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第112話 興味

アシムは女の子とも男の子とも見える”精霊”なるものと相対していた。


「そうそう、そんじょそこらの精霊と一緒にしないでよね!」


「全員教室に戻るぞ!」


マズいことなのか、先生が生徒全員を教室へ連れて戻る。

 モリトンは苦虫を嚙み潰したような顔をしているが、何も出来ないらしい。


「アシム・サルバトーレ! モリトン・ヴァルデック! お前たちもだ!」


ドウグラス先生が2人にも同じ指示をだ。


「あ~! 待って待って! 僕はアシム君のことを知らないといけないんだ、だから帰るのは待ってくれないかな? もし帰るっていうなら、教室までついて行っちゃうよ?」


先生はしばらく考える素振りを見せ、それはマズいと思ったのか許可を出す。


「サルバトーレと戦ったら大人しくしてくれるか?」


「もちろんさ! アイデンに言われてるのは、アシム・サルバトーレを知ってこいってことだけだしね!」


「そうかなら何も言わん」


「安心してよ! 僕の存在はあまり知られていないんでしょ? 秘密にしたいなら大人しくしててあげるからさ!」


「はぁ、よろしく頼む」


呆れたようなため息をついて手を振った。

 そのまま生徒達の後を追うように先生も出ていく。


「秘密?」


アシムは精霊とやらに問いただす。


「知りたい? 僕のことそんなに知りたい~?」


何か楽しんでいるような態度にイラっとする。


「あ! 今イラっとしたでしょ! 変な生き物におちょくられたって!」


「そんなことないけど……」


勘はいいようだ。


「まあ別にいいけどさ!」


結構陽気な性格のようだ。


「僕は人間が大好きなのさ! そのなかでもアイデンは特にね! そのアイデンが興味を持っている君に僕はとてもとても興味があるんだよ! だからさ、君のこと教えてよ! そしたら僕のことも教えるからさ!」


「教えるって、自己紹介でもすればいいの?」


精霊に興味を持たれるとは思っておらず、どう対応すればいいのか戸惑ってしまう。


「全力で戦ってよ!」


「全力で戦う?」


「そうそう、精霊っていうのはこの大地のエネルギーそのものなのさ! だからさ、人間が一番エネルギーを使う戦いがわかりやすいな!」


「なるほど……わかった、でも僕の全力を受けて精霊は大丈夫なの?」


「きみきみ、精霊をなめちゃあいかんよ! 僕らは大地のエネルギーそのもの! 消滅するなんてありえないのさ! まあ一時的に姿を形成できなくなることはあるけどね!」


「不死身ってこと?」


「う~ん、僕たちのこの状態を生きてるって言うなら不死身だね! だからさ! 遠慮しないで全力で戦ってよ!」


アシムは周りを確認して頷く。


「分かった、”今だせる”全力を出すよ」


「ふふふ! 楽しみだなぁ!」


言葉とは裏腹に、アシムと精霊の間に緊張が走った。




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― 新着の感想 ―
[一言] 闇組織ですら将来の公爵だと理解しているのになぜ貴族がそこに気付かないで喧嘩売ってきているのでしょうか? それとも邪魔するためにあえて突っかかってる?そうだとしてもずいぶんと悪手な気がしますが…
[一言] 結界とか周りに被害出ないような防護壁無いと 最悪学校中心とした半径2㎞ぐらい更地になるんじゃ?
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