ぶつけられる気持ち
少し短いです。
私は一人、どうしたらラウザの思いが聞けるかずっと考えていた。
考えて、考えて、考えて、思いついた。
きっと、このことを教えてくれたのがあいつらでなければ、できなかった発想だろう。
「さてと、やりますか」
今日は両親が仕事でいない。つまり、ちょっとくらいハメを外しても問題ない日だ。
「うん、良い天気」
私は曇天の空に杖を構えて、思いっきり振った。
ソルシーがいれば間違いなく文句を言われるほど大きく振る。その代わり、魔法の精度をいつも以上に良くする。
三十分ほどだろうか。ようやく、満足のいく物を創り出せた。
「ふぅ……。ラウザー!」
私は一度深呼吸をして、大声でラウザを呼んだ。風魔法も併用し、我が家の敷地内にいれば皆が聞こえるほどの声で。
十五分ほどして、ラウザが顔を見せた。
私はその顔に向かって、思いっきり雪玉を投げた。
「冷たっ!」
ラウザは顔を拭うと、睨むように私を見てきた。
「ラウザ、雪合戦しよう! 雪玉を相手に当てる。ただそれだけ! 楽しいよ!」
そう言って私はもう一発ラウザの顔に当てる。
「僕はまだ、やるなんて言ってませんよ!」
そう言いながら、ラウザは雪玉を投げた。
私はそれを軽々と躱す。
「でも、やってくれてるじゃん!」
私達は雪玉を投げながら会話をした。
「姉さんが勝手に引き込んだんでしょう! そもそもこの雪、どうしたんですか!」
「魔法で降らせた!」
「お母様がまた怒りますよ!」
「もうこれくらいじゃ怒らないよ!」
「今までやらかしすぎなんですよ!」
「言うほどそんなにやらかしてないよ!」
「やらかしてます!」
「そうかな?」
「そうです!」
しばらく雪合戦を続けていると、ラウザにも笑顔が見え始めた。
今なら聞けるだろう。
「ねえラウザ、教えて! リシアのどこが気に入らないの?」
「存在です!」
これはまた、酷い答えだな。
「例えばどんなところ?」
「だって! あの人がいると姉さん達との時間が減っちゃうから!」
私は雪玉を顔で受けた。
「せっかく久しぶり会えたのに! 三人で話したいこと、やりたいことたくさんあるのに、あの人がいるとそれができない!」
今度は右肩。
「僕は、姉さん達が休みに入った日。それも、全員の予定がない時や夜しか集まれないのに、あの人は学園でずっと姉さん達と過ごせるじゃないか!」
左足。
「もうすぐ十年! 一見すると長い付き合いかもしれない! でも、三人で過ごせるようになったのは二年! たったの二年だ! ……そんなの、簡単にあの人に越されちゃうよ。姉さん達があの人と学園で過ごす時間と、家で僕と過ごす時間。どう考えても、僕の方が短いよ。だからせめて、帰ってきたらたくさん空いた時間を埋めたいって思っていたのに、あの人が来たから。兄弟の時間、無くなっちゃった」
ラウザが最後に弱々しく投げた雪玉は私の胸に当たった。
「気づけなくてごめんね」
私は静かに涙を流しているラウザを抱きしめた。
手は冷たくて、涙は温かくて、嗚咽は苦しかった。
「ごめんね。今回の長期休み、兄弟三人だけは中々難しいかもしれない。でも、私もシスタも、ラウザがリシアを嫌っている姿は見たくない。気まずくなりたくない。我慢してもらうことになっちゃうけど、少しだけリシアのこと頑張ってもらえないかな?」
「せめて」
「うん」
「せめて、夜に一時間でも、寝る前の少しでも、兄弟だけの時間が欲しい。姉さんを姉さんとして接する事ができる時間がほしい」
「うん、作ろう。今回は、シスタに勉強少し我慢してもらおうね」
「うん……」
一度中に入って暖を取っていると、ラウザも落ち着いてきたのか、啜り泣きも収まった。
「紅茶飲む?」
「うん」
ラウザは紅茶を飲み干すと、ほっと息を吐いた。
「落ち着いた?」
「うん。でも、どうせなら姉さんのお菓子が欲しい」
「それを言えるってことは、十分元気になったってことだね」
私はまだ濡れたままの目元を指で拭う。
「姉さん」
「うん?」
「ごめんなさい」
「いいよ。でも、私以外にもちゃんと言ってあげてね」
「うん……」
まだ気分が晴れていないのか、ラウザはじっと空になったカップを見ている。
「よし。ラウザ、少し待っててね」
「お菓子ですか?」
「もっと良いものだよ」
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