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亜人公キシャラ

 亜人公に龍公として公式に会談の打診を行ったところ、思いがけず簡単に話がまとまった。

 キシャラも話したいことがあるのだろうな、とシアンは思う。


 龍族は縄張りの意識が強いので争いが絶えない。

 魔力で傷を回復しているから死ぬ例はあまりないが、あまり良い状況とはいえない。

 しかし、龍というのがそういう種族なのだから仕方がない。


 強制的には竜に変えてしまおうか、とすら思う。

 竜と龍は読みは同じだが意味はまるで違ってくる。

 人の姿を得たものを竜。そうでないものを龍と区別して管理している。


 竜となった龍は人のように魔術を行使するようになり、肉弾戦闘にも強くなる。

 それでも皆が龍の形を保っているのは、一種のプライドだろう。


 まとめるには難しい種族なのだ。どうしたものだろうと思う。

 その状況下から、亜人公の領土に巣を作っている龍はいないかというのも今回の会談で問いたいところだった。


 そんな中、会談の日がやってきた。

 場所は、亜人公領。


「お会い出来て嬉しいです。龍公シアンと申します」


「お初にお目にかかる。亜人公キシャラだ」


 キシャラは長身の美丈夫だった。あちらの世界ならばモデルにスカウトされたかもしれない。


「早速ですが。美雪さん、狙われてますよ」


「私の手駒の中で一番信頼できる人間を護衛に配置した。合流したというし安心だろう」


「根を断たないと。暗殺者はいくらでも雇えます」


「……私は妻が十人いる」


 亜人公はバツが悪そうに言う。


「十人には緊急時に異世界へ移動する方法を教えてある。誰が犯人かわからぬのだ」


「十人とも愛していらっしゃるんで?」


 これはシアンなりの嫌味だったが、通じなかったらしい。


「もちろんだ」


 キシャラは、真顔で答えた。


(あー、なんか明後日の方向に真っ直ぐなのが一馬に似てるなあ)


 そんな印象を抱いたシアンだった。

 シャロが言うには一馬はモテていたという。

 こういう未来もあったのかもしれないな、と思う。



第百三十四話 完

次回『白と黒の同盟』

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