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前日

 入学の前日、私とシスタは両親から呼び出された。


「色々とあったが、時間が過ぎるのはあっという間だな。感慨深くもあるし、寂しくもあるな。……失礼」


父親は手拭いを目に当てた。相変わらず涙腺の緩い方だ。


「しっかりしてください」

「すまない。あまりにも二人が立派に成長したものでな」


ガチ泣きしてるよこのおっさん。嫁に行く娘を見送る時みたいじゃないか。


「本当にもう。まずはヴィリアに伝えたいことがいくつかあります」

「はい」


ここで母親からもありがたいお言葉が送られるのかな。


「あなたは本当にこの家で様々なことをやらかしてくれました。まずはその格好、剣術、家事、外で魔法を教える、しまいには空を飛ぶ練習とか言って家の物を壊しましたね。本当に、本当に色々とやらかしてくれました」


 ……あれ? もしかして私に送られるのありがたくないお言葉?


「何度頭が痛くなったことでしょうか。外出していてもあなたが何かやらかしているのではと、家のことを心配しなかったことはありません。年々落ち着くどころか活発になってきていますし。本当に心休まる日がありませんでした。それはあなたが学園に行っても同じです。むしろ学園に行かれる方が不安が大きいです。家で何かされても、他の方に迷惑をかけることはありません。ですが、学園は違います。我が国の貴族のご子息ご令嬢だけでなく、他国の方もいらっしゃいます。ヴィリア、今さら改めなさいなんてことは言いません。言ってもあなたは聞きませんし。ですから、せめて学園や他の人に迷惑となる問題だけは起こさないでください。お願いします」


母親は切実に願っている。一体私を何だと思っているのやら。まあ確かに、窓を突き破ったのはちょっとやりすぎたと思うよ。でも流石にそんなこと学園ではしないよ。……たぶん。


「肝に銘じておきます。度重なる心労をおかけしてしまい申し訳ありません」

「口だけにならないことを願っています」


母親の目は半信半疑であった。失敬な、これでも私は十五歳。ちゃんと分別のつく子どもですよ。


「次にシスタ」

「は、はい」


私が散々な言われようだった為か、シスタもちょっと身構えている。


「あなたは従順すぎます。従順なのは良いことかもしれませんが、社会の場に出れば都合の良い人間となってしまいます。学園は社会の縮図のような場です、決してそんな地位に成り下がってはいけません。あなたが傷つきます。

自身の気持ちを伝えられる人間になってください。ヴィリアほどになられてしまうと困りますが、多少は自分のやりたい事を少々強引だろうと押し通しても良いのです。あなたはシスタ・ロジャー、公爵家です。私達の娘です。もっと自信を持ってくださいね」

「は、はい! ロジャー家の人間として恥ずかしくない振る舞いを心掛けます」


本当に十年で凄い変わった。私達の娘だと堂々と言うようになったのだから。しかし、シスタと比べると私への言葉って酷くない? 酷いよね。たしかにちょーっと、いや少々、いや中々、いやかなりやらかしてきたと思うけど、あそこまで言わなくても。


「二人とも、父さんからもいいかい?」

「いいですよ」


ようやく涙が収まったか。


「ヴィリアラ、シスタを助けなさい。シスタ、ヴィリアラを助けなさい。学園は貴族の自立を、平民の才能を伸ばすことを目的とした場だ。基本的に大人は手を貸さない。だから、何か困ったことがあれば生徒同士で助け合うものだ。幸い、二人は家族だ。何か困ったことがあってもすぐに頼れる。だから、遠慮なく頼りなさい。特にヴィリアラ、自分のことを大切にな。それと、間違っても女性からの婚約話を受け入れないように」

「大丈夫ですよ、分かってます。そもそも我が家にはラウザがいるんですから、男だろうと婚約話なんて受け入れませんよ」

「…………」

「…………」

「お養父様、お養母様、お姉様のことは任せてください」

「本当によろしく頼む。もう戻っていいぞ。明日も早いしな」


 ……あれ? 全然信頼されていないんだけど。


「お姉様、無理だけはしないでくださいね」

「え、う、うん……。シスタ、そんなに私信用ない?」


シスタはえへへと笑って誤魔化した。くそ〜! 可愛いから許しちゃう! こんなにチョロかったら皆心配だよね! よく分かったよ!


「シスタ、今日は一緒に寝よう」

「良いですよ。学習道具ももうしまっていますので」

「あ、私机の上に出したままだった。ごめんシスタ、またあとで!」


急いで荷物の整理してシスタの部屋にと思ったのだが、既にニーファがやってくれていた。シスタと過ごそうと思っていたことはお見通しみたいだ。流石はニーファ、私のことよく分かってるよ。

これにて二章終わりです! 次から三章となります! 長かったです。本当に長かったです。文字数だけならラノベ一巻分。途中で止めずに読んでくださった方々には頭があがりません。

三章は基本一話投稿に戻しますが、最初だけ二話投稿を続けます。一話に戻す時はあとがきなどでお知らせします。

また、三章はシリアスになったりする話もありますので、苦手な方は注意してください。


ここまで読んで下さりありがとうございます。少しでも良いなと思われましたら、ブクマ、評価、いいね、感想等頂けますと幸いです。

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