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027 シェアハウス

「――先輩っ! 夕飯できましたよ! デスっ!」


「ん……満足の出来。さっそく夕食にしましょう」


「その……わたしは、こういうの不慣れだから……きれいに切れてなかったら、ごめんなさい」



 テーブルに置かれた四人分のパンと野菜炒め、ステーキと色とりどりのデザート。

 エプロンを身につけた三人の美少女による豪華な夕食に、俺は驚愕しながらも席に着いた。



「すっげえ……。これ三人で作ったのか?」


「これぐらい()()()()()デスっ! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! デス!」


「わ、悪かったわ……野菜しか切れなくて」


「大丈夫。私もパンしか焼いていないから」


「ささ、先輩っ! シャルの()を食べてくださいっ!」


「手の込んだ料理を略したんだよな? おまえの指とか入ってないよな? 食べても平気だよな、これ?」



 シャルルぐらいの回復術師になると、欠損した部位を再生させることができる。

 あえて切り落として料理に混ぜることぐらいなら、今のこいつなら平気でやりそうだ。



「安心してください先輩。デス。さすがのシャルでもそこまでしませんよ。デス」


「な、ならいいんだけどさ……」



 目が。

 目が、とても怖い。

 ハイライトの消えた瞳が怖くて、俺はシャルルと目を合わせられなかった。



「大丈夫。わたしがずっと監視してたから、安心して食べてもいいわ」


「カティがそういうのなら、安心だな……」


「なんか……カティアさんとの温度差が気になっちゃいますね……デス」


「シャルル、ナイフは逆手にもたないよ? 無職の私ですら知ってるわ」


「無職の先輩が威張らないでください。デス」


「アルマ、わたしが切ったこのオニオンをぜひ食べてみて。きっと美味しいはずよ」


「先輩先輩っ! この女、泣きじゃくってオニオンしか切ってないんデス! 花嫁失格デス!」


「わあ、こんなステーキたべてもいいのかな……無職なのに。まだお金、稼いでないのに」


「とりあえずめちゃくちゃうまいけど、数が少ないから俺もこの後作るわ」


「え……先輩のために一万キロカロリー分は用意したのに……デス。足りないデスか……デス」



 情報量の多い食事を終えて、食器を俺とシャルルで洗う。

 その間に湯船に水を溜めて、エルメェスの炎魔術で温める。

 じゃんけんの結果、俺が最後に風呂へと入って、



「先輩っ! お背中流しますデ――」


「させないわ」


「カティア、髪の毛乾かさないと風邪引いちゃうよ」


「エル、そんな無駄なことをしてる暇があったらシャルルを――」


「髪は女の命。手入れができないとお嫁さんにいけないよ」


「……次、ドライヤー貸してくれる?」


「先輩っ! シャルの髪乾かしてくれますかー? デスっ!」


「静かにお風呂入らせてください……っ」



 騒がしい洗面所に向かって呟いて、俺は湯船に顔を沈めた。



「――先輩っ! お酒、お酒飲みましょう! デスっ!」


「待ちなさい。それ消毒用のアルコールでしょ。そんなもの飲めないわ」


「カティアさんとは別に飲みませんので。デス」


「あーくんは右と左、どっちのベッドで寝るの? ちなみに、私は右側のベッドで寝たいな。壁際じゃないと寝れないの」


「じゃ、じゃあ左側――」


「なんだか眠くなってきたなぁ。デス。シャル、左側のベッドでねーよっと。デス」


「……アルマ。膝枕してあげるわ。それで勘弁してちょうだい」


「せーんぱいっ! 早くこっちおいでー! デス!」


「あーくん、おいで?」


「あ、アルマ……っ!」


「……」




 ——結局、俺はソファの上で眠ることになった。

 



「じゃあ、灯り消すぞ?」


「はぁい。デス」


「ん……」


「ええ……」



 シャルルとエルメェスが同じベッドに入り、カティアは一人でベッドに倒れた。

 夜も遅く、いい感じに眠気が襲ってくる。

 俺もソファに寝そべって、掛け布団をかぶる。



「おやすみ、みんな」


「おやすみなさいデス……先輩」


「おやすみ、あーくん」


「おやすみ、アルマ」



 暗闇から聞こえてくる三人の声。

 なんだか、同じ部屋に四人で寝るなんて少しばかり、ドキドキしてしまう。



 とはいえ、後輩(シャルル)先輩(エルメェス)からの好意という名の暴力には勘弁願いたいのだが。

 二年も経つと、こんなに変わるんだな……なんて、暗い天井を眺めながら思ったりして。



 それからすぐに眠気が襲ってきた。

 俺はゆっくりと瞼を閉じ――――て――――。




「……え、待って。ホントに一緒に住むの?」



 

 と、時間をかけてゆっくりと理解が追いついてきた。

 


 なんか、すごいお泊まり会的な感覚で楽しんでたけれど……耐えられるか、俺。

 


「……まあ、明日になったら考えよう」



 とりあえず、お試し的なアレだと思うようにして。

 俺は再度、瞼を閉じた。





「おもしろかった!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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