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34話 好き

最後に大事なお知らせがあるので、そちらも見ていただけると嬉しいです。

(※3月13日 追記)

「っ!?」


 驚いて、反射的に身を引いてしまう。


「えへへ」


 目を開けると、頬を赤くした宮ノ下の姿が。


「お前……」

「なんですか?」

「今、なにをした?」

「さて、なんでしょう」


 宮ノ下は笑いつつ、とぼけてみせる。

 でも、その頬はほんのりと赤い。


「今のが私のお礼です。どんなものなのか……詳細を聞きたいですか?」

「……遠慮しておく」


 確認したら、さらにどツボにハマりそうなので、なかったことにした。


 ヘタれだな。

 想像通りなら、宮ノ下は勇気を出したと思うんだけど……


 でも、仕方ないだろう?

 どんな反応をしていいか。

 どんな言葉をかけていいか、まったくわからない。


 俺は高校生。

 宮ノ下は小学生。

 先に進んでいいわけがない。


「はぁ……」


 ため息を一つ。


「今更な質問だけど、宮ノ下は、どうして俺のことを好きに?」

「前にも言いましたよね?」

「また確認したくなったんだ」

「そうですね。一緒にいてくれたとか、優しいとか、欲しい言葉をくれるとか……色々とありますけど、ハッキリとした言葉で説明することは難しいですよ」

「そういうものか?」

「そういうものですよ」


 宮ノ下は、どこか遠くを見つつ言葉を紡ぐ。


「恋するって、結局、心の問題じゃないですか? で、心は目に見えない。全部が解明されているわけじゃない。だから、わからないんですよ」

「宮ノ下って、本当に小学生か……?」


 そんな風に考えている小学生なんて、なかなかいないと思う。

 それとも、今はこれが普通なのだろうか?


「なので、昔から伝わる、とても簡単な説明をしたいと思います」

「それは?」

「私は、気がつけば結城さんのことを好きになっていましたよ」

「……」

「恋はするものじゃなくて、落ちるものですからね」


 そう言って、にっこりと笑う。


 その笑みは、いつものように明るさと元気にあふれたものじゃない。

 ただ、悪い意味じゃない。

 静かで、落ち着いていて。

 それでいて、優しさにあふれている。


 不覚にも。

 本当に不覚なことだけど、わずかに見惚れてしまう。


「恋は落ちるもの、か」

「結局のところ、それが一番だと思いません? 言われ続けていることですけど、だからこそ、正しい気がするんです」

「そうかもな」

「それでそれで、結城さんは、いつ私に落ちてくれるんですか?」

「最速でも、あと8年後かな」

「ぶー。そんなに待てませんよ、私」

「そうでもないと事案なんだよ」

「愛の力で法律の壁なんて飛び越えてしまいましょう?」

「そして俺は塀の中に着地か?」

「毎日、面会に行きますよ♪」

「その前に無茶をやめてくれ。なんなら、諦めてくれていいぞ」

「それは嫌です」


 即答だ。

 考えることも、迷うこともない事柄らしい。


 ほんと、どうして俺はこんなに好かれているのだろう?

 謎だ。


 ……俺も、恋に落ちたら理解できるのだろうか?


「結城さん、まだ時間は大丈夫ですか?」

「むしろ、それは俺の台詞だけど……まあ、問題はないよ」


 一人暮らしだ。

 それに、夜道が怖いということもない。


「なら、一緒にファンネクやりません?」

「どうやって?」

「私はゲーム機で。結城さんはパソコンで」

「両方、インストールしてるのか?」

「ですです」


 ガチゲーマーだなあ。


「別にいいけど、IDとか残さないようにしてくれよ?」

「……モチロンデストモ」


 こいつ、それを狙っていたな?


 先に釘を刺しておいてよかった。


「ま、同じ部屋で遊ぶのもいいか」

「初めてですね……私の初めてと結城さんの初めてを交換……きゃっ♪」

「おっさんっぽいことを言うな」

「ドキドキしません?」

「しない」

「結城さん、枯れていませんか?」

「相手がスタイル抜群の美少女ならドキドキしたけど……うーん」

「あー!? 今、私のどこを見て言いました!? どこを見て言いました!?」

「さあ?」

「むーっ、むーっ! セクハラです! 訴えます! パパとママに訴えます」

「ごめんなさい」


 そんなことをされたら事案だ。

 即座に頭を下げる俺だった。


 弱い。

 宮ノ下>俺、という構図ができあがってしまっているような気がする。


「まったくもう。でも……そんな結城さんだから、落としがいがありますね♪」

「そういうところのやる気は、本当、とんでもないな」


 小学生らしからぬ小学生だ。


 でも……

 だからこそ、こうして一緒の時間を過ごすことができるのかもしれない。


 居心地がいいというか。

 リラックスできるというか。

 宮ノ下と一緒にいる時間は、なんだかんだ楽しいんだよな。

 誰よりも、一番気の合う友達だ。


 ゲーム機とパソコンでファンネクを起動して、それぞれログインする。

 そしてゲームが始まり……


「結城さん」


 その前に、宮ノ下がにっこりと笑う。

 それからとびきりの笑顔を浮かべて、


「好きですよ♪」


 甘い甘い想いを告げるのだった。


 ……小学生に告白された俺は、男子高校生。

 これは事案ですか?

【作者からのお願い】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

感想や評価などなど、応援していただきとても嬉しいです。


当初の予定では、ここで終わりにしようと思っていたのですが……

少し悩んでいます。

なので、この後の反響を判断材料にさせてください。


『まだ読みたい』『もっと続いてほしい』など思っていただけたなら、

ブックマークや☆評価で応援していただけると嬉しいです。

ストレートな話ですが、ポイントをいただけるとモチベーションが上がり、

応援してくれている人がいるから、がんばろう! という気持ちになれるので……


率直な評価で構わないので、

続きをと思っていただけるなら、応援していただけると、とても嬉しいです。

逆にここまででいい、と思った場合はブックマークなどを外してもらっても大丈夫です。

素直な感想、評価をよろしくお願いします。


※3月13日 追記

たくさんの応援、感想、ありがとうございました! とても嬉しく思います!

色々と考えたのですが、もう少し続けたいと思います。

応援などで背を押していただき、重ね重ねありがとうございます!


とはいえ、今から続きを考えて書くので……

次話は、もう少しお待ちいただければ……!(来週までには、なんとか!)


改めて、感謝です!

そして、今までと変わらぬ応援など、よろしくお願いいたします!


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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 直接の続きでなくてよいので、数年後や大人になってからなどの、後日譚的な短編や中編を読んでみたいですね。
[良い点] MMOでの出会い、相手が年少、誕生日デートからストーカー騒動、最後は両親への挨拶(違う)。 起承転結がしっかりしており、とても綺麗に纏まっていると思います。 何よりヒロインの年少らしい可…
[一言] 楽しませていただきました。 きれいに一区切りなので無理して続けるのは良くはないとは思います。 読み手の願望としては書きたいネタがあるときに書けるだけとか、ショートショートとかでもつづけて…
感想一覧
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