恋とは?
わかりません…
とても嬉しいのです…でも高梨さんを見ていると恥ずかしいという気持ちが湧いてくるのです。
高梨さんのお言葉はとても嬉しくて…嬉しくて。
本当に私を見てくれている、わかってくれている
誰よりも私を大切になんて…
「俺はあの人が何よりも誰よりも大切なんだ!」
高梨さんの声がずっと頭の中をぐるぐるしております。
頭から離れないのです…
高梨さんが私をそんなに思って下さるなんて。
ああ、思い出してしまうと…
嬉しいのです…恥ずかしいのです…
でもなぜ恥ずかしいでしょうか?
嬉しいことではないのですか?
考えがまとまりません。
自分の気持ちがわからないのです。
こうしている間にも、高梨さんは話を続けています。
「お前だって告白して振られるのが怖いから、かっこつけて友達でいいとか逃げてるだけだろ!?」
「俺が沙羅先輩のことを好きな気持ちを、お前らと一緒にするな!!」
!!!
好き…好き…
高梨さんが…私のことを?
今まで男性から好きと言われたことは数えきれないくらいありました。
でも嬉しいと感じたことは初めてです。
私は…私は?
わからないです。
私は高梨さんをどう思っているのでしょう?
私は高梨さんを特別だと考えています。
他の男性では忌諱を感じることでも、高梨さんなら大丈夫です。
高梨さんの笑顔が好きなんです。喜んで頂けることをして差し上げたいと思っています。
そしてそれは、夏海にも、他の女性にも譲れないと思っています。
…他の女性には譲れないんです。
私がして差し上げるんです…
この気持ちがそうなのですか?
------------------------------------------
これは予想外だ。
まさか高梨くんが沙羅を好きだとハッキリ言うとは…
沙羅が固まったまま動かない。
色々なことがいきなりすぎて、きっと受け止めきれていない。
どうしよう、ここは大丈夫そうだし横川くんに任せて私達は戻った方がいいだろうか?
沙羅も気持ちを整理する時間が必要だろうし。
そう考えていた私は、沙羅が突然動きだしてあの場に飛び出すなど予想できなかった。
------------------------------------------
「……高梨さん」
!?
そんな…嘘だろ…
何でここで先輩の声が聞こえた…
嘘に決まってる。
嘘でなければ困るんだ…
「姫!? なぜここに!?」
振り向くと、顔が真っ赤になっている先輩が立っていた。
俺が呼び出されたことを怒っているのか?
それともまさか、俺の話を聞いていたのか?
沙羅先輩はファンクラブなど眼中にないようで、俺だけしか見ていない。
「高梨さん…私は、高梨さんの気持ちがとても嬉しいです。」
この時点で、話を聞かれていたことが確定した。
でもそれは、友達の枠を越えた俺の言葉を聞かれた訳で、当然拒否される可能性がある。
俺はその答えを聞くのが怖い…
「私は今まで異性を好きになったことはありません。恋という気持ちがわかりませんでしたから。近寄ってくる男性が嫌で、私を好きだと言われても理解できませんでした。」
だが、沙羅先輩がゆっくりと話を始めた。
怖くても、もうこれは聞くしかない。
「高梨さんのお気持ちを聞いて、こうして自分自身を意識してみれば、私はいつも高梨さんのことを考えていました。授業中も、家にいても、寝る前も、高梨さんのことを考えて…思い出して。」
「私はあなたの喜ぶ顔を見るのが好きです。あなたのお世話をするのも私の役目なんです。お弁当も、身の回りのお世話も、誰にも譲れないです。他の女性に任せるなど私はきっと我慢ができません。想像したくありません。」
「この気持ちが恋なのでしょうか? ですが私にはわからないのです。今まで高梨さんを親しいお友達だと思っていると自分では考えておりましたから。」
沙羅先輩は今まで恋を自覚したことがないから戸惑うのは当然だろう。
どうせ伝えることになるのなら、もっとゆっくり伝えたかった…こんな急な話では…
でも先輩は、変わらず赤い顔をしたまま、恥ずかしそうにしながらも俺をしっかりと見た。
「高梨さん、私は自分のこの気持ちが恋なのかわからないのです。でもこれが恋なら…他の誰でもない、高梨さんと一緒がいいのです。ですから…」
沙羅先輩はそこまで言うと、とびきりの笑顔を見せてくれた
「高梨さんが私に恋を教えて下さい…あなたに恋をしていると自覚させて下さい。大好きなあなたと恋をしたいのです。」
沙羅先輩は、精一杯の答えを俺にくれたのだった。




