表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/40

第6話 盗賊への尋問


「……て、てめえ。俺たち夜闇の骸蛇団にこんなことをして、ただで済むと思っているのか!」


「フハハハ、貴様は馬鹿か? こんなことぐらいで済ませるわけがないだろう。いいからさっさと貴様らの拠点の場所を吐け」


 昨日我が押し込められていた牢屋にひとりの男がいる。同様に他の牢にも2人の人相の悪い男が捕らえられている。まあ、捕らえたのは我なのだが。


 我がこの身体に転生してきたその翌日、早速その盗賊団とやらと連絡を取っている使いの者どもを拘束してこの屋敷へと拉致してきた。


「誰がてめえなんかに話すか! 俺たちと連絡のつかねえことがわかれば、すぐに親分たちがやってきて、こんなちんけな街なんてぶっ潰してやる! そこにいるてめえの女も目の前でめちゃくちゃに犯したあとにぶっ殺してやるからな!」


「ゼノン様の女……。くふふふ……」


 ミラがよく分からないところで喜んでいるな……。


「ふむ、別にそちらから来てくれても構わんが、せっかく我の所有物となったこの街を貴様ら風情に害されるのは気分が悪い。わざわざ我の方から出向いてやるというのだから、むしろ我に感謝すべきであろう?」


「な、なんなんだよ、こいつは……」


 男の顔が引きつっている。さて、これ以上問答をしていても時間の無駄だな。


葬送の闇鎌(ブリアルサイス)

 

「なっ!? ちょっと待て! 俺たちに手を出したら本当に――」


 ザンッ。


「ぎゃあああああ!!」


 牢屋内に男の絶叫が響き渡る。


「手が……俺の手が……」


 葬送の闇鎌によって男の左手の手首から先が斬り落とされ、そこから赤い鮮血が溢れ出ている。


「ミラ」


「はい、ゼノン様。『ヒール』」


「なっ、お、俺の手が!?」


 ミラが聖魔法を発動させると斬り落としたはずの男の左手が元に戻っている。当の本人も痛みが消えたのと、失ったはずの自分の手が元通りになっていることに驚愕していた。


「ほう、ミラの聖魔法の効果はすごいものだな」


「ゼノン様にお褒めいただき、光栄でございます!」


 こいつらに盗賊の拠点の場所を吐かせるついでに我とミラの魔法がどれくらいのものか把握しようと実験を行っているのだが、どうやらミラの聖魔法は部位欠損をも治療することが可能なようだ。


「ば、馬鹿な! こんな強力な回復魔法を使えるやつが……ま、まさかお前はアデレア国の聖女か!? なんでこんなところに!」


「聖女だと?」


 聖女――祝福である勇者とは異なり、国などが与える称号。我を倒した勇者のパーティにいた聖女もそうであった。


「ご、ご報告が遅れて申し訳ございません! 実はアデレア国で聖女の称号を拝命されておりました。そちらの方が何かと便利であるという判断でしたのですが、お気に障ったのであればなんなりと処罰を!」


「……いや、それも我のためなのであろう。むしろその後ろ盾は我の役に立ちそうだ。よくやってくれたな、ミラ」


「はい、ありがとうございます!」


 ミラが満面の笑みを浮かべる。


 我のいない間に勝手に行動をしたことを咎められると思っていたのかもしれない。あるいは、我が前世で苦労した聖魔法の使い手であった聖女を疎ましく思っていたから、気に障るとでも思ったのであろう。


 もちろん我はそのようなことなど気にはしない。人族の社会の中でヴァンパイアロードであったミラがそこまで上り詰めるにはそれなりの苦労があっただろう。その忠誠心は見事なものである。


「さて、それでは尋問を続ける。我が闇魔法をどれくらい使えるのか貴様の身体で実験しよう。ミラの魔法でどれだけ治療できるかも確認しておかねばな。なあに、もしもやりすぎて貴様が壊れたとしても、代わりは他に――」


「わ、わかった、何でも話す! だから命だけは助けてくれ!」


「「………………」」


 本格的な尋問を始める前に男は知っていることを話し始めた。所詮盗賊どもの絆などこんなものであろう。




「……こ、これで俺が知っていることは全部だ。頼む、命だけは助けてくれ!」


「ふむ」


 男は盗賊どもの拠点や盗賊団の首領の情報などをすべて話した。とはいえ、この情報がすべて正しいのかはわからないので、他の2人とも同様に情報をすり合わせなければな。


 この牢屋内にはミラの聖魔法による障壁が張られており、他の2人にここでの声は通らない。


「これで欲しい情報は揃った。もう貴様に用はない」


「お、俺はちゃんと話しただろうが! 約束を破るのか!」


「いつ我が貴様を見逃すと約束した? 愚かにも契約せずにペラペラと情報を話したのは貴様だ」


「ふ、ふざけるな! 汚ねえぞ!」


「フハハハ、貴様らは必死に命乞いをする者たちの声に耳を貸したことはあったのか? それが今自分の番になっただけだ」


 こういった輩は自身で非道な行いをするくせに、なぜか他人はそれをしないと思っているのだから滑稽だ。


 魔王である我に慈悲など求めても無駄だというのにな。


 スパッ。


「むしろ一瞬で死ねることを我に感謝するがよい」


 さて、他の2人にはもう少しいろいろと闇魔法を試させてもらうとしよう。そのあとはこいつから聞いた盗賊の拠点へ踏み込むか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