2.レリックと娼館
「おい、離せ。」
レリックはメグの魔法で羽交い絞めされた上から腕に拘束用の腕輪を嵌められ、さらに身動きが取れなくなった。
そんな彼を乗せ、メグの護衛達は王都の外れにある娼館に向かっていた。
メグ、お前は何を考えているんだ。
レリックは拘束用の腕輪を嵌められた手首を見た。
力を入れて引きちぎろうとしたがそれはビクともしなった。
王宮で使っている拘束の腕輪より優秀そうだ。
へんな関心をしているうちに娼館に到着した。
馬車はそのまま開かれた扉から中に入っていく。
大きな門を通って小さな中庭まで行くと馬車から降ろされた。
すぐに建物から使用人らしきもやしのように細い体でメガネをかけた男がレリックをねめつけた。
ねっとりとした視線に知らず知らずゾワゾワっとした悪寒が走った。
「これをホソイ様。」
レリックを拘束してここまで連れて来た護衛が先程メグに渡された羊皮紙を彼に手渡した。
ホソイは受け取ってすぐにそれに目を通した。
一瞬、彼の細い目が限界まで見開かれすぐに元に戻った。
ホソイは目を通した羊皮紙をまた巻きなおすと護衛にどこかの部屋に通すように耳打ちするとすぐにいなくなった。
何だったんだあの男は?
護衛に引きずれらるように廊下を曲がりくねると豪華な部屋に通された。
部屋に通されると馬車の中でつけられた拘束用の腕輪から力が抜けたようで両腕が自由に使えるようになった。
すぐに部屋の扉に近づいて開けようとしたが案の定ビクともしなかった。
レリックはすぐに諦めて大きな窓辺によると窓下を覗いた。
女性では飛び降りるのは無理だろうがレリックには簡単な高さだ。
レリックは窓を開けると外に体を出した。
途端、腕の拘束用の腕輪がガチンと音がして両腕が拘束された。
飛び降りようとしていたので冷や汗をかきながら窓から出ていた体を戻した。
すぐに両腕の拘束が外れる。
どういう造りになっているんだ。
思わず叫ぶがそんなことをしても意味がない。
レリックは仕方なく誰かが来るまで部屋に置いてあったソファーに横になった。
くそっ面白くない。
憶えてろよ、メグ。
そのうちレリックは傍にあったソファーで寝てしまった。
「うーん。」
誰かがレリックの胸に手を這わせていた。
目を開けようとするが意識が何故かユラユラしてもどかしいように揺れるだけだ。
そのうち胸を触る手は下半身に降りて行った。
いよいよ背中を冷や汗が伝え落ちる。
これはまずい。
レリックは渾身の力を意識に込めて目を開けた。
そこには彼も良く見知っている老貴婦人が彼の上にいた。
へっ、なんで彼女がここにいるんだ?
あれ・・・。
レリックが状況を把握しきれないうちに彼は老貴婦人に翻弄され喰われていた。
ギョエエー。
老貴婦人は満足顔で乱れた洋服を整えるとレリックがいた部屋から出て行った。
何が起こったんだ。
レリックはソファーに裸で横たわって放心した。




