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Fw:ダンジョン作りにはSayがいる!!  作者: 西井シノ @『Eスポーツ活劇~電子競技部の奮闘歴~』書籍発売中
{寮生編}☆☆☆☆☆☆☆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/31

妖精編

挿絵(By みてみん)

二面性にめんせい土砂絵つちすなえ


つち精霊せいれい自画像じがぞうか。はたまた、それは警告けいこく

きた天才芸術家てんさいげいじゅつかは、いたあしはこんで見据みすえた

わたしたしかにおぼえている

やさしくさとい、かれらの笑顔えがお

のろいのようにこびりく、大地だいち神聖しんせい

かれらはこころに、ひとえがいた

わたしたしかにたのである


 ―――ダンジョン作りにはSayがいる!!

               {妖精編 (Part of the 寮生編)}








稚拙な絵画には、何処か闇深い禍々しさがあった。


「この額縁に飾られた絵画は、ノスティア地方の深い森林地帯のとある洞窟で発見された砂絵を技巧寮オブシディアの生徒が複写したもので、当時から今まで高い評価を受けています。一説によれば、これは土の精霊グノームたちの自画像であるとのこと。彼らの姿は骨であり肉はこの大地の全てであるといった考えがあります。一部の地域では死んだ肉体はグノームの元へと帰ると言われおり、遺体を棺桶や骨壺に入れることは禁忌で、必ず肥沃度の高い土に埋めるといった風習を持つ方々がいるのです。」


チビッ子らの前で語る上級生らしき女。

その傍らに立つのは、31名のフェアリア候補生をグノーム寮の絵画まで牽引したオルテガ・オースティック教授。今日は学内の施設を見て回っている。


「――怖いねぇルディ?」

「怖いねぇルダム――」


「怖いかぁ~?」


タケノコのように声が湧いて出るのである。

オルテガはそれぞれの感想をよしとするように頷いていた。


「変なの~。グノームって骨骨人間なんだぁ~。」


怖い絵などお構いなし。

その言葉を発端にニヤニヤしだす31名の群れ。


「じがぞーって、何?」


「オイラ、グノームだけは入らねぇって決めてんよな。」


「彼らの姿は骨であり肉はこの大地ィ.....」


『ぷぷぷ』



「違うわい。」


―――――――――――――――

 {???}


「おじいちゃん

 キャンプファイアーって不思議よね


 ルゥたちは土の精霊なのに

 くさいおみずを飲みながら

 火に燃やされた木を見てる

 風は焚き木の背を押して

 火の粉と空で遊んでる


 ――土はいつでもカヤの外


 ねぇ、おじいちゃん

 どうしてルゥは悲しいの?」


老いた皺塗れの腕が

私の身体を手繰り寄せる

老いた皺塗れの甲が

私の右の肩に在る


「木の精霊さんは、箒になって

 水の精霊さんは、雨になって

 火の精霊さんは、風を呼んで

 みんなお空で踊ってる


 ルゥもお空に行きたいの

 パパとママはお空にいるから

 だからルゥも、お空にいきたい


 ねぇおじいちゃん

 どうしてみんな、ルゥを置いていくの?」

 

戦争とは何なのだろうか

みんなをこれほど悲しませるのに

彼らを浮かない顔にするのに

いつも世界を支配している

いつも私を支配している


土の顔が描かれたお家

大きな大きな土人形は

私の命だけを守った

ママは私と隠れられたけど

パパのところへ出て行った


 ・

 ・

 ・

 ・


人と生きようとした精霊と

人とは生きられぬとした竜は

喧嘩になって殺し合う

そのとき竜は精霊を食べた

大変大変美味しかったそうで

人とは生きられるとした竜は

人と生きようとした精霊へ

人と手を組み狩りを始めた

まったくもって皮肉な話だ


「ルタルやルタル

 精霊が

 争いあって順位を付けた

 その順番を知っているかな?」


今でも記憶に残っている

その日の光景、その日の景色

その日の火柱、その日の質問


「木(一位)

 水(二位)

 風(三位)

 火(四位)

 土(五位)で敗けた」


「ルタルやルタル、正解じゃ

 そのとき着いた争いで

 土はみんなを等しく祝った

 故に我らは下にいて

 彼らにいつも好かれとる

 木は燃え灰は空へ舞い

 雨を降らせて土へと返す

 ワシらは除け者などではない

 心の中で通じているのじゃ」


おじいちゃんは優しく笑い

お酒を飲んで立ち上がる


「ルタルやルタル、悲しさは

 踊りにいらないTonight the Night

 月明りの下のDancing mood......」

 

