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第83話 第1回百合ハーレム王様ゲーム

「王様ゲームをしましょう」


 私は休日に、私の部屋に集まってゴロゴロとしている彼女達にそう提案した。

 なぜこんな提案をしたというと、全員私の彼女になってそこそこたって現状に慣れてきたこともあり、ここで新たな刺激が欲しかったからである。

 なにせこのハーレムの主は私で固定されて、それにはもちろん満足しているけど、たまには私以外が主役になっても面白いだろうとそう思ったのだ。


「王様ゲーム……?」


 でも私の提案を聞いたみんなは一様に、頭に「???」を浮かべている。

 困惑するのも当然である。何せ異世界で行われているちょっとえっちなゲームなのだから、この世界の子達が知るはずもない。

 ちなみに私は今期の目標の一つとして、このゲームをこのユリティウスで流行らせることを設定している。これが定着すればさぞかし愉快なことになるだろう。


「聞いたことありませんわ……? 何ですのそれ」


 私に後ろから抱きついて私の髪の匂いを存分に堪能していたクラリッサが、鼻を髪に埋めたまま聞いてくる。

 クラリッサって暇さえあれば私の匂いを嗅いでいるのよね。まぁその時のクラリッサは凄く幸せそうだし止める気もないんだけど。


「知らなくて当然だよ。私が考えたゲームなんだから」


 ウソだけど。


「アンリが考えたゲーム……なら私、やってみたいな! でもどんなゲームなの?」


 ルカはルカで、私の足の間に座りながらダンベルを使って筋トレ中である。ほんのり漂う汗の香りがまたたまらない。しかもブルマ姿だ。サービス満点である。


「ん~それはね~。ナデシコ、そこの筒を取ってくれない?」

「はぁ~い。ママ、これでいいの?」


 ナデシコがパタパタと飛びながら筒を抱えて持ってきてくれた。お礼に頭を撫でてあげると、嬉しそうに目を細めた。可愛い。


「筒ってアレですよね? お嬢様が昨日なにか作ってたやつですよね」

「おお? 何やら面白そうな気配がしますよ~」


 ミニスカメイド姿でお茶の用意をしていたエメリアが、同じ格好をしたシンシアとともに筒を覗きに来た。

 しかしこのダブルミニスカメイドの強調されたお胸の、なんと大迫力のことだろうか。私の前後にいるルカとクラリッサも思わずゴクリと生唾を呑んだのが分かった。

 ちなみに私達の視線にエメリアは気付かず、シンシアは気付いてニンマリと笑っていた。この子は自分の武器をよく理解しているようだ。


「何か入ってますね~。なんですか? 棒ですか~?」

「これはね……クジよ」

「クジ? ですの?」


 そう、この筒の中に入っているのは棒の形をしたクジである。これを使ってこの子達と遊ぼうというわけだ。


「これは……先端が赤く塗られたやつと、番号が書いているやつがあるね」

「赤は1本だけなんですね」


 クジを興味深げに調べているのは、お揃いのセーラー服姿のモニカとマリアンヌだ。この2人も結構仲が良くてコスプレする時はお揃いのを着たがるのよね。

 ちなみにクラリッサは制服姿だけど、スカートは極ミニだ。実に素晴らしい。


「そ、赤が当たりで王様になるのよ。で、皆で一斉にくじを引いて、王様とそれ以外を決めるの」

「王様? それを決めてどうするんですか?」


 エメリアがお茶を差し出しながら聞いてくる。


「ふっふっふ……それはね……王様は――――他の子に何でも命令ができるのよっ」


 ――貯めに貯めた私のセリフを聞いた、全員の表情が一斉に変わる。


「な、何でも命令できる……!? そ、それはアレですの!? 「王様にお腹の匂いを嗅がせなさい」とかそう言う事も何でもできるんですの!?」


 うん、それ平常運転のクラリッサだからね? いつもやってるでしょ?


「ということは、王様になればアンリになんでも好きなことをして貰えるってこと!? やろう! やろう!!」


 欲望に目をランランと輝かせながらルカが乗ってくる。いや、この子こんなに乗ってくるなんて私にどんな事させたいんだ。

 でも、そうはならないんだなぁ~。


「あれ~? でも、じゃあこのその他のクジにある番号は何ですか~?」

「いいところに気が付いた! それはね、引いた子はその番号を与えられるってことなのよ」

「番号与えてどうするの?」

「えっとね、王様には命令する権利があるとは言ったけど、人名を指定して命令することはできないのよ」


 それを聞いて、察しのいいエメリアがルールを瞬時に理解する。本当に頭のいい子だ。


「つまりあれですね? 「お嬢様は王様に10分間舌まで入れるキスする!」とかは出来なくて、「4番は王様に10分間舌まで入れるキスする!」って感じになるんですね?」


 だって人の指名ができたら私ばっかり命令されるだろうし。それでは私が過労死しちゃう。

 しかしそこでさらっとただのキスでなく、舌を入れるキスを例に出してくるあたりやっぱり頭がピンクなエメリアである。そういうとこだぞ?


「正解! ちなみに王様を絡めなくてもいいのよ? 「2番と3番が服を取り換える」とかでもいいからね。当然だけど自分の番号は内緒にするのよ」


 イカサマはいかんのだ。こういうのはフェアにやるからこそ面白い。


「そっか~。アンリ指定はできないのか」

「まぁほら、私以外とも彼女同士で仲を深めるきっかけになるかもしれないしね」


 思わぬ組み合わせで思わぬことが起きるかもしれない。それが王様ゲームのだいご味だ。

 前世でもいっぱいやったことを思い出すなぁ。アレは実に楽しかった。


「私達は彼女同士だから多少はえっちな命令をしてもいいけど、あんまり過激なのはNGよ? その辺は加減してね? 特にエメリア」

「えええっ!? な、何で私なんですか!?」


 さっきの発言のせいだよ。おとなしい顔してエメリアって結構ムッツリだし……


「そ、そんなことありませんよ!! ねぇ皆さん!?」


 慌てながら全員に意見を求めるエメリアだったけど、それに対する答えは異口同音に、


「「「「「えっちでしょ(ですわ)」」」」」


 というものだった。残当である。


「エメリアママ、えっちぃ~」

「な、ナデシコちゃんまで……」


 ナデシコは意味が分からずに言っているようではあったけど、エメリアはその場に膝から崩れ落ちた。

 全員からそう思われているとは思ってもみなかったらしい。なぜだ。


「ううう……そこまで言われるなら……お望み通りギリギリ許容範囲内を攻めてやったりますよ……」


 そのぼそりとした呟きと共に、第1回百合ハーレム王様ゲームの幕は上がったのだった。



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