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心配

 魔法剣士の道が絶たれたと分かった瞬間これだよ。


「はいはい。──ッ!」


私が剣を構えるよりも早く、ソルシーとジジイは杖を構えて警戒態勢になった。

馬がこちらに向かって走ってきている。人を乗せている馬特有の足取り。大勢ではない、五人くらい?

でもどうして? ここは町から離れているし、周りに民家もない辺鄙な場所。生徒達ですら馬車に乗ってきている、本当に周りに何もない場所。

先の戦闘の騒動で調査に来たとは思えない。生徒達が伝えたにせよ早すぎるし。

もし来るとしたら、ここにいる誰かを狙ってか、もしくは我が家の者。

もう、本当に今日は何なんだ!


「ヴィリア──ン坊っちゃま! 大変です! ラウザ坊っちゃまがいなくなられました! こちらにきておりませんか⁉︎」


 私はすぐに馬車から馬を離して乗った。

後ろに隊長、ラウザの執事、ラウザの剣術の先生、あと隊員二人が続く。


「ソルシー、おじいさん! その気絶してる人達お願いします! あと、弟が来たら保護してください!」


私は馬を走らせながら事情を聞く。


「気が付いたのはいつ!」

「三時間ほど前、ラウザ坊っちゃまがお手洗いから帰ってこず、不審に思い探したのですが、見当たらなくて」

「どうしてもっと早く私に知らせに来なかった!」

「屋敷を探しておりまして。申し訳ありません」

「両親は知ってるの?」

「いえ、外出中でしたので、伝えておりません」

「じゃあまだ伝えないで。心配をかける。でも、探していなければ伝えるよ。どんな責任でも負うんだよ」

「は、はい」


ラウザの先生は暗い顔をしている。ラウザにもしものことがあれば、責任を取って……なんてこともある。こいつはどうでもいいけどラウザに何かあるなんて考えたくもない。だからどうか、無事であって。


「まさかこの数人で探してるなんてことはないよね?」

「町の方にもすでに隊を向かわせております。今は町の衛兵も交えて捜索していると思われます」 


気づいたのが三時間前、もっと前からいなくなってると考えると、町にいてもおかしくない。一体どうしていなくなったの、ラウザ。


「一応聞くけど、屋敷はくまなく探してるんでしょうね」

「はい。今も捜索は続行しております」

「屋敷で見つかれば何よりだけど……」


おそらくいない。総動員で探しているだろうから、それで見つけられなければ外に行ったとしか思えない。まったく、門番は何をしているんだ!


 馬を全力で走らせ十五分、ようやく町に出た。この町は乙女ゲームに出てくる舞台とは違うため、初めての来訪。事情がなければ思いっきり楽しむのに!


「手分けして探すよ。私はこっちを探すから、あなた達も別の方角を探して」

「しかし、ここ数年人攫いによる被害が数多く寄せられています。護衛なしでお嬢様を歩かせるわけにはなりません」


隊長の言いたいことは分かる。けど、今は合理的に考えられる余裕はない。


「……だからだよ。ラウザが危ない目に合う前に見つけて保護をする。私は剣だけじゃなく魔法もあるから、抵抗できる手段は多いし、最悪魔力で痕跡を残すことができる。けど、ラウザは違う。いくら剣術を習っているとはいえ、まだ八歳の男の子。持っている剣も木剣でしょ。良い服を着ているし、人攫いからしたら大金が護衛をつけずに歩いてるも同然。分かったら早く行って。お願いだから、私を怒らせないで、理性を失わせないで」 


私の言葉に誰一人何も言うことなく、ほんの少し躊躇いを見せた後、各々別方向に去って行く。

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