再会
魔王城に到着するとモリスが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。お召し物をどうぞ」
モリスは魔王様に恭しくマントを差し出した。
魔王様はそれを羽織ると同時に変化を解き、いつもの威厳ある姿になった。
「出迎えご苦労。子供達は?」
「先程、全員無事に到着しました。今、食事を与えています」
「わかった。親に登城するように伝えろ」
「はい、既に手配しております。一刻後には全員揃うかと」
「そうか。では謁見の間に通せ」
「かしこまりました。・・・あの、戻られたのはお二人だけですか?」
「ああ、訳あってラーソンには向こうに残ってもらっている。子供達を親元へ帰したら、此度の一件に関する報告と今後についての話し合いを行いたい。幹部達を招集してくれ」
「仰せの通りに」
「ミホ、お前にも同席してもらう。一刻後、謁見の間に来てくれ。それまでは休むといい」
「はい」
私は一旦魔王様達と分かれ、食堂に向った。
食堂ではモリスの報告通り子供達が食事をとっており、樹木の精のオリヴィアが世話をしていた。彼女は私に気づくと目を輝かせた。
「ミホ!お帰りなさい。あなたのおかげで子供達は無事に戻ったわ。ありがとう」
「ただいま。私だけじゃないわ。みんなの協力があったからこそ成功したのよ。オリヴィアの毒のおかげで本当に助かったわ。ありがとう」
「ええ、でも当初の予定と随分変わったようね。何があったの?」
「後で詳しく話すわ。とりあえず私にも何か食べさせて。もう、お腹ぺこぺこで・・・」
私は近くの椅子に座り、机に突っ伏した。
「向こうにいる時は腹が立ったり緊張したりでお腹も空かなかったけど、もう限界。おまけにあの宿の食事、すっっっっっごく不味かったの。魔王様が無表情になったくらいよ。怖かったわ」
オリヴィアはくすくす笑いながらスープをよそい、パンを添えて私の前に置いてくれた。
「救出劇の顛末より先に食事についての文句を言うなんて、あなたくらいよ」
「そんなことないわ。少なくともシヴァは絶対に文句言ってたと思う」
あの味は衝撃だった、と言いつつパンを千切りスープに浸して食べた。
「ん〜〜、美味しい。幸せ」
目を瞑ってスープのおいしさを噛み締める。
空腹のあまり倒れそうだった私は、しばらく食べる事に専念した。
ようやく小腹が満たされて落ち着いてきたら、子供達が不思議そうな顔をして私を見ている事に気づいた。
(うわ、恥ずかしい。絶対食い意地の張った奴って思われた)
己の行動を恥じていると、城で働いている召使いがやってきた。
「オリヴィア様、ミホ様、魔王様が子供達を連れて謁見の間に来るようにとの仰せです」
「わかったわ。みんな私達に付いてきて」
オリヴィアと共に子供達を先導して謁見の間に着くと、すでに幹部達が揃っていて私達を迎えてくれた。
部屋の奥には様々な種族の魔物が二十名程おり、ソワソワした様子でこちらを見ていた。
「さあ、みんな入って」
子供達は入り口付近に並ぶ幹部達を見て、少々緊張した面持ちで謁見の間に入ってきた。
しかし部屋の奥に自分たちの家族がいるのが分かると泣きながら親元へと駆け寄った。
「「「「お父さん!お母さん!」」」」
「エステル!」
「スフィア!」
「ロゼッタ!」
「心配したのよ!無事で良かった!」
「会いたかった、ものすごく会いたかった」
みんなが泣きながら子供達を抱きしめ、再会を喜んでいた。
ようやく親兄弟に会えた子供達は嬉しさと安心で泣きじゃくっていた。
その光景に感動しつつ蓮の事を思い出していると、シヴァが側にやってきた。
「ご苦労だったな。そのうちお前も息子に会えるさ」
「え?会いたいって顔に書いてある?」
「いや、右側には子供達が親元に帰れて本当に良かったって書いてある」
「左側は?」
シヴァは私の左頬をつつきながらニヤリと笑った。
「うらやましいぞ、コノヤローって書いてあるな」
「・・・大正解だ、コノヤロー」
図星を突かれてムカついた私は、腹立ち紛れにシヴァの足を踏んづけた。




