旅の始まり。
蒼く澄み渡った、何処までも続く大空の雲の切れ間に、突然4人の人影が出現する。
一人目は、ゆったりとした旅の装いに身を包んだロマンスグレーの髪が特徴的な初老の男性。
二人目は、白金の髪に、翠の瞳、エルフ族の特徴である長い耳を持った旅の装いの淑やかな容姿の美女。
三人目は、一目で冒険者と分かる防具に身を包んだ褐色の肌に、特徴的な虎耳が目立つ獣人の若い男性。
四人目は、同じく冒険者と分かる防具に身を包んだ、濃い金の髪に、蒼い瞳のエルフの美しい青年だった。
「ほっほっほっ、ここはイエンソド大湿原の入り口辺りじゃ。
これから、どちらの方角へ行こうかのう?」
「翁様、出来れば亜人の国の方角へお願いできますか?」
「うむ、承知した。」
翁の言葉に、エルフの青年、ランスロットが返事を返す。
「それで、基本的な方針は決まっていますの?」
「ああ、まずは我の生まれ故郷の集落を目指そうと思っている。」
エルフの美女、アイリスの言葉に獣人の、ギルバートが返す。
「その次に、私の生まれ故郷であるエルフの里を目指します。」
「……とりあえずは、我らに関わり有る者達から話しをしようと思っている。」
「……そうですの。」
興味のなさそうな冷たい光を瞳に宿したまま、アイリスはそれ以上言葉を続ける事は無かった。
彼等は、特に言葉を交わす事もなく静かに目的地へ大空を移動するのだった。




