戦い終わって
一馬はいびきをかいて寝ている。
その横に、遥は座っていた。
寝ていると子供のようだ。
彼に助けられたのかと思うと少し信じられないような気持ちになる。
覇者の剣の柄に振れる。
すると、柄は熱くなり、持ち主じゃない者の接触を避けるかのような素振りを見せた。
遥は、素直に手を引っ込めた。
静流は近場の村で寝床を探している。
と言っても、住民は避難した後だ。食料がどれだけあるかという問題になるだろう。
「上々だわさ」
そう言って静流が鶏肉と酒を持ってきた。
火を起こし、肉を焼き、二人で酒を飲む。
「一馬がいなければ勝てなかった」
遥は、体育座りをして言う。
「そうでもないだわさ。実際腕は断ってた」
「……勝てた、かな」
「勝てた勝てた。私達二人に不可能はないのだ」
そう言ってピースサインをする静流に毒気を抜かれて、遥は苦笑した。
「後二人、三竜神がいる」
静流の言葉に、遥は気を引き締めた。
「三人いれば、きっと勝てる。結城さんが動けない今、私達が頑張るしかない」
「そうね。三人いれば、勝てる」
静流は表情を緩める。
そして、一馬の足をつねった。
「幸せそうによだれ垂らして、どんな夢を見ているんだろうね」
「どうせシャロと遊んでる夢でしょ」
「違いないだわさ」
激しい戦闘の合間の穏やかな時間が、流れていった。
第百十八話 完
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