表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/200

失踪

 その夜は中々寝付けなかった。

 明日に式があるので、それも当然だ。


 家を歩いていると遥と鉢合わせした。


「よ」


「うん、こんばんは」


 そして、数秒沈黙が漂った。


「今回は苦労したね」


「今回も、だな」


 二人して苦笑交じりの表情になる。


「そういえば昔から思ってたんだけど」


「なあに?」


「お前の次元突ってどこの世界と繋がってるんだ?」


 遥は、虚を突かれたような表情になり、腕を組んだ。


「考えたことなかったなぁ。あの小さい突きの穴でも維持は大変だし」


「なら、私が手伝ってあげるだわさ」


 静流がいつの間にか近づいてきていた。


「私の魔力を遥に送る。それで、ちょっとは無茶ができるようになるはずだわさ」


「嫌だなあ。魔界とかに繋がってたりしたらピンチじゃない」


「その時はその時で閉じればいいだわさ」


 静流は随分乗り気なようだ。


「それじゃ、やってみるか」


 遥は、渋々といった感じで刀を鞘から抜く。

 そして、それを構えると、何もない空間を突いた。

 空間に穴が開き、それがどんどん広がっていく。


 そうして現れた光景に、一馬は息を呑んだ。

 一馬が生まれた世界か、それにごく近い世界だ。

 アスファルトの道路とフェンス。曲がり角に設置されたミラー。植えられた街路樹。


 一馬は、次元の穴に触れた。

 その途端に、一馬の体は穴に吸い込まれた。


「一馬?」


 遥が、焦るように言う。


「どうしたの?」


 人間モードのシャロが寝ぼけ眼で近づいてくる。

 そして、シャロは盛大に転んだ。


 二人と一匹は体勢を崩して、遥と静流の肩の上の猫ごと穴の中に吸い込まれていった。



第七十七話 完



次回『家路』

更新日です。六話ほど更新しようと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