<42>連日
「曲がり角の先に、1メートルくらいのカエルが居る。色は青一色だな」
「青色のカエルなら、ブルーフロッグの可能性が高いね。
攻撃は体の3倍まで伸びる粘着性の舌を伸ばすこと。それと、体当たりくらいだね。
狼より弱い相手だと記憶しているよ」
「なるほど。確かに狼よりは弱そうに見えるな。
舌を使った遠距離攻撃があるのは厄介だけど、相手はこっちには気がついて見たいだから、ばれないように近づいて攻撃すれば懸念材料は減るな。
クロエ、出来るか?」
「うん、大丈夫。任せといて」
俺が指示を出すと、クロエは壁に張り付くようにゆっくりと獲物に近づいていった。
「えい」
そして、曲がり角まで行くと、一気に駆け出し、華麗な跳躍でカエルの頭上まであがると、そのまま重力にしたがって、両手に持つ2本のナイフ突き刺した。
その動きは忍者を彷彿とさせるもので、クロエの身体能力の高さが伺える。
クロエは片方のナイフだけを引き抜いてカエルから距離をとり、様子を伺うものの、それ以上、カエルが動くことは無かった。
どうやら、一撃で仕留めることが出来たらしい。
不意打ちにより、カエルは、その場から1歩も動くことが出来ずに命を落としたが、もし正面から対立していたとしても、クロエが負けることは無かったと思う。
「アリス。いま持ってるキノコと、このカエル、どっちを持ちたい?」
「……そうね。このキノコでいいわ。カエルはダーリンに任せてあげるわよ」
そういうことになったので、両手でカエルの胴体を掴む。
ぶよぶよ、ぬるぬるしている感じを想像していたのだが、予想は大きくはずれ、厚いゴムの板が巻かれた肉の塊を持っているような感じだった。
「攻撃の要であるクロエ以外は、みんな手持ちがいっぱいになったし、一旦帰るか。
それでいいよな?」
「はーい」
「ええ、そうね」
「了解したよ」
カラスを先頭に、今来た道を引き返した。
最初の獲物である狼を倒した後は、同じようにカラスを使って敵の位置を把握し、クロエとアリスが仕留めるってのを数回繰り返し、これ以上は持ち運びが出来ないからと、スタート地点、洞窟入口まで狩りの成果を持って帰ってきた。
「ん? はいはーい、コアちゃん、どうしたの?」
積みあがった土を越えた辺りで、クロエが突然立ち止まり、みんなが成果物を地面に置く。
「皮? カエルの皮って美味しいの?
……うーん、食べれないのならいいや。お肉にして、おにく」
そしてダンジョンコアと数回言葉を交わしたかと思うと、成果物が一瞬にして食材と魔玉に分けられた。
その光景を言葉で表現するとすれば、ボワン、っといった感じだった。
お肉がよくわからない大きな葉っぱで包まれているのは、ダンジョンコアの優しさだろうか?
ハルキ達はカエルを倒した。▼
カエルは生肉と魔玉を落としていった。▼
って、文字が流れるよな雰囲気である。
本当にゲームのような世界観だ。
もしかすると俺は、異世界に召喚されたんじゃなくて、新作のゲームをプレイしてるだけなんじゃないだろうか? との考えさえ浮かんでくる。
まぁ、もしゲームだったとしても、やることはかわらないんだがな……。
同じような感じで、最初に狩った狼や、足が生えた50センチほどの赤いきのこ2匹をポイントに変換し、魔玉5つ、生肉1つ、カエル肉1つ、きのこを2つゲットした。
「それじゃ、お昼にしよー。
サラお姉ちゃん、火、よろしくね」
そして、お昼ご飯の準備が着々と進められていく。
お肉、きのこ、焚き火、アリス特製のホットプレート。
状況から判断するに、お昼も焼肉なのだろう。
「んー、お肉おいしー。きのこも肉厚でジューシーだね。しあわせー」
うん、そうだね。おいしいんだけどね……。
まぁ、きのこが増えた分、朝よりはヘルシーか……。
「美味しいものを食べて力も湧いたことだし、午後からもがんばろー」
その日は、午後もクロエのお腹がすくまで狩りを続けた。
50センチほどのこうもりや、1メートルほどのトカゲ、スコップのような腕を持つ50センチほどの蟻などと戦闘し、殆どの敵をクロエが1人で瞬殺してくれた。
蟻は食べれるところが無いらしく、それを知ったクロエのテンションが急落するというハプニングがあったものの、それ以外はすべて順調で、ポイントも1日で600ポイントを稼いだ。
本日狩った魔物達は平均で50ポイントくらいらしい。
ちなみにだが、夜ご飯も焼肉だったとだけ記載しておく。……うぷ。
さぁ、お待ちかねのダンジョン改築をしよう。




