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七公の力

「合成魔法と言ったな」


 キシャラが、呟くように言う。


「そうだけど?」


 静流は言いながら斬りかかる。

 それを、キシャラは体の角度を変えただけで避けた。

 静流の腹部にキシャラの膝が突き刺さる。


 静流は地面を転がって、追撃を避けようとその場から跳躍した。


「飛燕・改!」


 遥の必殺技がキシャラを襲う。

 しかし、それはキシャラが魔力を放っただけで相殺されてしまった。


「連撃!」


 遥は叫んで、飛燕・改を連発する。

 しかし、駄目だ。魔力のバリアーを突破できない。


「なんのつもりだ?」


 亜人公は戸惑うように言う。


「足止めだよ!」


 そう叫び、空から降りてきた静流の剣が、キシャラの肩へと突き刺さる。

 今だ、と思った。

 一馬は全力で駆けて、キシャラの腹部へと剣を突き出した。


 しかし、それは結界で阻まれる。

 結界の中で、キシャラは傷を回復していく。

 魔力で傷を治癒しているのだろう。


「キリがないだわさ」


「三万体相手にするよかマシだろ」


「それもそうだわさ」


 調子のいい静流だった。


「手を思いついた」


「確実性は?」


「半々ってとこだ。だから、このギャンブルは、俺だけがする」


「シャロを泣かせるような真似だけはするんじゃないだわさよ」


「ああ」


 一馬は突進する。そして、結界にぶつかる瞬間、自分の結界を展開した。

 結界と結界が触れ合い相殺する。

 ギャンブルは、一馬が勝った。


 そして、一馬は攻撃を当てずに、亜人公とすれ違った。


「どうしただわさ?」


「この人、操られてる! 後頭部に、針が刺さってるみたいだ」


「黒幕は遊具公か……」


 静流は苦い顔で言う。


「なら、三人がかりで針を破壊するわよ!」


「わかった!」


「魔力の壁を突破できればだけどね」


 遥は、少し拗ねたように言う。


「操られている? 私が? 馬鹿を言え!」


 魔力が爆発的に放たれて、周囲の人間を吹き飛ばした。

 三人は着地したが、数十体のオーク、狼と十数人の人間が巻き添えになった。


「地上を制覇して妻達に楽園を作る。それが私の望みだ」


「あんたの妻はそんなこと望んでいない!」


 一馬は、覇者の剣でキシャラを指す。


「あんたが傍にいるだけでいいんだ!」


「小僧が、わかったようなことを……!」


 キシャラは一馬に向かって跳躍した。

 一馬は、不条理の力を足に一点集中する。


 そして、一馬はすれ違いざまにキシャラの後頭部から針を抜いた。

 着地する。


 キシャラは呆然とその場に立ち尽くしていた。

 魔力を放出することもなく。

 剣気を放つこともなく。

 ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。


「私は……なにを……?」


 その呟きが、この戦いの終わりの始まりだった。



第百四十八話 完



次回『戦いの終わり』


18時頃投稿予定

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