――ジャンジャンジャンジャン♬


スピーカーのつまみが回り

ハウリングがキィーンと響く

音が拾う先は

ピッカピカのサングラスを着け、【DIGGY☆】と記された赤い帽子を斜めに被ったスーパーおじいちゃんの口元を拾う


「アッラッアアアッア~☆」


『オジイチャン?!!』


「SAY, HO~」 「「「HO~~!!」」」

「SAY, HO~?」 「「「HO~~!!!!」」」

「YO, SAY HO~??? 「「「>>HO~~~!!!!!!!」」」」


ナンダコレ.....


「いえぇ、エビバディ、エビバディ、エブリナイッ☆ 終わらないナイトに、DO THE DANCE☆.....


おじいちゃんが火蓋を切り

四打ちの重低音が様々なドレスに着替えて響いた

革新的なグノームの技術

踊り

彷徨う微精霊

弾けるような音楽

そうしてパーリーは絶頂期を迎えた


その時

知らせるような音がする。

”騒めく雑木林”から

”泥水”を踏んだ兵士の足音おと

ドチャドチャさりげなく......

ギラギラギラギラ煌々と、”炎”に刃を反射させ

ニタニタニタニタ迫りくる


「ルタルやルタル

 グノームは

 楽しいことを守り抜く

 そういういくさで敗けはせんのじゃ」



「怖いよ......おじいちゃん。」


「大丈夫じゃ。」


「どうするの?」


「もちろん......逃げるのじゃあッ!!」


私たちは森の奥

遥かなる神聖な山へと走った

竜と手を組む狩人は

足跡を追い辿り着く

隠れた暗い洞窟へ

鎧の擦れる音が近付く


「ルタルや

 もしも将来

 己の身を狙う驚異に出会ったら

 こうしなさい......」


おじいちゃんは

族長、シルバ・グノームは

サングラスと赤い帽子を取って

優しい瞳を鋭く尖らせた


「おじいちゃんッ......!!」


そして真っ先に

隠れる私たちの先頭に立ち

一族を庇う様に

月明りの元へ姿を現した


「おじいちゃん......一体、何を......??」


土の精霊グノームは

決して強い訳ではないと

当時の私は思っていた

そして今も思っている


『こんな夜分遅くに大勢、ぞろぞろぞろぞろ集まって......』


おじいちゃんは

覚悟を決めたように

神聖なる土へ、両手を伸ばし

膝を付いて腰を曲げ

魔法の言葉を吐き捨てた


『......マァジ、スミマセンでしたァアアアアアアアアアアアアッ!!!!』


シニアが行うには、あまりに見るに耐えない

鮮やかなる土下座であった。









――――――――――――――

{旧・巨人牢}~ vs.伝説の系譜より ~


私は眠い眼をかっ開き、

左手を腰へ。

右手はピンと前に突き出し、

人差し指を竜に向ける。


「見せてやりなさい。土魔法の.....真髄を!!」


「あ......はい。」


――グルルルルル......!!


「......じ、じゃあ、行ってくる。」


「そいやっ、そいやっ。」


タンテはブルブル震えながら、

段差を乗り越え{旧・巨人牢}の土俵へ上がった。


「気を付けてね。」


瓦礫の隙間から私は声掛ける。

あの日以来。

私はダンジョンの外には出てない。

旧巨人牢はテリトリーではないのだから、

こっからの私は蚊帳の外だ。


タンテは私へと手を振った。

怖がっているくせに、

私を安心させるように


「ハァ――.....フゥ。」


深呼吸をして

心身ともに落ち着かせている。

それでいい。

コンディションも良さそうだし、

キューちゃんだって付いている。

今のタンテなら不安はない。

それより不安は、別にある......


『――アナリシス・スタート。』


『グウォォォオオオオオオオオ!!!!!!!!!』


始まった。


「うるせぇええええええええええ!!!!!!」


――大ッきい.....声。


私は尻餅を付く。

ちょっとビックリした。

ただでさえ早朝。

こんなに眠いというのに、

急に叫んだから。

タンテのバカ。


「来ます。」


実戦の、火蓋が切って落とされる。

先制は火炎放射のロングブレス。


――ボゥフ・・・グツグツ・・・


タンテはしっかり、予備動作を捉えている。


『――スペル・グノームス。』


【土精霊の願書魔法(スペル・グノームス)】

 系統:固有魔法系・自然魔法

 等級:D~A級

 属性:①土魔

    ②物理

 詳細:(土精霊の一般魔法を叶える人間用の呪文。

     修得・発動共に簡単だが、

     タンテ・トシカしか修得者がいないので、

     固有魔法系にも分類される。)


対抗するタンテの防御魔法。

創造した土壁が火炎のブレスを止めた。


――ゴォオオオオオオオ・・・!!


