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第17話 絶対誤解されましたよ!!

「さて、それじゃあ部屋をお掃除してもらおうかしら?」


 ようやっと平静さを取り戻した私はエメリアにご奉仕のお願いをする。


「や、やっぱりするんですか……?」


 短いスカートと大きくあいた胸元を気にしてもじもじとしているエメリア。もうこの時点でたまらない。


「ええ、だって私にご奉仕してくれるんでしょ?」

「あううっ……わ、わかりました……は、恥ずかしいのであまり見ないでくださいねっ……」


 そう言われてみないやつがいるだろうか? いやいない。

 というわけで私はミニスカメイドエメリアが、恥ずかしがりながら部屋のお掃除をするという、贅沢極まる光景をたっぷりと堪能することができた。

 屈んだりするときに、スカートの中が見えないように焦るのが特によかった。


――だが当然ながら、それくらいでは決して見えないようなスカート丈にしてもらっている。そう、ギリギリ見えそうで見えない――そこがいいのだ。

 簡単に見えるようではただのエッチな服なのだ。見えてはいけない、だからこそいい。

 私の足元辺りで屈んだ時には胸元あたりをガン見したけど。


「完璧な仕事よ――仕立て屋さん――」


 再び心からの賛辞を仕立て屋さんに送る。今度お礼もかねて新しいデザインを教えてあげよう。


――そしてたっぷりと時間をかけた至福のお掃除タイムは終わった。

 いつも以上に疲れた様子のエメリアはその上気した顔を私に向けると、


「み、見ましたかっ……?」

「見てないわよ?」

「う、嘘ですっ……!! 見たに決まってますっ……!! アンリエッタのえっち!!」


 ほんとに見えてないんだけど……見てほしかったのだろうか? やっぱり結構脳みそピンク色ね。

 だがそれはそうと、間髪を入れずに本日のメインディッシュを頂くことにしよう。


「じゃあエメリア? ……いつものお願いね?」

「い、いつもの……?」

「またまたとぼけちゃてて~。いつもしてくれてるでしょ? ひ・ざ・ま・く・ら」

「っ……!?」


 ぎゅっと短いスカートの裾を掴む。


「まっ、まさかっ!? 最初からこれが目的っ……!?」


 ようやっと気付いたのかね。その通りだよ。


「そうよ。ほらはやく~」

「あっ……でも、そのっ……さすがに普段着に着替えてからっ……」

「え~? ご奉仕するときはメイド服でって言ってたでしょ? あれは嘘なの?」

「うぐっ……!!」


 完全に逃げ道を塞がれたエメリアはモジモジしながらためらっていたが、やがて観念したのか顔を更に真っ赤にしてベッドに腰かけ――


「わ、わかりました……ど、どうぞ……」


 ミニスカートからのぞく膝を差し出した。

 私は勢いよくベッドに飛び乗ると、待ち焦がれた生膝に頭を沈ませる。


「おおお……これが夢にまで見たエメリアの生膝枕……たまらないわ……」


 もうすべすべむにむにで直ぐにも昇天してしまいそうだ。

 苦労したかいもあるというものである。


「お、大袈裟ですよっ……」

「大袈裟なんかじゃないわ……私はこれが味わいたくて服までデザインしたのよ……ああ……もうっ………………」


 あ、あれ、楽しみで楽しみでよく眠れなかったからか、なんか猛烈な眠気が……


「アンリエッタ……? あの……え……」

「ふみゅぅ……」


 何ということだろうか。私はせっかくの生太ももを味わっているというのに、その蕩ける肌触りのせいであっという間に眠りに落ちてしまったのだった――



 トントン。トントン。


 しばらくエメリアの膝で眠っていただろうか。私は扉をノックする音で目が覚めた。

――せっかく気持ちよく寝ていたのに。いったい誰だ。


「アンリエッタ、すみません、ちょっと失礼しますね」

「あ、うん……」


 私はエメリアの膝に名残を惜しみつつ頭をどけた。早く続きをしてほしい。


 トントン。トントントン。


「はーい、今出まーす」


 そう言って扉に向かうエメリアだが……あれ? エメリアその恰好、ミニスカメイドだってこと忘れてるんじゃ――

 だが寝ぼけた頭では制止は間に合わず、がちゃり、と扉は開いて――


「やっほー! 明日の生命学でちょっと聞きたいことあってさ――」

「ま、まぁわたくしでも答えられるんですけどね!! ここはやはりクラスナンバーワンさんの意見が聞きたいと思いまして――」

