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終着点

「次が終着点のようですね」


 刹那の言葉に、緊張が走った。

 今までいたモンスターも弱くはなかった。

 ならば、終着点に待ち受けているモンスターとはどんな怪物だろう。


「私も一応人間形態になっておくね」


 そう言って、シャロは一馬の膝の上から降りると人間に変化した。

 黒い髪とワンピースが小さく揺れた。

 可愛いな、と一馬は思う。


「覚悟は決まりましたか?」


 刹那は、周囲に問う。


「今更引き返せないだわさ」


「俺の飛燕も役立つと思います」


「潜入ミッションを完結させましょう」


 全員の気持ちは、一致していた。


「それではいきましょうか。最後の決戦へ」


 そう言って、刹那は歩き始める。

 全員、その後に続いた。

 そして、階段を降りたその先で、開けた洞窟の外に出た。

 洞窟の外までは、まだタイルが敷かれていないようだ。


「人間だ!」


 叫び声が上がる。


「何故人間がここに?」


「途中の警備兵はどうした!」


 火が焚かれ、沢山の魔物がいた。

 混乱状態にあるようだ。


「遥」


 刹那が短い声で言う。

 遥は鞘に収めた刀の柄に手を添えると、抜刀した。


「飛燕!」


 様々な場所で鮮血が上がる。

 飛燕。その凶悪さは術者から離れれば離れるほど攻撃範囲が拡大することだ。

 敵が大軍であればあるほどその被害は大きい。


「合成魔術、メテオストライク!」


 そう言って静流が杖を振る。

 隕石が降ってきて、敵の大軍に降り注いだ。


「お前、本当に強かったんだな」


 一馬は刀を構えながら言う。


「能ある鷹は爪を隠すものだわさ」


「さて。それでも敵は多い」


 刹那は呟くように言って、刀を鞘から抜く。

 魔物達の気配が変わっていた。

 それは、明らかに侵入者をすり潰そうという考えで統一されていた。


「静流。私、一馬、遥、シャロの四人を間に挟んで線上に岩の壁を作ってください」


 静流は言われるがままに、壁を作る。

 後は、各々目の前に敵と戦うだけだ。


 ギガスの大軍が、目の前に現れていた。



第三十九話 完

次回『悲しい再会』

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