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迷い

 しばらくして、ニーファがシスタを連れて戻ってきた。


「おいでシスタ〜」


私はシスタの腰に手を通して後ろから抱きついた。もうその光景に慣れすぎたのか、前までは態度を改めなさいと言ってきた母親ももう何も言わなくなった。

ああ、それにしても良い匂い。お風呂に上がったばかりかな。シャンプーの良い匂い。髪も乾かしている途中だったのか、まだ少し濡れている。ああ、この場じゃなければシスタの髪に顔突っ込んで匂いと感触を堪能するというのに!


「あ、あの……。私何かいけないことでも……」


シスタもよく私がやらかして呼び出されているのを見ているせいか、すごく不安そんな顔をしている。


「いや、違うよ。今度ヴィリアラの十歳の誕生日パーティーが開かれるのだが、シスタはそれに参加するのか聞こうと思って呼んだのだ」

「パーティーですので、知らない人が大勢がやってきます」

「お、大勢、ですか……」


シスタは俯いて腕を摩っている。やっぱり怖いか。


「シスタが決めて良いよ。シスタはどうしたいの?」

「わ、私は……分かりません」


まあ、例えシスタが来なくても、私から会いにいくから問題ないけど。


「ヴィリアのことは気にしなくて良いのですよ。ヴィリアのことです、頃合いを見てパーティーの途中で抜け出してあなたに会いに行くことくらい考えているでしょうし。ヴィリア、そうはさせませんよ。今回はそのことも考えて、別邸で開きますからね」


な、なぜそうも簡単に私の希望を潰していくんだ!


「酷いですお母様!」

「やっぱり考えていたのですね」


母親ははぁーと溜息をついた。


「それにうちにはラウザもいるからな。ラウザも家に知らない人が出入りする状況を好ましく思わないだろう」

「そう、ですね。その、お姉様はどうしてほしいですか?」

「私が言ったら、シスタはその通りにしちゃうでしょう。だから、私は何も言わないよ」

「そ、そうですか……。その、私は、その、正直怖い、です。その、申し訳ありません、お姉様」


シスタは申し訳なさからなのか涙を流した。シスタの涙は心に来るよ。でもそれはそれとして可愛い! 私のことを思っての涙だと思うと尊さで昇天してしまいそうだよ! 一度でいいからシスタの涙舐めとりたい!


「大丈夫だよ。ちゃんと気持ちを伝えてくれてありがとう」

「パーティーの件は了解した。ラウザの相手をしてあげてくれ」

「はい」

「ヴィリアも早くラウザと仲直りして下さいね」

「中々難しいことを言いますね」

「兄弟仲が悪いと苦労しますから」


そういえば、母親と母親の弟、つまり叔父は仲が悪いと聞いた。シスタを我が家に引き取らせて以降、交流を絶っているのだから相当なものだろう。ラウザとそうはなりたくないよ。


「善処します」

「頑張ってください。話は以上です。もう戻っていいですよ」

「はい、失礼します」

「失礼します」


 ドアを開けると、ラウザが横に立っていた。


「ラウザ!」


ラウザは私を見た瞬間走って逃げた。久しぶりに会えたんだ、逃しはしない!


「ラウザ、待って! ラウザ!」


私は逃げるラウザを後ろから抱き上げた。


「ラウザ、お願い教えて! ケーキのことそんなに嫌だったの? だとしたらごめんね! でもあれは──」

「やっぱり、何も分かっていない」


ラウザはそう言って私を睨んだ。


「ラウザ……」

「無理しないでいいよ、姉さん」


ラウザは私の手を払いのけて、自室へと戻っていった。


「分からないよ、ラウザ……」

ニーファ・メドー①で表記しました国名ですが、没案の方を表記したままにしてしまった為、訂正いたしました。

ローヴ×

ロヴ○


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