えないんだけど?」

 ソフィアが驚いたように言うが、そんなに早いと感じないんだけどなぁ。猫が戯れあってるくらいの速度だと思うのよね。


 一進一退の攻防を繰り広げていたが、お姉様の攻撃が緩んだあたりで、手を掴んで無理やりに終わらせる。いい運動になったわね。

 ただ、何故か手を掴まれたお姉様の顔が赤くなっている。疲れたのかな? 私より体力ありそうなのに。

 そんな感じで、お姉様と戯れていて気づかなかったが、いつの間にか天井の軋む音の種類が変わっていた。何ていうか、四点から二点になっている感じ。多分、スクワットに変えたのかな?


 「ク、クリス? いつまで手を握ってるのかしら?」

 「あ、あぁ、ごめんなさい」

 「ぃゃ、ぃぃ…んだけど……」

 前半よく聞こえなかったな。まぁいいか。ソフィアがすっごい顔でこっちを睨んでるけど、どうしたんだろう。

 あ、さっきの手の動きが早いって言ってたやつかな? ずっと見ていて目が疲れちゃったのね。だからあんなに人相が悪くなっているのね。納得。

 そんなソフィアに気づいたお姉様が、何故かドヤ顔をしている。意味がわからないよ。


 空気が悪くなってきたので、話題を変えるため、お姉様の持ってきたウノを無理やりに始めることにした。

 「むぅ…。仕方ないわね。お義姉様? 勝ったら何かご褒美を貰えますか?」

 「あら、私に勝てると思っているの? いいわ。勝ったら何でも一つだけ聞いてあげるわ」

 あ、これ二人とも勝てないフラグ立っちゃたんじゃないかな?

 「な、何でも……」

 何を想像したのか、顔が真っ赤になるソフィア。

 そして、お姉様はどうしてそんなに自信満々なんです? 勝率一割切ってるじゃないですか。


 順番としては、私から時計回りにお姉様、ソフィア、プロフィアさん、ロザリーとなっている。

 案の定、一回戦、プロフィアさん。二回戦、ロザリー。三回戦は私が一抜けをした。意外や意外。プロフィアさんが慣れた手つきであっという間に勝ってしまったのよね。二回戦、三回戦はどっちも二位だったし。凄いわ。それに比べ、お姉様とソフィアはどっちも最下位とブービーじゃない。


 ちなみに、公式と違うと言われても知らないわよ。なんか、ローカルルールが定着しちゃったんだからね。ここ重要よ。

 そして、現在四回戦目。プロフィアさんやロザリーが手を抜いているのか、接待しているのか分からないけど、何とお姉様の手札は残り一枚になっている。

 ここは『スキップ』とか『リバース』。欲を言えば『ドロー系』のカードが欲しかったが、生憎と残った二枚は両方とも数字だ。しかも、一ターン前にはちゃんとウノと宣言もしている。

 チラッとお姉様の顔を見ると、もう勝った気でいるのか笑いを堪えきれないといった感じの顔をしている。うわぁ、勝たせたくないなぁ…。


 「どうしたの、クリス。早く出しなさいよ」

 ソフィアは祈るようなポーズでこっちを見ている。

 冷静になってよく考えたら、こんなゲームに何マジになってるんだろうか。ただの暇つぶしじゃないか。別にお姉様が勝っても私には何の影響もないと思うのよね。

 そう思ったら気が楽になったので、何の気なしに、ウノと宣言して一枚を場に出す。


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