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ギルドラ

 ギルドラの剣の一振りが、味方部隊の前列を襲った。

 それを、受け止める剣があった。


 それは、元はギルドラの剣。前の主人の剣を防いだことになる。

 静流だった。


「流石結城。言われた通りこっちにも出ただわさ。それがあんただとは因縁ね」


「お前か……」


 ギルドラは憎々しげに静流を見る。


「私がいることも忘れてもらっちゃ困るよ」


 そう言って、遥が鞘に収まった剣の柄に触れる。

 静流がまずい、と思ったのはギルドラの登場ではなかった。

 その背後だ。

 ギルドラの出てきた穴からは、次々に鬼人部隊が出てきている。


 味方がそれに対応できるかは、怪しい。


「遥、勝負を急ごう」


「わかってる」


 ギルドラが、巨大な剣を振りかぶり、縦に斬った。

 二人は回避し、その攻撃のぶつかった場所から土が飛び跳ねた。

 静流は着地した足に全集中力を注ぎ込む。


「刹那の太刀!」


 神速の一撃。

 以前は相手の腕を斬ったこの一撃を、静流は横から放った。


 ギルドラの首が、飛んだ。


 遥が片手を上げ、静流がそれを叩く。

 ハイタッチだ。


 そして、即座に二人は臨戦態勢に戻った。

 鬼人族をなんとかしなければならない。


 鬼人族は次々に人間軍の兵士を屠っていく。

 中には連携プレーで倒される個体もいるが、こちらの人数が削れる速度の方が圧倒的に早い。


 そして、静流は背中から斬られた。

 浅くない傷だ。

 骨まで達しているのがわかった。


 倒れて、恐る恐る振り向くと、そこには首のないギルドラの体があった。

 糸のようなものが動いて、首を元の位置に戻そうとしている。


 遥が、静流にキュアーを唱え、再生しつつあるギルドラの前に立つ。

 痛みはあるが、徐々に動ける程度に回復してきた。

 

 静流は剣を握り直すと、立ち上がって、遥の隣に並んだ。


「どうやら易々とは」


「通してくれないみたいだわさねえ」


 遥が前に出て、静流は杖を握った。

 無言の連携プレー。

 戦いはまだまだ続く。



第百四十五話 完

次回『鬼子玉』


12時頃投稿予定です。

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