危なげないこともないが。

危なっかしいというには過小評価だ。

まぁ、大丈夫そう。

つーか何より。


『.....まぶしい。』


勝敗とか以前に、

こんなの見てられない。

チカチカしちゃって嫌になる。

もっと暗いところにいたい。

地下地下したところへ行きたい。

明るさなんて仄かでいい。

ドラゴンの寝込みを襲う為とは言え、

現在AM4:00くらい。

暗い所で早く寝たい。


私は煌々とした光を背に、

見慣れた闇夜へ歩みを進める。


「はぁ......」


目下に差し迫った課題は、

微睡む視界と眠気だけ、

......だったらきっと楽だったろう。


私は土へと透過をし、

第三層のコアへと潜る。

最も攻略されてはいけない、

このダンジョンの心臓部へ。



――――――

{第三層ダンジョンコア}


冒険者はいつだって大歓迎だけれど、

コイツは少し目的が違うようだ。


ダンジョンを調査するわけでもなく、

ダンジョンを警戒するわけでもなく、

一直線に進んできている。


何かの牙で出来たネックレス。

頬には赤い一本線。

右手で吊るしているの小さな檻には、豚の鼻が入っている。


はぁー、困った困った。


私は彼より先にダンジョンコアへと戻り、

キーボードを叩く。


――メインコア起動。

パパパーパー、パーパー、パー♪

解析中.....解析中.....


このメインコアには、今まで培われてきた冒険者の情報が入っている。それは今までこのダンジョンへ訪問した冒険者たちの特徴と性格を収集したもの。そして私の個人的な知見を合わせたデータも入っている。そう、私だってただ穴倉ニートをしてきたわけじゃない。服装的な特徴から、喋ることば、骨格の特徴や歩き方の癖など、冒険者らをカテゴライズできるような知識を多少は培ってきた。読書、人間観察、読書、読書、読書。まぁ主に読書だが。読書は偉大だ。私の読書のお陰で、いや、最悪私の知識が該当しなくとも、このメインコアが解析し、収集し、今向かい来る冒険者のステータスを導き出してくれるのである。



ピィーン♪


【STAGE1ー1 わすれられない ボーケンがある・・・

 セイレイごろし ああああ Lv77 】


「やっぱり。」


――セイレイごろし。


ディスプレイには攻略しようとする冒険者のステータスが映し出される。

違和感の正体はコレ。

奴はダンジョンの攻略が目的ではなく、

私を殺すことを目的としている可能性が高い。

飽くまで可能性だが。

故に、奴は私たちに気取られないようにダンジョンを進んでいた。

小さな鉄籠の檻に閉じ込められた豚の鼻は、きっと探知機だ。

フガフガフガフガ・・・・探している。

私そのものではなく、私の生活空間を探知する潜具。


「......精霊の探し方に詳しい奴。それと、肌の色、目の色、骨格の特徴。アイギス~北西地方あたりがルーツ。......あそこは、竜の谷がある場所。」


竜使いドラグナーの類か.....


バハムートの子供あるいは卵を、旧巨人牢に置いた張本人と見た。

幼竜のご主人たまはコイツ.....

どうするか。

ここがバレるのはホントに厄介。

攻略されるのはダンジョンの摂理だが、にしてもタイミングは今じゃない。

コアが取られれば、マスターとしてのダンジョン運営に支障をきたす。

さて、どう止める。

時間さえ有ればね、

ここからでも、

ダンジョンマスターとして対策のしようはあるはず.....


  「まもなく冒険者がやってきます

   気をつけてください」


ディスプレイが文字を写す。

いそげっ、いそげっ。

いそげっ、いそげっ。


―――ドガァーンッ!!


時間がスローになる感覚。


「え?(はやくね?)」


爆ぜる土壁。

見えるブーツ。

穴をあける我が家ダンジョンコア

酷い土煙の中で、

私は、禍々しいオーラを放つ冒険者と目を合わせる。



『m、見ッ、、m、ひぃ.....ハァぁ.....!!!!』


・・・? !


『見ィぃぃぃぃぃイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっいいいいいいいいいヒィッッヒィイイイイイいいい


首をグルングルン回しながら、

男は天井を仰ぎ、

涎を振り回して声を上げる。


ヤバいヤバいヤバい

ヤバいヤツ

イカレテルー!!

そのまま首もげてさぁ、死んでくんねーかなー


いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい・・・つーけた。』


「イィー」


私は歯軋りをしながら、心底嫌そうな顔を見せつける。

実際、心底嫌である。

なんか臭いし。




―――――――――――――――


 隣人さんは殺気立っている。

 人には誰しもそういう時がある。

 怒ったり悲しかったり、

 心を制御できずにいて、

 衝動が身体を動かして、

 外に発散しようとしてしまう。


 喧嘩や戦争。

 世の中には色々な衝突があるけれど、

 そういう争いから身を守る方法は何だと思う?


 対話だよ。

 

 対話は全てを解決する。

 プライドなんていらないのさ。

 自分たちの権利や財産が守れるならば、

 プライドなんて捨ててしまえばいい。

 笑って宥めて、ダメなら謝る。

 プライドなんていらないのさ。

 そこに守るべき価値があるのならば。


 だから。

 剣を構えちゃダメなんだ。

 盾を構えながら、

 笑顔で手を差し伸べるんだ。

 それか、

 盾を構えながら、

 必死に頭を下げるんだ。

 

 それが僕らを守る最善の手段。

 決して戦おうとしちゃダメだ。

 武力は何も解決しない。

 暴力は平和から最も程遠いのさ。

 

 彼には彼なりの理由がある。

 だから訴えるのさ。

 返り血がついた相手だろうと。

 対話で解決するのです。


「行っちゃダメ!!」


「.....大丈夫だよママ。先生に教わったんだ。話し合いで解決できない人はいない。争いは、止められるんだ。」



――――――――――――

{第三層・ダンジョンコア}


「スゥー.....ハァァァアァ.....」


タンテにはまだ教えていないが、

土の精霊たるもの、

絶対に会得すべし伝説の技が存在する。

今こそ。

その真価、発揮されし時。


『スミマセンデシタァ・・・』


――ヘタァ.....


おでこに当たるジャリリとした砂の感触。

汗と混じり泥になる。

小石が肌にめり込み、髪が土を付ける。

これが圧倒的グノームの伝統。


(( DO☆GE☆ZA・・・!! ))


【土下座 -どげざ-】

 系統:強すぎて測定不能

 等級:もちろん強すぎて測定不能

 属性:①物理

    ②土魔

 詳細:(凄みを出しながらひたいを土へメリ込ませることで発動する精霊発祥の大業。凄みを出さなくても発動する。だが後にヒューマンは思うだろう、この謝罪には『スゴ味』があるッ・・・。)


『マジでカンベンしてクダサイホントにィ.....マジでカンベンしてクダサイこの通りですホントにィ.....』


首を横に振り

おでこに土をスリスリ。

一通り額が茶色くなったら、

姿勢は平身低頭のまま

パッと顔だけをあげウルウルさせた目線を合わせる。


『2000円しか無いんですぅ.....その日暮らしで野菜を育てていてもうホントにィ.....迷惑を掛けるつもりなんてなくてぇ.....スミマセンホントにィ.....アレ?その事じゃない?でもアレですよね、日頃から人間の皆様には多大なる迷惑を掛けていてホントにィ.....でもそんなに怒らないでェ.....!!!!!!!』


「あ?・・・つまんねぇ.....」


――おっとっと☆奴さんビックリしてらぁ。計画通り。ニヤァ!!


そりゃあ、そうだ。

無関係なやつが急に土下座したら寧ろ心配したくならぁよ!!

ワッショイワッショイ!!


「俺の名前は.....――(自己紹介)」


男は聞き取れないレベルで自分の名前を唱える。

顔立ちはイーステンでハイブリッドっぽい。

東の国では戦う前に名乗りをあげる慣習があるそうだが、

どうだ、このテンションである。

もうやる気も微塵も感じない。


「―――だ。」


ボソボソ、うるせぇ!!!!!!!


「スミマセンデチタァ.....!!」


ふっ。

どうだ?

私は黙りこくった男の顔を見る。

やはり対話は全てを解決する。

暴力反対☆

暴力反対☆


「落ちたもんだな、土の精霊も。俺が精霊殺しだってことすら分かってねえのか?あぁーあ、おいおい、他の精霊は手ごたえがあったぜぇ?お前ら木の精霊と仲が良いんだって?」


――??


