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第111話 火の精

「ん?」


モリトンの魔法に違和感を覚える。

 練習で見ていたものとは質も生成速度も段違いにレベルが高い。


「焼き尽くせ!」


「呪文?」


呪文は基本長ったらしい口上になりがちだが、奴はかなり短い言葉になっている。

 魔法を体の中で練る速度から、トリガーとなる呪文、威力までもが別人のようなクオリティだった。


「まあ、アイリスの方が強いけどな!」


アシムは放たれた魔法の回避行動に移る。

 奴はまるで勝ったかのような表情を浮かべ、同時に魔法を放ってくる。


「複数で魔法を発動できるのか」


ここ一週間クラスメイトを見てきたが、このレベルで魔法を扱っている者を見たことはない。

 ユーリはそもそも魔法が微々たるものしか使えないし、ライア、マイア姉妹も複数魔法を行使はできない。


「オラァ!」


「おお! スタミナもあるのか!」


魔法を連発しても息切れした様子はなく、モリトン・ヴァルデックの評価が変わる。


「クソッ! なんで当たらないんだよ!」


先ほどまでの表情とは打って変わって、焦りが見える。

 それもそのはず、アシムは先ほどから全く魔法に当たっておらず、見事に全て回避してみせている。

 これには、絶対の自信があったであろうモリトンも力の差を感じざるを得なくなってきている。


「あれって」


「だよね? ヴァルデックの後ろにいるのって」


「ん?」


観戦をしているクラスメイトの声に気づいて、奴の後ろの方を見る。

 よく見ると炎の形をした何かがいる。最初は魔法の同時展開の一つだと思っていたが、そうではないようだ。


「人?」


何か小さな人型のような炎が揺らめいている。


「あぁ~! もう! 効率悪いなあ!」


その人型の炎が急に声を発し始めた。


「だから嫌だったんだよ! アイデンがどうしてもって言うから力貸してやったけどもういいや!」


「何! オイ貴様! 兄上に言いつけるぞ!」


「アイデン様はあいつの力を見て来いっていってたよね!?」


小さな炎はアシムの方を見て腕組みをしている。


「後は僕がやるからお前は端で見てて」


「何を勝手な!」


奴は不満を声に出すが、小さな炎に魔法で脅されて黙ってしまった。 


「それじゃあ君……アシムだっけ?」


アシムはユーリの方に視線で炎の正体を訪ねるが、首を横に振られてしまった。


「君は何者だ?」


「僕の質問に答えてよ! そうしたら教えてあげる」


「僕がアシムだけど……」


「うんうん。だよねだよね! 一応念のために確認したんだ!」


「それで、君は?」


「僕は火の精霊さ! それも上位のね!」


「上位の?」


精霊など聞いたことのないアシムは、頭の中にはてなを浮かべる。



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