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本気の戦闘

 次の瞬間、校舎を吹き飛ばすほどの威力が私達を襲った。

この教室は氷の壁でどうにか被害は抑えられたが、クソガキ達は完全に萎縮して動けないでいる。


「流石は、かの有名なソルシー・ウィザルドに認められたお方。今のを防ぐとは感服いたしました、ヴィリアン・ロジャー殿」


誰だあの老いぼれジジイは、凄く強い。下手したらそこそこ本気出したソルシー並みに強い。


「し、ししょ──」

「いつまでそこでくるまっている! さっさと逃げろ! 邪魔だ! ほら、動けない者は動ける者に支えてもらえ、早く!」

「は、はい!」


被害状況を見ても、裏にある馬車達は平気だろう。


「おや、一人でお相手するつもりですかな?」

「あんたの相手くらい私一人で十分」

「威勢が良いですの」


なんて言ってますけど、ええもちろん、めっちゃくちゃ怖い! だってあの威力の魔法をノータイムで撃ってきた人だよ、出来ることならさっさと逃げたいよ! でも狙い私っぽいから逃げたらクソガキ共が危ないじゃん!

くっそー! 何で護衛は伸びているんだ! 怪我はないみたいだから良かったけど!


「ふぅ……」


さて、一旦落ち着こう。今日はレティスさんとスラグさんもいない。私一人だけを狙ってきたのか、それともソルシーに何らかの恨みがあって、私を人質、または腹いせに襲ったのか。どっちにしろ狙いは私だ。後者だったら死んでも恨むからな、ソルシー。


「こないのですかな? ではこちらから」


岩属性の生成型か。老いぼれだけど、でっかい杖のおかげか一つ一つの威力が重いな〜。

あいつらが魔法使えるようになってから杖の説明をしようと思ったけど、忠告くらいは今のうちにやってもいいな。大きい杖の魔法使いは気をつけろってね。


「一体あなたの狙いは何ですか! どうしてこんなことを!」

「貴方様の事を小耳に挟みましての。ソルシー・ウィザルドの弟子ともあれば、手合わせしてみたいというのは当然のことじゃろう」


それで人を殺しにくるとか、とんだ愉快犯だな。


「残念ながら、あの人はまだ私を認めてないから、正式には弟子じゃないよ」

「それはそれは」


ああ、もう! 大きい杖だと振らなくても魔法を発動できるから動きが読めない! 魔力を見ても隠すのが上手くて見るだけ無駄。それに比べてこっちは……。


「貴方様の魔法、確かに素晴らしいものじゃ。大人でも貴方様のように使いこなせず一生を終えるものも多い。しかし、まだまだ甘いですの」


振りのことだろう。全て見切られてしまっている。ソルシーが言ってた、杖の振りさえ見れば、次にどの辺りにどのような魔法が現れるか分かるって。それもそのはず、振りが大きいということは、すぐに魔力を纏められていないということ。つまり、振り終わるまでの時間、ずっと相手には私の魔力の流れが見えている。私でさえ魔力の流れを見れば次来る魔法くらい大体分かる。少しずつ改善しているとはいえ、まだまだ大きい。熟練者には通用しない。このままだと私が先に倒れて死ぬ。


「おや? 魔力切れですかの?」


 私は杖を落とし、剣を抜いてジジイに立ち向かう。流せる攻撃は剣で受け、無理な攻撃はとにかく避ける。

魔法使いは懐に入られると弱い。これはソルシーでも言っている。ソルシーが言うのなら、このジジイだってどんなに強くてもそこが弱点だ!


「なっ!」


ジジイとの距離は一歩、ここなら剣が届く!


「そうはさせませんぞ」


地面から大きい岩が出てきて、距離を取られる。


「なんて化け物を育てたんじゃ、あやつは」

「この私を育てたのはソルシーじゃありませんよ。ソルシーが育てたのはこっちの私です」


私はもう一本の剣と杖を一緒に持ち、剣に魔法を纏わせた。剣の振りを利用して、魔法を構築したのだ。

ジジイに焦りに満ち溢れた表情がなんとも印象的で、この瞬間だけ時間がゆっくり進んでいるように思えた。


 ──ああ、私、今から人を殺すんだ。


不思議と躊躇いはなかった。ただ必死に、けど警戒は解かず、ジジイの首に剣を向けた。氷を纏い、刀身が伸びた剣先がジジイの首に当たり、あとは迷いなく力に任せて斬り落とすだけという瞬間、私の全身は水に覆われ、水圧で腕が動かせなかった。首も水圧で締められ、意識が遠退きそうになる。

ジジイはその場で座り込み、ため息をついて私を見上げている。


「はーいそこまで〜。ダメだよ〜、あんまりいじめちゃ〜」


水から解放された後、耳元でそんなことを囁かれた。

私の背中にほんの少し体重をかけ、そして私を抱きしめながら後ろに倒れた。

地面に座り込んだ形になり、顔をが上げると、ソルシーが笑顔で私を覗いていた。

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