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私の適任

 早いもので、ラウザの誕生日から一週間、私とラウザは両親に呼び出された。

 なんだろうか? ラウザの誕生日パーティーに欠席したことか? いや、それでも呼び出すには遅すぎる。

 そもそも、ラウザの誕生日パーティーは主役を奪われる可能性があるってラウザから直々に言われて欠席したんだ、私に何か言われる筋合いはない。

 私は何か言われたらそう反抗しようと決め、部屋に入る。


「実は二人に相談があってな」


 そう言って、父親からそれぞれ手紙をもらった。

 お説教じゃなくて心底安心した。


「パーティーの招待状ですか?」

「ああ。その日父さん達は行けなくてな。だから、代わりに二人に行ってもらおうと思って。ラウザも十になった、社交界レビューも果たした。だから、他が主催のパーティーに参加しても問題ないだろうと判断してな」

「いや、でもなんで私達ですか?」

「差出人の宛名を見なさい」


 母親に言われて手紙を裏返すと、そこには見知った苗字が書いてあった。


「メドーって、ニーファの」

「そうです。手紙の内容は、子爵家の引き継ぎパーティーへの招待状です。メドーさんにはお世話になっていますので、親族の方を無下にするのは憚られます」

「そういうことですか。分かりました、ロジャー家代表として、行ってまいります」

「ロジャー家の恥とならないよう、気をつけて参ります。姉さんのこともお任せください」

「お願いします」

「二人ともありがとう」


 手紙の内容によると、付き添いは二人まで。

 まで、とあるが、まあこういうのは二人連れてこいという意味だ。一人だったり、誰も連れてこないと、人望が無いと見做されてしまう。

 さて、どうしたものか。子どもの私に、一緒に他国までついてきてくれる程仲良い人はいない。

 ……いや、訂正しよう。ついてきてほしいと思える人がいない。

 王子はともかく、ネイトとアドラは誘えばノリノリで来てくれるだろう。けど、あいつらを付き添いにするのは嫌だ。精神的に。

 クソガキ、雑魚達も同じだ。絶対荒れる。それだけは分かる。

 ではソルシーやティディはどうだろう。

 ソルシー筆頭に、魔法使いは基本お金を払わないとこういう関係ないことには参加しない。

 ソルシーの性格上、ついてきてくれそうに思えるが、あの人は絶対についてこない。

 え、無理ですけど。お金くれるなら別ですが。とか言ってくる。分かるんだ、私には。

 ティディは単純にあの人忙しい人だから無理。

 一日ならともかく、二日以上空けるのは不可能だ。

 

「はぁ、ダメ元で聞いてみるか」


 私はシスタの部屋に向かい、パーティーに来るか聞いてみた。


「社交界、ですか」


 シスタは気まずい顔を浮かべた。擬似社交界が平気だったから少しくらい克服できているかと思ったが、やっぱり無理そうだ。


「すみません、まだ私には無理そうです」

「そっか、ごめんね」

「お役に立てず申し訳ありません」

「気にしないで。私も無理言ってごめんね」

「いえ、そんな。……あ、リシアちゃんはどうですか?」

「あ、そっか」


 社交界の服を持っている人をと無意識に考えていたから思いつきもしなかった。

 そうだ、リシアがいるじゃん。ドレスなら買えば問題ない。

 よし、善は急げだ。


「私が社交界ですか?」

「うん。嫌かな?」

「いえ! そういうわけでは。ですが私、ドレスを持っていませんし」

「大丈夫、我が家で用意するから」

「そんな! 申し訳ないです」

「お願い! 私のメンツの為だと思ってさ!」


 顔の前で手を合わせ、リシアの前で懇願する。


「ヴィリアン様の為、ですか」

「そう、私の為」

「それなら、その、むしろ私からお願いして協力させてもらいたいです」

「それってつまり」

「はい、私でよければ」

「ありがとうリシア!」


 リシアの両手を挟んで指を絡ませる感じで握り、安心と興奮のあまり、顔を近づけてお礼してしまった。

 思わず女みたいな喜び方をしてしまったけど、バレていないよね?


 リシアが付き添い人に決まってから一週間。もう一人がどうしても決まらない。

 明日にはリシアのドレスを仕立てに行くから、今日中には決めてしまいたいのだけど。

 ラウザはもう決まったっていうし、どうしたらいいのやら。


「すみません、ヴィリアラ様。兄のパーティーのことで悩ませてしまって」

「いいよ、ニーファは気にしない──」


 いたじゃん、適任。こんな近くに。


「ニーファ、私と来ない? パーティー」

「え、私がですか?」

「うん。もしかして別で呼ばれている?」

「いえ、呼ばれていませんが」

「なら一緒に──あ、ごめん」


 そうだ、ニーファって過去に家で色々あって我が家に来たんだっけ。

 やっと離れられた家族とまた会うなんて嫌だよね。

 配慮に欠けていた。


「いいですよ」

「え?」

「ヴィリアラ様と行きます」

「え、でも、家で嫌なことあったんじゃ……」

「ヴィリアラ様が誘ってきたのですよ」


 ニーファはおかしそうに笑った。


「大丈夫です。ヴィリアラ様がついてくださるのですから」

「……そっか。ニーファが来てくれるなら、私も心強いよ。ありがとう」

「いえ」

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