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異世界温泉騒動! 〜ポロリもあるよ☆〜

 カイの登場と共に、河原には剣戟の音が響いた。カイに二人、クロムに三人、覆面男が飛びかかって行く。ちょ、さっきまでのなごやかさを返して。


「っ!?」

「娘を連れて行け!」


 カイと斬り結んでた男のうちの一人が叫ぶと、よもやの追加部隊が現れた。覆面男Aは仲間を呼んだ! 覆面男FとGとHが現れた! って違う!


 逃げようとしたところ、脇から身体に手を回された。ちょっ、チカン! ノゾキだけじゃ飽き足らずチカンまでするとか鬼畜の所業でしょ! 胸触んないでっ!!


「や……っ!! 離してっ!!」

「ナギ!!」


 タオルを押さえながら暴れたので、覆面男にはなんのダメージも与えられなかった。装備って大事ね。


 自由になる脚だけジタバタしていると、激昂したカイがあっという間に覆面男AとBを斬り捨てて駆け寄ってきてくれた。クロムも容赦なく火炎放射器と化す。怖い。


「死にたくなくば、ナギを離せっ!」

「カイ! クロム!」


 わたしを捕まえていた男たちは、カイの怒号に一瞬ひるんだ。うん、二人を瞬殺したもんね、この人。牙剥き出して威嚇してるクロムもいるし。

 この三ヶ月で何度か野盗退治や魔物討伐を見たので、死体を見ることも二人の強さを目の当たりにするのも初めてではないけれど、やっぱり少し怖い。わたしは粟立つ腕を押さえた。


 しかし覆面男Fは意外にも肝が据わっていたらしい。震えるわたしをGとHに預けると、なんとカイに飛びかかって行った……が、飛びかかる前に斬り捨てられた。速すぎて動きが見えないとか、わたしが欲しかったチートがここにあった。カイめ、うらやましすぎる。


「ひっ、ひぃっ!」

「うわああ〜っ!」


 残り二人は雑魚だったようだ。わたしを抱き抱えていたGとHは、カイとクロムに怯えて逃げ出した。


「カイ〜〜」

「ナギ!」


 半泣きになってカイに飛び込むと、ぎゅっと抱きしめられた。うう、どうなるとこかと思った! まだ心臓がドキドキする!


「無事でよか……っって、いや、ナギ!」


 顔を背けつつも、勢いよくカイがわたしの肩に手をやって引き剥がした。なんで!? って思ったのも束の間、わたしはカイが慌てた理由に思い当たって悲鳴をあげた。


「きゃあぁぁっ!?」


 知らず裸をさらしていたわたしは、慌てて前を隠してしゃがみこんだ。タオルさん、仕事してください! 仕事放棄禁止!


「み、見た……?」

「見てない! 見てないから!」


 そっぽを向いたカイの顔が、耳まで赤く染まっている。そんなやりとりを見ていたクロムが、服を咥えて持ってきてくれた。パサリとわたしに投げかけると、ふんわり尻尾で隠してくれる。その優しさに涙が出てくる。

 ああ、もう! 恥ずかしすぎて死ねるわ!

 身悶えするわたしの頭を、クロムの尻尾がなでてくれた。キミ、ご主人さまに似てるね……!

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