「お嬢様ったらアンリエッタ様のお部屋を訪ねる口実をずっとうかがってたんですよ――」


 ルカ、クラリッサ、シンシアと――ミニスカメイドエメリアが鉢合わせした。


「あら、皆さん、お嬢様ですか? 少々お待ちを――」


「え、エメリア!? 何その恰好!?」

「は、ハレンチ!! ハレンチですわ!!」

「あら~お楽しみ中でしたか~これはまた失礼を~」


 そこで初めてエメリアは自分がとんでもない恰好をしていることに気付き――


「きゃああああああっ!? ち、違っ!! 違うんです!!」


 慌てて手で隠したがもう既に遅い。


「うぉ~貴族すげ~~メイドさんとこういうプレイを……」

「ハレンチぃ!! ハレンチですわぁぁぁぁぁぁ!!」

「お嬢様がお望みでしたら私もこういう格好しますよ~?」


 あらら……他の部屋からも騒ぎを聞きつけてやじ馬が顔を出してる。これは恥ずかしい。


「ああああああああああ!?!?」

「ご、ごめんね~~ごゆっくり~~」


 ……ゆっくり扉を閉じられた。その気遣いが余計にぶっ刺さるわ。


「え、えっと……エメリア……?」


 あまりの恥ずかしさからか、顔を覆って部屋の入り口でへたり込んでしまった。

 そしてぎぎぎぎと音がしそうな感じで振り向くと――


「もぉぉぉぉ~~~!! アンリエッタのばかぁぁぁぁ!! 明日からどういう顔して皆と会えばいいんですか!? 絶対誤解されましたよあれ!!」


 恥ずかしさを爆発させた。


「ご、ごめんって。私から説明しとくから……」

「私、あんな恥ずかしかったの生まれて初めてです!!」

「だからごめんってば~」

「アンリエッタ以外にあんな格好見られるなんて……!!」


 私ならいいんかい。でも何とかなだめねば。


「悪かったって~何でもするから許してよ~」

「……何でもですか?」


 うっ、まずい、何でもは言い過ぎたか、でももう遅い。

 エメリアが物凄く期待に満ちた目を向けて来ている。


「う、うん……そうよ……?」

「じゃ、じゃあ……!!」


 ごくり。


「……お、おでこにちゅーしてください!!」


 ……え? そんだけ?


「私だけいつも寝る前にお休みのおでこちゅーして差し上げてますけど……ほんとは私もして欲しいんです!!」

「わ、わかった、いいわよ?」


 そう言うとエメリアはパアッと顔をほころばせ、私の足元にちょこんと立膝で座り、


「で、では……お願いしますっ……」


 そう言ってぎゅっと目を閉じた――


――いや。噓でしょ? この可愛さを前にしておでこちゅーだけでとどめろと? 拷問? これもしかして私いじわるされてる? ねえ? ちょっと?? エメリアさん??


「……」


 じっと私のちゅーを待つエメリア。うごごごご! 頑張れ理性!! 奮い立つんだ理性!!

 私は全力で自制心を振り絞って……


 ちゅっ。


 キスした。おでこに。アンリエッタとしての初ちゅーはエメリアへのおでこちゅーだった。


「ふわぁぁぁぁぁっ」


 蕩けきった、女の顔をしてる。やばい、押し倒したい。押し倒したいぃぃぃ!!


「も、もう一回! もう一回お願いします!!」


 間髪入れずにぎゅっと脇を締め、その武器をむぎゅっと強調しておねだりして来た……その服の使い方をそんなに早くマスターするなんて、エメリア、恐ろしい子……! 

 でもここでターンを譲ってはならない。私に流れを引きこまないと、このまま持っていかれる!!


「許してくれる?」

「もちろん! 許しますっ!!」

「ちょっぴりサービスしたら、またこれ着てくれる?」

「着ますっ!! 何回でも着ますっ!! だからもう一回っ!!」


 うむ。言質をとったぞ。これで五分五分だ。私は頭を抱えると、


「んちゅ………………………………れろっ」


 長ーいでこちゅーの後……おでこを舐めてあげた。

 すると舐められたエメリアは――


「ふっ……うっ……うううっ……うわぁぁぁぁ……!」


 泣き出した。何故に!?


「わ、私っ……今日は顔洗いませんっ……ひっぐ……ぐすっ……」


 ポロポロと涙を流して喜ぶエメリア。


――こんなにも私、というかアンリエッタは愛されているのか……

 その想いに圧倒されながら、私はエメリアが泣き止むまでそっと抱きしめ続けたのだった――


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