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サポートキャラ はじめました  作者: 名月ふゆき
第3章 物語が進むとき
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第29話 『らせんの赤ゴキさん』 ゾンビは怖いのです!



 走るゾンビのところではシラユキは殆ど何もできず、かなり足を引っ張った。

 シラユキが僕の目の前で何度も腕や足を千切られていたので、僕の精神もだいぶやられた。



「やっとここまできたよ。あとは倉庫にある犬のぬいぐるみを取りに行って、裏口から脱出だけだね」

「みんな本当にごめんね……」

「気にしないでいいさ。誰にだって得手不得手はあるからな。じゃあ私が行ってくるからみんなはリビングで待っててくれ」



 カグヤさんはシラユキを慰め、何度もやり直す事で地下倉庫にある犬のぬいぐるみが脱出に必要であることが分かっているので、それを取りに行くと言った。


 リビングで待機すること10分が経ち、カグヤさんがリビングに入ってきたところで全員で裏口から脱出。

 最後に犬のぬいぐるみを囮に狼を追い払って次のフロアへの扉を開いた。



「やっと終わったー! ネムにゃんぎゅー!」

「ふにゃぁ」

「なんか……猫化してない?」



 ユイの指摘が入るが、僕もこれにはあながち間違ってないと思う。尻尾も勝手に動くし、耳も勝手にピクピクとする。

 それになんか馴染む。もう元に戻らなくてもいいと思うぐらいにまで馴染んだ。というか戻りたくないという意思すら芽生えてきてる。



「まあ、話もその辺にして日記を読もうじゃないか」



 僕たちはカグヤさんが見せてきた以前とは違う日記を読むとその日記にはこう記されていた。



『【赤ゴキさん】は恐ろしいのです。けど、シロには近づいて来ないのです。やっぱり覚えててくれてるのです。


 えっ? 今日のおやつはケーキなのです? じゃあ食べるのです! ケーキがそこにあるなら食べるのです!

 扉を開けるには鏡合わせなのです。忘れないようにメモしておくのです』



 情報が少ないとしか言えない。まあ、こういうのは大事なんだけど、本当に一部でしか使えないから頭のすみに入れておけば大丈夫だろう。


 次への扉を開くと1つに繋がった2つの部屋があり、物の位置などが凄く似ていた。

 鏡合わせと言っていたので、左側の部屋を鏡合わせに揃えていく。



「そっちケーキある?」

「ないね~」

「美味しそう……食べていい?」

「ダメに決まって━━━━━━そっか。食べるんだっけ? よし、食べちゃいなさい!」



 ユイがシラユキにケーキを食べさせるように仕向けると、シラユキはケーキをフォークで一口サイズに切って僕に食べさせる。



「あーん」



 シラユキの声に合わせて口を開けるとシラユキは僕の口の中にケーキを入れる。

 甘くておいしい。スポンジの弾力性が凄く、クリームも高級感溢れる味で、イチゴも甘酸っぱくて新鮮だった。



「ずいぶん美味しそうに食べるね~」



 シンラさんだけでなく、リスナーたちも同じ反応を見せている。まるで壊れた機械かと思うぐらいにまで「きゃわたん」としか言ってこない。

 一周回って恐怖を感じた。


 僕がケーキを食べ終えると扉の鍵が開く音がした。

 シンラさんがそのまま扉に近づいて、扉を開けようとすると、そのタイミングで扉が開いた。


 ━━━━━━ぐちゃり。



 赤い服を着た女の子が突如としてシンラさんを潰した。

 おそらく今のが【赤ゴキさん】なのだろう。


 というわけでシンラさんが死んだのでやり直し。

 再び鏡合わせになるように揃え、ケーキを食べる。

 今度は扉が開く前に全員でテーブルの下に隠れる。



「「「…………」」」



 しかし、どれだけ待っても、先程の【赤ゴキさん】がくることはなかった。

 そして、僕たちが扉の前に立つと扉が勝手に開き、僕たちを潰した。



「これはどういうことだ?」

「何か部屋に仕掛けでもあるのかな?」



 そのとき僕は先程の日記を思い返していた。

『シロには近づかない』……【()】には近づかない?

 その【()】とは何なのか、僕は考える。ヒトの名前なのかもしれないが、もう1つの意味も含まれてるのではないだろうか?


 もしかしてケーキ食べたらマズかった……?

 ケーキは食べるのではなく、冷蔵庫に入れる?


 試しにみんなが鏡合わせにした後にケーキを冷蔵庫に入れると扉が開く音がした。

 どうやらコレで正解のようだ。


 僕は冷蔵庫からケーキを取り出して扉の前に持っていくと、また勝手に扉が開く。

 そして、【赤ゴキさん】は僕を襲おうとするが、真っ白なケーキを見るなり、逃げて行った。

 すると今度は銀髪の女の子が部屋に入ってきた。その女の子は今回救出する予定の1人だったが、身体が透けていた。



『それシロのケーキなのです! クロと一緒に食べるのです!!』



 その女の子は僕の持っていたケーキを奪うとそのまま消え去って行った。

 僕たちが次の部屋に行くとまた日記が置いてあった。



『シロはクロが大好きなのです。シロはクロと一緒に生きているのです。だからクロは死んでないのです。死んでるわけがないのです。シロと一緒に生きてるのです』



 それだけだった。どうやら次の部屋がラストのようだ。

 ユイがみんなに確認を取って扉を開けると先ほどのケーキを奪った女の子がいた。



『クロ、早く食べるのです。シロも一緒に食べるから一緒に食べるのです……』



 少女は誰かの遺骨にケーキを与えていた。

 それが見るに耐えなかったのか、シラユキが少女に真実を突きつける。



「シロちゃん、ダメだよ。シロちゃんもその子も死んでるの。もう、食べることはできないんだよ……」

『違うのです! シロは生きてるのです! だからクロも生きてるのです!! 死んでるはずがないのです!!』



 少女は大声で否定するとそのまま消えてしまった。

 僕たちの迷宮生活も、もうすぐ終わるのだろう。






  名称 ネム(サポートキャラ)


 ランク:A+ 親密度:100%


 解説:人気VTuber『シラユキ』の妹。シラユキのことが大好きで、シラユキのためなら何でもする。好きなことは頭を撫でられること。

 暗い場所がとにかく苦手で、その場で震えて動くことすら出来なくなる。



・特性:【自動魅了付与】【破壊不能】


・パラメーター

 STR:130(+130) INT:290(+20)

 AGI:400 DEX:95%


・スキル(10枠中8枠使用中)

 ・使用スキル

【ファイアボール Ⅸ】【アイスランス Ⅸ】

【ウィンドエッジ D】【天地乖離す究極の幼女(エヌマロリッシャー)


 ・常時スキル

 【歪み始めた人工知能(ブレイクオブブレイン)】【守護者(ガーディアン)

 【パートナーを想う気持ち】【アテナの慈愛】


 ・特殊スキル

 【アプリ連動】


・装備品

 【契約の腕輪】【絆の短刀(リアンズダガー)


・固有スキル

 ーーーーLv.0


 

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