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15.メグの不運

「おはようございます、メグ様。」

「あらご機嫌ねトリノ。」

「えっそうですか。」

 トリノが挙動不審な様子でメグから目をそらした。

 どうやらアンジェがこちらの思惑通りトリノをアンジェのメイドにしたいと彼女を誘ったようだ。

 彼女の挙動不審の度合いを見ると文官の恋人との結婚もすぐに何か打診されたのだろう。

 メグはトリノの挙動不審な様子に気づきながらもそのまま朝食を摂ると昨日より早くやってきたホソイを連れてメグの計算上は最後の仕事のため王宮に向かった。

 王宮につくと三人はいつもの手続きをしてから執務室に向かった。

 そこには朝早くから書類仕事を始めてほぼ書類を捌ききったセドリックがメグを待っていた。

「ちょうどよかったメグ。」

「なんでしょう。」

「もう仕事は終わっている。なので明日からこちらに来る必要はない。」

 メグは一応セドリックのために非常に驚いた表情をして見せた。


 セドリックが満足そうに頷く。

「そうですか。わかりました。それでは本日はもうこれで帰っても・・・。」

「いや少し待ってくれ。アンジェが君に相談があると言っていた。」

 セドリックがそう話し終えたところにアンジェがやって来た。

 今回はきちんと扉の外から声がかかってからアンジェが現れた。

「アンジェちょうどよいタイミングだ。」

「よかった。この話は私から説明したかったので・・・あのメグ。気を悪くしないで頂戴。あなたのメイドをしているトリノだけど昨日たまたま彼女と話していて、今日であなたたちはもう王城に来なくなるでしょ。そうすると彼女なかなか恋人である彼と会えなくなっちゃうじゃない。それはかわいそうだからよかったら明日から私のメイドにならないかって誘ったら・・・その・・・。」

 言いよどんでいるアンジェの言葉をさえぎってメグが発言した。

「わかりました。トリノが納得して彼女の両親が許可したなら私の方は問題ありません。」

「本当!」

「はい。用事がそれだけなら私とホソイは今日はここで失礼します。」


「まだまって頂戴。」

 踵を返して執務室を出ようとしていたメグをなんでかアンジェが呼び止めた。

「まだお礼がすんでいないわ。」

「お礼?」

「そうよ。私ったら気が付かなくてごめんなさい。あなたとレリックが恋仲なんて気が付かなかったの。本当よ。だからこれは私からプレゼントよ。」

 アンジェはそういうとなんでかセドリックの執務室にレリックが入って来た。


 なんでそうなる。

 メグの不運はまだまだ続く・・・。


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