「あそこは良かった。西では珍しい木の精霊の信奉者が集まった村。分かるだろ?ドライアドの信奉者は全ての精霊を崇拝してやがる......ククク、だからよ。皆殺しにしてやったァ.....!!女子供も全部ッ!!」


・・・ッ!!


「この返り血はその時付いたんだァ!!そうだよ。そしたらよ、出てきたんだ。血の匂いに釣られた.....精霊が。そいつが何の精霊かは知らねぇが、最高だった......ッ!!死ぬかと思った。――俺の相棒と引き換えだったがな。なぁ、どうだ。お前も頭に血が昇ってよぉ......」


『スミマセンデシタァアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


――ゴメン☆

  私に煽りは通用しない。

  何故なら土の精霊グノームだから!!

  プライドとか無いから!!


「ははぁ.....!!精霊さんが嫌いなんですねぇぇえ??その精霊さんは友達が多かったんですねぇ?そういう精霊さんもいらっしゃるかとは思いますがもう私はもう、もうホントにィ全然ッ友達もいなくて…......まったくこの歳になってハハハハハ!!スンマセンッ」


――ブシャッ!!!!!


それはかつて、土の精霊だった物。

スイカが踏みつけられるように頭部が割れ。

辺り一面には血と脳みそが広がった。

遅れて流血が水溜まりのように広がり始めた。

ダンジョンコアが真っ赤に染まる。

首から上の割れた頭蓋に、足の形がくっきり残る。


「弱ぇ奴に、興味はねぇ。」


 ・

 ・

 ・












――――――――――――――

東領イーステン・とある山地}


――また残して......


遊楽の園。

絶景を望む家城。

村一番の貴族。


――残さないの。食べられない人だっているんだよ?


家政婦たちの苦笑い。

富を持て余すその場所では、

母の言葉は異端だった。


悲痛な叫び。

生まれて初めて聞く、人間の断末魔。

それから村は燃え、

食べ物は燃え、

俺の希望は、途方もなく燃え尽きた。



――――――――――――――――

食い物は生き続ける。

俺の身体は木となり、

蜘蛛となり、蛾となり、

蝉となった。


――残さないの。食べられない人だっているんだよ?


家を食べた。

枝を食べた。

石を食べた。

壺を食べた。

泥を食べた。

虫を食べた。

人を食べた。

魂が宿るものとの見分けがついた。


俺が飢餓の中で食した毒草は、

俺の中で生き続け、

竜の牙を退けた。


「はぁ......」


目が回る。

俺の中の竜が回す。


豚の鼻しかり、

俺が齧った魂は、

その場に留まり役目を与えられる。

それが俺の能力。


食い物は生き続ける。

俺の中で生き続け、

血となり肉となり、

俺の魂の糧となる。


「おぉぅええぇ・・・」


肩と胸の継ぎ目から、

ダラダラと流血が垂れる。

竜鱗の肌は強度を増し、

相棒は俺の中で生きている。


適合障害か。

いや。この肉は土の味がする.....


精霊の肉は不老不死の食材だと聞くが、

それは迷信だと悟った。

あの村で口にした精霊も、

所詮は人間と遜色のない肉塊。

美味を求めた訳ではないが、

竜を喰らった時のような、脳髄に響く衝撃は無い。


「マズい.....」


継ぎ目をバンダナでしばり止血する。

確か外には野菜が育てられていた。

精霊が育んだ収穫物。

もしかすれば力の秘訣はそこにあるのかもしれない。


「はぁっ…..?」


待て待て。

考えても見れば、

どれだけのタネがあろうとも

あの土精霊グノーム程度の力しか得られないのだったら、

もうこの場所に用はない訳だ。


それに精霊を食した竜がいるのならば、

不老不死が顕在するはずである。


しかし元々竜は寿命が長く、

結局は老いて死んでゆくものばかり。


「ぅん......」


本当に価値があるのは精霊が使う得物かもしれない。

奴らが魂を注ぎ込み、その身にまとう伝家の宝刀。

姿かたちを変えて、

我が子のように手放さず、精霊たちが身に着けるという。


つまりは、

――精霊の宝具フェアリア


特級希少魔術具の一つ。

やつらの武器に込められたマナは魂そのもの。

それを喰らえば、俺の肉体は神に近付けるだろう。

いつか俺はそれを食す。


だが敵前逃亡はおろか、

命乞いだけしか出来ない脳ナシの精霊では、

俺の肉体を下劣なタンパク質に変えかねない。


・・・


壊れた基盤がある。

土精霊の技術か?

