表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/74

8話 デート

 土曜日。


 ショッピングモールの休憩所でスマホをいじる。

 最近リリースされたソシャゲは難易度が高いけど、でも、やりごたえがあって面白い。


 なんてゲームに夢中になっていると……


「おまたせしました」


 宮ノ下が姿を見せた。


 いつもは可愛いと思うような服装だけど、今日は綺麗と思うようなコーディネートだ。

 それと、ふわりと柑橘系の匂いがする。

 たぶん、香水だろう。

 でも嫌な感じはしない。

 さりげなく香る程度なので、むしろプラスに働いている。


「……」

「ふふ、どうですか? 普段よりも大人な私に、結城さんはドキドキですか?」

「確かに……うん。ドキドキかどうかよくわからないけど、素直に驚いた」

「そ、そうですか……ふーん、そうですか。私、可愛いですか?」

「うん、可愛い」

「……す、素直ですね? さては、なにか企んでいますね? 私はちょろい女の子ではありませんよ」

「いや。本当に可愛いと思うよ」

「もう、好きです! 大好きです!」


 ものすごくちょろくないだろうか?


「良いと思うよ。俺は、ファッションとか疎いけど、それでもわかるくらい、いいと思う」

「そうですか……えへ、えへへ♪ もう、結城さんは、私を喜ばせるのが得意ですね」


 宮ノ下は平静を装っているけど、わりと照れている様子だった。


「と、とりあえず行きましょうか。デートの時間は有限ですよ」

「オッケー」

「では、レッツゴー、です♪」




――――――――――




 宮ノ下の気持ちにきちんと向き合うと決めたから、できる限りは応えないと。


 なので……

 デートに誘われ、デートをすることになった。


「ふっふっふ、今日は私の超絶テクで結城さんを虜にしてあげますよ」

「その手の動き、やめない?」


 おじさんくさいぞ。


「今日は私が結城さんをエスコートしますね」

「了解、お願いするよ」

「ではでは、出発です!」


 宮ノ下が先導する形でショッピングモール内を進み、安さが売りのアパレルショップに到着した。


「まずは、ここでショッピングです」

「宮ノ下って、ここを利用するんだ」

「意外ですか?」

「正直に言うと」


 このアパレルショップは安さが売りなので、ブランド力というものはあまりない。

 だから、女の子はあまり興味がないと思っていた。


「その認識、ちょっと古いですね。ブランドを重視する子はいますが、逆に魅力を感じない子の方が増えてきています。ブランド? だからなに? という感じで。ブランド品が絶対に流行るということはないですからね。他にもいいものはたくさんあります」

「そう言われると……」

「最近はこういうところでも可愛い服がたくさんあるんですよ? 流行に乗るのは大事ですけど、でも、自分好みの服で固めたいじゃないですか」

「なるほど」

「なにより、安い。小学生の身にはとてもありがたいです」

「結局、そこなんだ」


 苦笑してしまう。

 金銭感覚はすでに大人のようだ。


「結城さん、私に似合う服を探してくれませんか?」

「え。俺、ファッションセンスなんてないと思うけど……」


 安さと着心地重視。

 よほどの色物でない限り、服のデザインを気にしたことはない。


「好きな人に選んでほしいんです。そうやって、好きな人の趣味の服を着ることで、染められている、っていう感じになりたいんですよ♪」

「……わかった、がんばるよ」


 そう言われてしまうと断ることはできない。

 恋人ではないけど、宮ノ下に喜んでほしいという気持ちはある。


「んー……これなんてどうかな?」


 ふんわり長めのスカートを手に取る。

 淡いピンクをエッジの効いたデザインで仕立て上げていた。


「おぉ。結城さん、いいものを選びますね。うんうん、すごくいい感じです」

「よかった。でも、これに合うものを選ぶのが大変なんだよな」

「上は私が選びますよ。結城さんとの愛の共同作業ですね♪」

「言い方」




――――――――――




「うーん、こんなところでしょうか? 本当は、あと二時間くらい選びたいですが」

「いいよ」

「えっ、いいんですか? すでに、けっこうな時間を選んでいますが」

「女の子の買い物って、そういうものだろう?」

「むむ、なんていう理解力……やりますね」


 そこで褒められても。


「でも、これ以上、結城さんを連れ回すのは申しわけないので、ここまでにしておきますね」

「俺は構わないけどな」

「え?」

「大事な友達のためだから」

「……もう、もうもうもうっ。そういう言葉は、友達だ、とか言われても、ものすごく嬉しくてキュンと来るものなんですよ。気軽に使うと、私が死んじゃいますよ?」

「死ぬの?」

「萌え死です」

「やな死因……」


 むしろ、それは男側が使うものでは?


「とにかく……じゃあ、お会計をしてきますね」


 服を選び終えて、宮ノ下はるんるん気分で会計に向かう。


 俺が出そうかと思ったけど、「最初のプレゼントが適当なものなんてイヤです」と断られてしまった。

 適当なつもりではないんだけど……うーん、女の子って難しい。


いつもたくさんの応援、ありがとうございます!

引き続き、ジャンル別日間ランキング1位になりました!

たくさんの人に読んでいただき、たくさんの応援をいただいたおかげです、本当にありがとうございます!

がんばるので、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです!


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


「面白そう」「続きが気になる」と感じていただけたのなら、

『ブックマーク』や『☆評価』などをして、応援をしていただけますと嬉しいです!

(『☆評価』は好きな数値で問題ありません!)


皆様の応援がとても大きなモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 女の子の難しさの描写が最高です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