第116話 邪魔者
定期更新にする予定です。
詳細は活動報告とあらすじに記載します。
「嘘だろっ!」
精霊に対して神聖魔法を内包させた攻撃魔法を放ったがあっさりと”消されて”しまった。
「あはは! 本当にすごいよここまで魔法を自在に操るなんて! ”コントロールだけ”ならアイデン以上じゃないかな? ああ、怒らないでよ? 君の才能が無いって言いたいんじゃなくて、才能溢れる人間は他にもいるってことさ」
アシムに気を使っているように聞こえる言葉の裏には、”君程度の才能なんて沢山いるんだよ”というメッセージが込められていた。
「といっても君の”特別”は他にあるみたいだけどさ!」
精霊はお返しとばかりに炎の”弾丸”をお見舞いしてきた。
弾丸というほど速い魔法ではあったが、魔法で身体強化をしているので反応はできる。
ちなみにこの身体強化自身は得意なようで、ユーリやその他の人たちよりも効果が高いように思える、元々の身体能力はユーリより少しいいぐらいなのだが、お互いに身体強化を掛けて競争するとその差が大きく開いたのだ。
同じ年代で使える者は他にいないし、エアリスや父も苦手なようだった。
「あの魔法は使わないのかい?」
神聖魔法を使わせたいのか、追い詰めはするが止めは刺さないようにしているらしかった。
精霊の誘いに乗るか少し悩む、先ほどは炎の中に隠しておくために少量の神聖魔法にしたが、あれ以上大きくしてしまうと見学しているモリトンにバレてしまう可能性があった。
「ああ、あいつを気にしてるのか」
アシムの視線に気づいた精霊はモリトンに向かって声をかける。
「ねぇ、モリトン! 邪魔だから出て行ってよ!」
モリトンは唖然とした顔をしていたが、時間が経つにつれてその言葉が自分にかけられたものだと理解したようだ。
「な、じゃ、邪魔だと!」
精霊の言葉に怒りを覚えたのか、憤慨した様子だった。
「ああ、そういうのいいから! アシムと僕の戦いを見て分かったでしょ? ここは君のいるべき場所じゃないって。 これ以上ここにいると、自分とアシムの差を見ることになって益々辛いだけだと思うけどな?」
相手のことを思って言ってるのか、本当に邪魔だと思って言っているのかわからない言葉の掛け方だが、モリトンは何も言い返せないでいた。
「くそっ!」
言い返したいという気持ちが顔に出ていたが、目の前で見た現実を受け入れたのだろう、モリトンは闘技場を走って出て行ってしまった。
「お前、契約者じゃないのか? 泣いてたぞ?」
モリトンが去り際に涙を流しているのが見えた。
「僕の契約者はモリトンじゃなくて、兄のアイデンの方さ! 誰があんな才能のかけらもない奴と契約なんかするもんか!」
心外だと言わんばかりに腕を胸の前で組み、プンプンと効果でもつきそうな感じで精霊は怒っていた。
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