第101話 グループ
日付は変わったけど、寝ていないから今日中に入る理論!
「あははは!」
「ん゛~!」
マイアの目からは涙が滲んでいた。
必死にアシムを睨むが、本人はおかしくてたまらないといった様子だ。
おすすめされた緑のソースは、鼻を抜けるような爽快感とチクチクというには生易しい刺激が体を駆け抜ける。
「水」
ユーリが空いているコップに水を注ぎマイアに渡す。
「アシム君何を食べさせたの?」
「これ」
アシムは皿に盛り付けられている”わさび”を木のスプーンで掬い取る。
「”わさび”って言うんだ、辛さがあって少しつけて食べるんだよ。マイアのは付けすぎだね」
「アシム君酷いよ!」
「あははは! ごめんごめん!」
アシムは申し訳なさ半分、面白さ半分といった感じで謝った。
そう言いながらも先ほどのマイアの倍近くの量を掬い取ったアシムはそのまま口の中に放り込む。
「ええ! 今自分で付けすぎって言ったばかりじゃない!」
「しかも何もつけないで!」
双子は信じられないといったような表情でアシムを見る。
「大丈夫だ」
「ユーリ君?」
「アシムは辛い物が大好きなんだ。これくらいなんでもない」
アシムは双子に向かってサムズアップする。
「辛い物好きって……私の倍くらいあるじゃない」
「やっぱわさびは直に限るな!」
「信じられない」
不思議生物でもみたかのような気分だった。
「アシム君が辛い物好きなのはわかったけど、わからないことがあるの」
「わからないこと?」
ライアが疑問の声を投げかける。
「ユーリ君てアシム君の使用人だよね?」
「そうだが、なぜわかった?」
「自覚があるのね」
ユーリのアシムに対する態度は使用人には見えないのだ。
「なんでユーリ君は雇い主の貴族様にそんなにフランクなの?」
「責めてるのか?」
「違う違う!」
ライアは慌てて手を振って否定する。
「貴族の使用人といえば、主人に対して礼を尽くすのが普通じゃない?」
「そうだな……」
「出会いが出会いだったからな」
横からアシムが口を挟む。
「出会い?」
「まあそこはいつか話すよ。ちょっと気恥ずかしいし」
「そう、それと関連してなんだけど、その態度のままクラスに行ったらマズくない?」
「マズい?」
「うん、貴族が部下からなめられてると思われたら貴族のグループから外されちゃうよ?」
「貴族のグループ?」
「え! アシム君貴族のグループ知らないの?」
「うん」
アシムはそんなものは聞いたこともないし、興味もなかった。
「わかった説明してあげるわ」
ライアとマイアの講演が始まった
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