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少しの変化

「おはよう高梨!」

「おは〜」


「おはよう!」


こうやってクラスの日常が普通になってくれて、高校生活で一番ネックだったことが改善された。

沙羅先輩とのこともあるし、こんな充実した高校生ライフが待っていたとはちょっと前の俺が聞いたら嘘だと言うだろうな。


そんなことを考えていると、山川が近付いてきた。


「おはよう高梨、昨日は大丈夫だったか? 横川と話をしたけど、変な連中に何かされなかったか?」


どうやら昨日の件を知っているらしい。

速人と話をしたみたいだが、特に何かを聞いた訳ではないようだ。


「そっか、心配してくれてありがとな。一応そいつらと話はしたんだけど、大丈夫だったよ。」


「おう、それならいいんだ。」


山川はあまり裏表を感じさせないというか、こんな感じで接しやすくて、気軽に話ができるのがいいところだ。


ガラガラガラ


「失礼しまーす」


速人が朝のHR前に入ってくるこの姿も、最近は定番になってしまった。


「おはよう一成。」


「おはよう速人。」


俺の席に近付くと、片手を上げて挨拶してきた。

速人には昨日のお礼とか言わないとな。


「速人、昨日は本当にありがとな。何か礼でもしたいくらいだ。」


俺がそれだけ言うと、空気を察してくれたのか肝心な部分は言わないように、ぼやかしながら返してくれた。


「あのくらい大したことはないよ。でもそうだな…せっかくだから今度オレに付き合ってくれよ?」


「「きゃああああ!」」


!?

速人と話してると、いつもあそこの一角が煩いんだよなぁ…何なんだ?


「ああいいぞ。でも場所はそっちで考えてくれよ?」


「りょーかい。あの後の話はまた聞かせてくれよ?」


そう言って速人は自分のクラスへ戻っていった。

雄二以外の友達と遊ぶのは久しぶりだな。

そうだ、どうせなら雄二も呼んで三人で遊ぶのも楽しそうだ…


------------------------------------------


昼休みになり、今日も楽しみなランチタイムになった。

最高に美味しい、俺の最大の栄養源である先輩のお弁当を食べる。


ちなみに今日は、食べ始めからずっと沙羅先輩が俺を見つめてニコニコと微笑んでいる。


目が合うと嬉しそうに笑顔を浮かべるので、その度に恥ずかしいというか照れ臭い。


「高梨さん、お弁当は如何ですか? 何か気になることや、ご希望があれば仰って下さいね?」


そう言えば、こういうことを聞かれたのは何気に初めてなような気がする。

朝もそうだったが、こうしてダイレクトに聞いてくるのは先輩の中で何か変化があったのかもしれない。


「沙羅先輩、俺は今まで先輩のお弁当に美味しい以外の感想を持ったことはないです。本気に美味しいと思っていますから、これからも先輩が作りたいように作って欲しいです」


「高梨さん…はい、畏まりました。では、今後も高梨さんに美味しいと思って頂けるように頑張りますね。ところで…ふふ、やはりこいうことはご自分では気付きにくいものかもしれませんね?」


沙羅先輩が笑ったと思うと、ビニールシートの上を少し移動して、俺にすり寄るように近付いてきた


「沙羅?」

「沙羅先輩?」


俺の顔を見ながら近付いてきたと思うと、ポケットの中からハンカチを取りだし、そのまま顔に手を伸ばしてくる


「高梨さん、動いてはいけませんよ?」


そのまま俺の口元に伸ばしてくると、拭うような感触があった。

だが、そのまま終わって離れるかと思いきや、これも朝と同じで離れようとしなかった。


どうしたんだろう…いつもより近付いてくるというか…


勘違いかもしれないが、いつものように俺が甘えてしまっているようで、先輩からも甘えられているような気がする。


「私に恋を教えて下さい」

俺は先輩からそう言われた。

ひょっとしたら先輩も何かしら思うことがあって行動してくれているのかもしれない。

であれば俺も積極的に動くべきだと思う。

いきなりは難しいけど、今まで恥ずかしいと思って抑えていたことや、躊躇していたことも少しずつ先輩に伝えていくべきだ。


不意に沙羅先輩の頭が目に入った。


そう言えば、最近ずっと先輩に頭を撫でて貰っていたが、たまには俺の方から撫でてみるのはどうだろうか…?


先輩の後ろに手を回し、こっそり撫でてみた。


「高梨さん…!」


沙羅先輩は驚いた表情を見せたが、そのまま撫でていると嬉しそうに目を細めて、俺との距離を更に詰めてきてくれた。


「沙羅先輩…今どんな気持ちですか? 俺はこうして貰えるといつも幸せで、沙羅先輩と触れあえることで安心感を覚えるんです。」


「…はい。私は今まで、こうして差し上げると高梨さんが喜んでくださるのが嬉しかったのです。言われてみますと、高梨さんが側にいて下さる安心感は確かに感じます。こうして触れて頂けることが幸せで…」


「俺は沙羅先輩と一緒にいることや側にいることが幸せだと感じています。沙羅先輩も同じように感じてもらえたら嬉しいです。」


正直恥ずかしい気持ちはあったが、俺が感じている気持ちを先輩に伝える。

嬉しそうな、幸せそうな表情におされて暫く撫で続けた。


「………ねぇ、私がいるんだけど」


すみません、途中から忘れていました…

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