この発見は大幹部としての俺の地位を上げるやもしれない。


あぁ、ダメだ。

眠い。

興味が無い。


俺は目を逸らして畑の方へ歩く。

文化的なものならば破壊は愚かだ。

俺はただ、純粋な戦いを求めていた。

だから、見つけたはずだった。

餌を取り上げられた犬の気分だ。

いずれ、また一度。

あの滴るような脳汁を......


「次ィ.....だ。」


居住区を抜けて外に出る。

あそこは人間の匂いが混じっている。

純粋な精霊だったのかも怪しい。

加えて、元より土の精霊は貧弱だと有名。

期待外れ甚だしい。

それに、今思えばこのダンジョンには何も無い。

喰らう価値のあるようなモンスター。

レイヤーボス。

野草、

食料、

迷宮遺物レリック

終遺物エンドレリック

そして、.....ラスボス。


全てが期待外れ。


――フラッ.....


「あ?」


――ボフッ!


バランスが崩れる。

足を取られて踏み込んだ先。

右足は、床底を抜いたようにくるぶしまで土に埋まり、その先の感覚が無くなる。

まるで麻酔銃でも撃たれたかのように。


「ん?」


そして俺は足を引き抜く。

剥き出しになる骨。

垂れる血液。


「ん?......ん?ん?ん?ん?」


ブワッと鳥肌が立つ。

逆立つ全身の毛という毛。

溢れ出る......脳ッ汁。


「はぁぁぁぁぁぁぁ…......いぃーねぇええええ!!!!!」


血走る眼球。

無くなった右足。

俺は服を破り捨て、

全身を力ませ血液を走らせる。

背中から手に取る、馴染んだハルバード。

変わるダンジョンの空気。

――俺の前に浮かぶ金髪のチビ。

この圧倒的な恐怖。

アドレナリン。


「オレオレオレオレオレオレオレオレオレオレオレはァッハァハァ・・・おれれれれっれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれrハァ!!ココッコ、ココ、コノ世界を統べる【キリエ大幹部】が一人ィ、ナマエはッ、名前は”レッソウ”!!…......レッソウ・キョウカ・フリューゲルズ。武士の名家に生まれし、......最強の竜使いッ!!!!」


――ピピィー、ガァァァァ.....アッ、アカムレーター、復旧.....

   解析中.....

    解析中.....

     解析中.....


 Analysis complete.....


《 大幹部司祭、レッソウ・フリューゲルズ 》

危険度☆☆☆☆☆☆☆

種族:人間

属性:NaN(解析中.....)

特徴:情緒不安定、天賦の遺伝子

アドバイスQ:「フリューゲルズの姓は、永年アイギス中央領地を守護してきた伝説的竜騎士の名家で、プライドの高い竜と対等関係を築くほどの膨大な魔力量を内在した一族です。また、キョウカ家は東領イーステンに存在した幻の武家一族で、天才的な身体能力と対人戦闘センスを持っていたとされています。彼は凄いハイブリッドかも。。。」

――SP7500

――MP6300

――HP1500

――健康状態:良好

――損傷部位:右足


竜喰のハルバード・戦型顎アギト

イーステンの刀匠に作らせた世界に一つの業物。

このハルバードを握った俺と敵対し、

生き残った生物はいない。

人も精霊も魔法も怪物も全てカッ捌き、喰らってきた。

この武器が俺に消された亡者の歴史。

コイツとこの肉体こそが、レッソウ・キョウカ・フリューゲルズ。

最強の体現者、最強の竜騎士たる証。


竜四肢リュウジシカイッ・・・!!』


竜四肢リュウジシカイ

 系統:契約呪法系・召喚呪法

 等級:D級

 属性:①物理

    ②召喚先に準拠

 詳細:(己が四肢を痛みを犠牲にして供物とし、召喚した竜四肢と適合させる呪法。発動自体は条件や道具を揃えれば簡易であるが、完全に適合出来るものが少数である。またそれ以前に最後まで意識を保ったまま呪法の痛みに耐え凌げる者が少ない。)


吹き荒れる砂嵐。

並々ならぬ竜の力が堪え切れぬように、オレを包む周囲の空間が歪む。



『アハァハハハハァハハハハハハッ・・・・!!!』





























 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



「あっそう」


≪土の精霊、ルタル・グノーム≫

危険度☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆・・・・・・・・・・


イィイイイイ痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いキモチィい痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!痛い痛い痛い痛い痛いキモチィい痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛いキモチぃ痛い痛い!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い気持ちぃ痛い・・・・・・・』


服の中で砂が踊る。

肺の中で砂が踊る。

舌の上で砂が踊る。

爪の中で砂が踊る。

これは何だ?

