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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第16話 領民の評判


「俺もそれはさすがに話を盛りすぎだと思っていたけれど、さっきの闇魔法ってやつを見たらもしかしたら本当なのかもって思っちまったぜ……」


「でもよう、処刑したのはあの悪名高い騎士団長だろ。あいつに娘を乱暴されたけど、泣き寝入りしかできなかった知り合いの話を聞いていたから、正直ざまあみろとしか思えなかったな。たぶんそいつも今頃は泣きながら喜んでいるだろうよ」


「真面目に生きている俺たちからしたら、むしろ盗賊や悪人をビシバシ取り締まってくれる方がありがてえよなあ。この街の偉いやつなんてどいつもこいつも腐りきってやがるから、全員処刑してくれりゃあいいのによう」


「ああ。もう闇魔法とかどうでもいいから、この際どんどんやってくれって話だよな!」


 どうやら騎士団だけでなく、他の組織も上層部は腐りきっているようだ。まだまだ組織改革をしなければならいないことはいくらでもありそうである。


「それにしても、あの聖女様の魔法は本当にすごかったよな!」


「確かに! 街にいる聖魔法使いとは桁が違ったし、あれなら聖女様と呼ばれるのも納得だぜ!」


「だけどこの領地に貢献した人の大切な人を無償で治療してくれるって話は本当なのか? 聖女様の治療なんて、いくら大金を積んだところで上流貴族じゃなきゃ受けられないだろ?」


「でも今回治療していたのはどう見ても平民だったぞ。それに新しく騎士団長として選ばれたのは平民のルーカスだってよ」


「本当かよ! ルーカスっていえば、たった一人でアースドラゴンをぶっ倒すほど強くて人望もあるのに、真面目すぎてお貴族様に逆らって一番下っ端に落とされたあの男だろ?」


「ああ、そのルーカスだよ。しかも他のコネや金で地位を買っていたやつらは軒並み下っ端に落とされて、実力のあるやつは平民だろうと取り上げられたって話だ。それに治安を守る騎士団の給料が安すぎるって言って、領主様が大幅に上げたって話だぜ。どうやら今回の領主様は本気で身分なんて気にしないっぽいぞ」


「……そんな貴族様も現実にいるんだな。もしかすると今の領主様なら本気でこの街に貢献すれば平民でも治療してくれそうじゃねえか?」


「おう、そうなったら最高だな。すでに身内に大きな怪我人がいるやつは領主様のために走り回っているかもしれねえぞ」


 前世が魔王だったゼノンにとっては人族の身分制度などどうでもいいことであった。


 そして魔族を統治していた時と同じように実力主義の組織に変革をしていた。


「……そういや、初夜税がなくなったのはあの聖女様のおかげなのかな?」


「そりゃあんだけの美人が配下にいたら、他に女なんて必要ないだろ! 初夜税がなくなったのはありがたいが、領主様が本当に羨ましい限りだぜ……」


「ああ、絶世の美女といっても過言じゃないぞ。まあ、領主様はまだ10歳だからそこまで進んでるのかはわからねえがな。だけどアデレア国なんて遠くの国の聖女様をどうやってこんな領地まで引っ張って来たのか不思議な話だぜ」


「もしかすると今の領主様の将来性を感じ取ったとかありそうじゃねえか? もしそうだったら、俺たちは今日歴史的な名君様の誕生に立ちあえたってことになるぞ!」


「ははっ、本当にそうだったら最高だぜ。ぶっちゃけこの街はこの国の中でも特に劣悪な環境だったから本気で逃げ出したかったんだよ。だけどゼノン様と聖女様のおかげでこの領地にも希望が出てきた気がするぜ!」


「おう、もしかすっと本当にこれまでとは違う領主様の誕生かもしれねえな。そんじゃあ改めて、この街の新しい領主のゼノン様に乾杯!」


「「乾杯!」」






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ようやくある程度落ち着いてきたようだな」


「どの組織もあまりにも腐りきっておりましたからね。今までよくこの状況で街を維持できていたものです」


 領主継承式が終わってから1週間が過ぎた。その間は盗賊を狩りつつ、騎士団以外の商業ギルドや冒険者ギルド、商業ギルドや教会など様々な組織を前世と同じように実力主義の組織へと変えていった。


 ミラの言う通り、騎士団だけでなく他の組織も賄賂や身分の力で上に立つ者が多すぎて酷かったぞ……。多少なりともまともな領民がいたのはせめてもの救いであったな。


「それにしても一部の者がもっと反発してくると思ったのだが拍子抜けだな」


「街の守護を担っていた元騎士団長を処刑したことがよっぽど衝撃てきだったのでしょう。とはいえ、彼らが結託してなにか事を起こす可能性もございますので、くれぐれもご用心くださいませ」


「問題ない。むしろまたそういった者を処刑して見せしめにしてやりたいから、早く出てきてほしいものだ」


 ミラとユルグの予想では不満を持った元権力者が何か仕掛けてくると思ったのだが、今のところは平和そのもので退屈すぎる。そういった時は盗賊を潰すのがいい暇つぶしになるのだが、それもだいぶ少なくなってきて残念である。


「領民からは不満などは出ていないのか? 闇魔法の祝福を授かった者が領主となり、罰則なども以前よりだいぶ厳しくしたのだぞ」


「いえ、まったくございません。闇魔法につきましては私も何らかの問題が起きるのではと思っていたのですが、それも杞憂でした。罰則につきましてはお金や地位の力で揉み消すことができなくなり、むしろ領民にとても好評でございます。税率や組織改革に盗賊の討伐など、すべて領民が喜んでおります!」


「……つまらんな。少しは反抗する者がいてもいいものを」


「ゼノン様に反抗する者など誰一人おりませんよ」


 順調なのは実に結構なことだが、退屈でつまらん。荒れくれ者を力で押さえつけてこその王であるというのに。まあいい、我の所有物である領地が順調であるのならば、そろそろ領地を広げる方法でも考えるとするか。


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