完成
話も終わったので、リシアの元に戻る。色々と味見させながら作っていったのもあり、いつも以上に時間がかかってしまった。
「完成〜! いやー結構作っちゃったよ。ラウザがいれば一瞬なんだけどね」
「ラウザ様が知ったら羨ましがりますね」
「ね〜。とりあえず後でティディにも渡そう。リシアも、食べたいだけ持ってっていいよ。一緒に作ったんだし遠慮しないでね。それとも一緒に食べる?」
「そ……うですね。せっかくのお誘いですし、ご迷惑でないのでしたら」
「迷惑なんかじゃないよ。それじゃあシスタの部屋に行こう」
「私は先にシスタ様の部屋に行き、準備をして参ります」
「うん、お願い」
「失礼します」
ニーファは足早に調理室を後にし、私達も忘れ物を確認した後シスタの部屋に向かった。
「メイドさんって凄いですね。手際良く動いていらっしゃって、気付いた時には片付けも既に終わっていましたし」
「ニーファは私とシスタの専属メイドだからね。メイドの中でも能力が高いし、しょっちゅうこういう事に付き合わせていたから慣れているのもあるだろうね」
「そうなんですね。私はお二人の足を引っ張ることばかりで迷惑をかけてしまいました」
「お菓子作りは初めてでしょう? それであれだけできれば上等だよ。料理とお菓子作りは似ているようで技術とか異なるからね。それに、リシアのデコレーション、本当に綺麗だよ。私だってこんなに綺麗にできるようになるまで時間がかかったから、誇っていいよ」
リシアは少々照れくさそうに微笑んだ。
「ありがとうございます」
本当に良い笑顔で、思わずシスタやラウザにしているみたいに頭を撫でた。庇護欲というものだろうか。この笑顔を無くさないでほしいと思ってしまう。
「あ、あの、ヴィリアン様」
「うん?」
「大丈夫ですか?」
「何が?」
「その、婚約者のいない殿方が女性の頭を撫でるのは、見る人によっては勘違いされてしまうかもしれませんし……」
あ、たしかに。面倒くさいな、社会って。
「ごめんね、気をつけるよ。リシアも私となんか嫌だよね」
「いえ、そんな! 私は別に……あっ、えっと、他意はありませんから!」
「分かってる。私こそごめんね、癖でつい」
「……ヴィリアン様はよく頭を撫でられるのですか?」
「そうだね、家にいた時は。シスタはもちろんだけど、私には弟もいるんだ。よく二人の事は撫でたりしていたね」
「仲がよろしいのですね」
「うん、弟とは色々とあったけど、今は仲良いよ。シスタもラウザもずっと笑顔でいてほしいって思う。もちろん、家族以外にも私がお世話になっている人や、仲良くしてくれているリシアにも笑顔でいてもらいたい。と、話しているうちについたね」
ノックと名乗りをすると、ニーファ出迎えた。
「リシア、遠慮しないで。入ろう」
私が手を差し出すと、ほんの少しの間があった後手を繋いだ。
私はそのまま席まで連れて行き、座らせた。
「あまり気を張らなくていいからね。ニーファ、シスタは?」
「隣の部屋で着替えをなさっています」
「じゃあ少し時間かかるよね? お茶の用意とか済んでる?」
「はい」
「じゃあニーファはもう休んで良いよ。私ちょっと調理器具とか材料片付けてくるから一旦部屋に戻るね」
「片付けでしたら私が承ります」
「重いからニーファじゃ大変でしょう。私がやるから無理しないで」
「ですが……」
「じゃあ、リシアをもてなしてよ。客人をもてなすのもメイドの仕事でしょう」
ニーファは少々葛藤している。そして、どうにか自分が納得できる結論を出したのか、仕事モードの顔に戻った。
「かしこまりました。お任せください」
「頼りにしてるよ」