紙やすりの服を着ているかのように痛い。


土に触れた肌から、削れて肉が剥がれ落ちる。

乾燥した砂が傷口の血液を貪り、吸い尽くしていく。

肉を擦り、やすりのように削がれていく。

手を付けば、3秒後には白い骨が見えた。

魂が纏う有機物の全てが土に還る。

魂以外が剥がれていく。

血と肉がこそぎ落される様に。

あるいは微生物に食され、

分解されていくように。


――ジョリリィイイイイイリリィイイイイイイ・・・・!!!!


「これッェアがががはぁッ・・があああッ・・・ああッ・・・・ぁあああ!!!」


これが精霊。

人間と神の狭間の存在。


――ビュゥウウウ・・・!!!


舞う砂嵐。

襲い来る砂塵。

両目に入った砂で、即座に両方失明した。

耳は剝がれ落ち、

頭皮は荒らされ髪が落ちる。


蟻地獄のような流砂で、

俺は意味も無くハルバードを振り回す。

足を踏み込めば砂が崩れ、

抜け出せそうという淡い希望は、

土の両手に引っ張られ、握りつぶされる。

そんな地獄、

地獄、

地獄、

地獄、

地獄、

地獄

地獄の、連続が続く。


「がゃあぁあああァあアアあぅああああ!!!」


これが本当の、

ホンモノの精霊の実力。

興奮するッ。

何処だ。

お前は今、何処にいるッ。


『どっかで精霊を殺したとか、人の子を殺したとか、どうでもいいの』


 「痛いぃ痛いぃぁがあぁあ・・・」


ヨダレが溢れて止まらない。

俺の猪口才な魔力が、

圧倒的物量に相殺される。


『――土下座をした相手に、追撃するような悪党かどうか。.....それだけが、土の精霊わたしたち攻撃はんだん基準。』


 「コレがハァアァッ全力かぁ!!!ははぁ!!」


幽閉された魂たちが解放されていく。

絶倫のカタルシス。

止まらない脳汁ッッ。

最高の満足感。

表面的かつカラッポで中身の無い悔恨。

肺に穴が開き、酸素が入らない。

死にたくない。

死にたくない。。。

もっと味わっていたい。

もっともっと、

もっと。


「クソガァァアァァァァアラァアアァァラアァァァァ!!!!!!!!!!!!」


視界の黒。

喉が潰れ、血を吐き出す咳が止まり、やがて音が消えた。












――――――――


「人間に、全力を出す......ワケがないでしょ」



種族:精霊

属性:冥土

特徴:ニート

アドバイスQ:「このダンジョンの 裏ボス です。」







全力でないにしろ、

本気だ。

命を狙われて、

手を抜くことはありえない。


だが、

自分自身のマナを使うのは、

いつだって不本意。

ダンジョンのマナだけで完結させなければ、

ダンジョンマスターとしては四流以下である。

そんな精霊はいつか命を落とす。

能ある鷹は爪を隠さなければならない。

いずれ、力量が見透かされるから。


「ふぅ、疲れた。。。」


白骨は、

踊り疲れた様に、

土の上で横たわる。


折角頑張ったのだ。

何か....

何か自分に......ご褒美が欲しい。




・・タラタタッタッタタ~☆

  ルタルは、

  ――SP7500

  ――MP6300

  を獲得した。

  Congratulation.....you win...!!!!


部屋のメインコアが陽気に告げる。

ほほほ☆これは、これは。。。


「おっ.....おいひぃ~」


人生は一期×一会に、一喜×一憂するもの。

うまいうまい♤

キリエ大幹部とやらが死に、

結果ダンジョンは.....

超、潤った。


「ヤタ―!!」


『・・・・・シグマッ.....グノームス!!!!!!!』



スピーカーから、聞き慣れた声。

遠くから鳴り響くリアル轟音。


「あ。」


――ドゴォオォオオオオンン・・・・・!!!!


