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意識

昨日の夜、雄二と会話した内容が頭を過り、何となく朝から気まずい感じが抜けなかった。


「本日の家庭科は調理実習なんですよ。お菓子なら高梨さんに差し上げることもできたのですが」


「そ、そうなんですね。沙羅先輩は料理得意だから余裕でしょうね。お菓子も得意なんですか?」


そういえば、先輩のご飯は色々ご馳走になってるんだけどお菓子は食べたことがない。


でも先輩のことだから、きっとお菓子も上手だと思う…寧ろ、上手く作れる姿しか想像できない。


「沙羅はお菓子作りも当然得意よ。というか、沙羅が家庭科で苦手なことなんてないと思うけどね。」


「そんなことはありませんよ。私にも苦手なものはありますから…」


「じゃあ何が苦手なの?」


なんか夏海先輩の言葉に棘があるのは珍しいな。何かあるのだろうか?


「え…と」


少なくとも、高校でやる程度の家庭的で沙羅先輩が苦手なことなどないだろうと思う。


「とまぁ、この子は女子力の塊だから、男子からすれば理想の嫁だと思うわよ」


う…昨日、雄二とあんなこと話しをしたから、嫁とか言わないで欲しい。


何とか平静を装うことができてるのに、意識したら顔に出そうだ…


「高梨くん、顔が赤いわよ?」


夏海先輩がニヤニヤしながら言ってくる。

指摘されると余計に意識してしまう

我慢我慢…


「高梨さん、本日はずっと何かを我慢しておりますよね? やはり気になってしまいます。」


「…沙羅? ひょっとして高梨くんが何かおかしいの気付いてた?」


いや、俺は表情に出していないはずだ。

現に、夏海先輩も指摘してこなかったし。

俺が嫁という言葉に反応してしまったから気付かれただけだ。


「はい、本日お会いした時点で気付いておりました。」


あれ、この前もこんなやり取りをしたような。

俺って、すぐ顔に出る嘘がつけないタイプだったのかな…


「さすがは沙羅ね。高梨くんのことよく見てるわ。」


何だろう、今日は妙に夏海先輩がからかってくるような気がする。

正直、俺は余裕がないので勘弁して欲しいのだが…


------------------------------------------


家庭科の授業が始まりました。

今日は予定通り調理実習です。


クッキーなどのお菓子なら良かったのですが…

もちろんお菓子類は何度も作ったことがありますが、考えてみると、高梨さんに差し上げたことがありませんでした。

機会があれば、頑張って可愛いお菓子を作りたいですね。


さて、まずは準備をしましょうか。


------------------------------------------


調理実習はグループで行うのだが、女子のご飯を食べられる〜のようなノリで、男子がニヤついているのがイヤらしい。


特に沙羅のグループは、他のグループの男子まで押しかけるからね…

また怒らなければいいけど。


家庭科は好きな教科であるせいか、あの子は普段より表情が柔らかくなるのだ

だから余計に男子が勘違いするのよ。


しかし、エプロンが可愛いわねぇ。

あれが高梨くんが選んだというエプロンか。

学校の調理実習にまで持ってくるなんて、余程お気に入りになってるようね。


しかし、昨日の橘くんからの報告は予想以上だった。

高梨くんが、ハッキリと好きだと言ったというのは朗報だった。

であれば、あとは何としても沙羅に自覚してもらうだけだ。

問題は、どうすれば沙羅が自分から自覚してくれるか…ということ。

直接伝えるのはもちろんアウトだ。

きっかけが…何か一つでいいから、いいきっかけがあれば…そうすれば一気に進むはずだ。

今のところはチャンスを待つしかないかな。


さて、私も野菜を切りましょうかね。

普段の練習の成果を見せないと。


------------------------------------------


「薩川さん、そのエプロン可愛いね。」

「俺もそう思ってたわ」

「今までのと違うよね?」

「はい、このエプロンは頂きものなんです。私のお気に入りなんですよ。」


高梨くんのエプロンを褒められたせいか、いつもより機嫌が良くなってるみたいね。

グループの連中もそれに気付いたようで、積極的に話しかけてる


「頂きものってことは、プレゼントってことだよね? 男子からだったりして?」

「はい、よくわかりましたね。」

「えええ、ホントに? 薩川さん男子からのプレゼント受け取ったの?」

「? 受け取ってはいけないのですか?」

「いや、薩川さんって男子が苦手というか、嫌ってるよね?」

「ああ、そういう意味ですか。このエプロンを下さった方は特別なので。」


この流れは、前と同じになりそうな予感がする…

沙羅は機嫌がいいのかしっかり受け答えしてるし、そもそもあの子は高梨くんのことを隠すつもりはないから…


「あ、わかった! 例の朝一緒に来てる男子だ!」

「アクセとか適当な小物じゃないのがポイント高いよね。エプロンなんて、薩川さんのことちゃんと考えたからだろうし。」

「はい、このエプロンは私の宝物なんですよ。」


あ〜あ、あんな嬉しそうな笑顔見せたら…知らないよ


「お、俺もちゃんと考えてプレゼントするから、貰って欲しい!」

「今度用意するからさ!」


「? いえ、結構ですよ。あなた方から頂く理由はありませんし、頂きたいとも思いませんので。」


「「「…………」」」


バッサリ切り捨てたねぇ

まぁ沙羅は、他の男子は眼中にないから当然だろうけど。


高梨くんの今朝の態度を見るに、昨日の橘くんとの会話で改めて沙羅を意識しているのだろう。

ひょっとしたら、沙羅が気付く前に高梨くんが動いてくれるかもしれないし、そっちに期待する手もあるか…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 親友・・・ 頑張って(笑) しかし、ここまでバッサリ切り捨てられても懲りない男子達ですねー 対比にちょうど良いのですが。 西瓜に塩をかけるようなものですね。
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