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67話 ごめんなさい

「この前は、いきなり落ちたりしてごめんなさい!」


 夜。

 ファンネクでアイリスと小柳先輩と合流して……

 そして、開口一番、鈴が頭を下げた。


「?」


 小柳先輩は首を傾げるエモートを使う。

 ここ最近で、エモートを使うことを覚えたみたいだ。


 ……成長が速いな?


「えっと……?」

「……あっ、この前って、この前のことなんだね。アイリスちゃんがいきなりログアウトした時の」

「は、はい……あの時は、とても失礼なことを……」

「よかった、なんともなかったんだね」

「え?」

「あれから一人で考えてみたんだけど、もしかしたらトラブルが起きたのかな? って心配になってきて……でも、そういうわけじゃないみたいだから、良かったー」

「……」


 カメラは繋いでいないから、リアルの鈴の顔は見えないけど……

 ぽかーん、としているところが簡単に想像できた。


「師匠、師匠。今日はヒマですか? よかったら、またダンジョン攻略に付き合ってもらえると嬉しいなー、なんて」

「……」

「師匠?」

「う……うわーーーーーんっ!!!」


 いつもと変わらない様子で接してくれる小柳先輩の優しさに触れて。

 感情が限界突破したらしく、アイリスが思い切り小柳先輩に抱きついた。


「こ、こんなに優しい人なのに、私は、私のことばかり考えてぇえええええ!!!?」

「ど、どうしたんですか? え、え、え?」

「すみませんでしたぁあああああーーーーーっ!!!」

「えぇ……?」


 アイリスは感極まり。

 小柳先輩は困惑して。


 そんな二人を見る俺は、苦笑するしかないのだった。




――――――――――




 しばらくして鈴が落ち着いて……

 そして、胸に秘めていたものを言葉にして告げた。


「……と、いうわけで。私、逃げちゃったんです……だから、改めてごめんなさい」

「そっか」


 小柳先輩は怒るわけではなくて、かといって慰めるわけでもなくて。

 ただただ、静かに話を聞いていた。


 それから、アイリスを抱きしめるエモートをする。


「ありがとうございます、話してくれて」

「え?」

「そんな話をしてくれて、私、嬉しいです」

「……怒らないんですか? 私の勝手で振り回したのに」

「怒らないですよ。だって、悩みを打ち明けてもらえるなんて、嬉しいじゃないですか」

「……」

「そういうのは、どーんと任せてください! 私、こう見えても大人なので」


 リアルの見た目は小学生ですけどね。


「だから、たぶん、なにかできることがあると思うので……頼ってもらえたら嬉しいです」

「どうして……そこまで、優しくしてくれるんですか?」

「え? 友達なら普通のことじゃないですか」

「……友達……」

「はい。師匠は、師匠だけど、でもそれ以前に大事な友達です♪」

「……」


 アイリスは反応がない。

 驚いているのか、それとも……


「あれ? 師匠……?」

「……」

「えっと……もしかして、友達なんておこがましいことを」

「そんなことありませんっ!!!」


 アイリスは、がっつり食いついた。

 抱きしめるのエモートを返す。


「私も、私も……友達になりたいと思っていました!」

「よかったです。じゃあ、友達ですね」

「はい!」


 よかった。

 これで、問題は無事に解決した。


 瞬時に心を切り替えるのは難しいだろうけど……

 これでアイリスは大丈夫だろう。

 きっとまた、心からの笑顔を取り戻してくれるはずだ。




――――――――――




 完全に、というわけじゃないと思うけど……

 鈴はトラウマに囚われることなく、一歩、前に踏み出すことができた。


 あの調子なら、もう手助けは必要ないと思う。

 鈴自身の力で進んでいくことができるはずだ。


 ……困るようなことがあれば、その時は、迷うことなくできることをするけどな。


 小柳先輩も、鈴っていう新しい友達ができて嬉しそうだったな。

 胸に抱えていたものを聞くことができて……

 たぶん、あの二人は良い友達になれると思う。


「って、噂をすればっていうやつじゃないけど」


 小柳先輩からメッセージが届いた。


 IDの交換もしておいた。

 学校の友達と使うもので分けているから、俺の名前はヒロになっている。


『ごめんなさい、こんな時間に』

「まだ起きているから大丈夫ですよ」

『少し気になっていたことがありまして……』


 そこでメッセージが止まる。

 バグ?

 寝落ち?

 不思議に思っていると、3分ほどしたところで新しいメッセージが届いた。


『もしかして、ヒロさんは……結城君?』

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