・・タラタタッタッタタ~☆

  ルタルは、

  ――SP0

  ――MP0

  ――RP0

  全てを失った。


「な.....なっ、な、何を......四天王...........」


私は膝を付き、

ディスプレイに映し出された仮想空間を見つめる。

咄嗟の来客でタンテちゃんに色々な権利をポイッと丸投げした末路。

旧・巨人牢からは、一本のドデカい穴が伸びていた。















―――――――――――

{ウェスティリア魔術学院・グノーム寮談話室}


「オイラ、グノームだけは入らねぇって決めてんよな。」


「彼らの姿は骨であり肉はこの大地ィ.....」


『ぷぷぷ』



「違うわい。」


私はしかめっ面のまま、

スイーと部屋の壁を潜って移動する。

あの絵は祖父が土下座をした洞窟の壁面に、私が描いたものだ。

ただ幼い自尊心がために、あの場所に刻んだ五大王の絵。

グノームの魔法を誇示したかった。

人間の五大王など、簡単に殺せるのだと。


昔の話だ。

いつだって重要なのは今。

そう、今まさに。

私が学院を自由に移動できるなった理由が、

最重要事項なのである。

これはルタル・グノームのダンジョン創作史における重大な”転換点”である......



――【最重要事項】―――――――――

① ダンジョンの第2層までを人間に貸し、共同管理する。

② ウェスティリア魔術学院(学長室を除く)をダンジョンとする。

③ ウェスティリア魔術学院への外敵排除には協力する。

――――――――――――――


すなわちオルテガ教授は私との契約を通して、

この城全てをダンジョンとし、

ダンジョンコアによって管理することで、

1つの[タワーディフェンスゲーム]をしたい狙いがある。


こちらには、「学院の生徒を人質に出来る」カードが握られた。

しかしあちらにも、「精霊の居住地をバラす」というカードがある。


向こうは第2層以降の管理を出来ないが、

こっちは学長室の管理が出来ない。


規模は違えど、隠しタネを仕込める要素もある。

私としても学長室へ無闇に近付けば、

罠があるのでは?

という疑念、つまり危険性がある。


ザックリと言えばそういう相互牽制。

実態はより複雑だが、

表面上は互いに上手く利用し合っている形。

総じて、【WINーWIN】に見える。


私は私で無闇に人間に喧嘩を売らない。

これは私の行動心理を良く理解した契約なのかもしれないと思った。


あるいは、

この学院の人間が、相当に切羽詰まっている状況なのか。


何にせよ。

人間観察は元より趣味なので、

最近ちょっと楽しいのです。



「タンテ~?今日のお昼ご飯、当てっこしよ?勝った方は~」


「カレーだ。ルディはさっき食堂の近くを通っただろ?そしてカレーの日は匂いだけでハッキリ分かるんだ。だからルディは答えの知った当てっこで賭けをしたかった。」


「もう~」


「――こらこら、上級生が説明している時に......」


くくくくくく......くそー!!

空き時間も全部魔力強化に使いなさいよ。

友達なんぞ作りおって~。

楽しそうで、

良かったね!!

















{ダンジョンステータス}

内部コア(搭載OS:Que Sera Artificial Intelligence)

研究レベル:1→2←New!!

DPダンジョンポイント :0 → 20

MPモンスターポイント :50→ 50

RPリソースポイント  :0 → 5

分 類タイプ:精霊管理複合多層型←New!!

構 成:全6層

状 態:廃農家ダンジョン

称 号:???

危険度:レベル2【F級】



 ―――ダンジョン作りにはSayがいる!!

           妖精編 Part of the 寮生編 (完)



Tips 

・四大精霊

『精霊にも実力のある名家が存在する。

↑ 北のグノーム、土の精霊。

↓ 南のサラマンダ―、火の精霊。

→ 東のウィンディーネ、水の精霊。

← 西のシルフィード、風の精霊。

 彼らは四大精霊と呼称される精霊たちの名家である。かつては人間たちの前にも表れ、その恩恵を与え、共に平和を謳歌し、各地で崇拝される由緒正しき血筋であった。現在では、そのうち2つの精霊種が人間たちの野望に利用され滅びたとされている。事実か虚実か定かではないが、歴史上のとある観測地点からは同時期に現大陸世界に大きな影響を与えている”二大有力クラン”が生まれている。東の豪商、サラマンダル・アルデンハイド。そして、北帝国ノスティアの参謀、ウィンディーネス・ヒュドラである。』     

     

Tips2

挿絵(By みてみん)     

{旧、ルタル宅}


地中には胴体から足先まで埋まっており

超撫で肩のゴーレムは

非常時の頼もしい衛兵として機能する

アイギス領のドラグナーたちに攻略されたが

定員二名の隠遁部屋が

ルタル・グノームの命を救った    



――――――――

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