各々の顔
誰かが折れれば早く終わる話題なのだが、思った以上に白熱している。
「俺に決まってるだろ! 俺が一番モテてるんだから!」
「君は遊んでいるだけであってモテているわけではない」
「モテ基準なら僕が一番だよ! どれだけの人が僕を可愛がっていると思っているの!」
「アドラは振る舞いを含めてだから、顔単体での評価ではない。それに、ファンクラブが存在する私の圧勝でしょ。私は特に何もしていないんだから」
「僕が増やしたんだから、僕のおかげでもあるんだよ」
「誇るな」
「……埒が開かないな。ここで話していても決着がつかない。第三者に聞くのが最も納得できる答えだ」
王子はシスタとリシアの二人を見る。
「私達が決めるのですか?」
「ちょっと待って! リシアとシスタちゃんじゃ分が悪すぎる! 答えなんて分かりきっているじゃん!」
どうせ私って答えるからね。
「なら誰に聞けば良い」
「あの、皆さん同じくらい顔が良いということではダメなのですか?」
「そう言うけどな、シスタ。お前だってヴィルがしょっちゅうリシアを可愛い可愛い言ってるのを聞いてどう思う? 自分の方が可愛いのにって思うだろ」
「いえ、お兄様は私にもよく可愛いと伝えられるので、そのようなことを思ったことはありません。それに、リシアちゃんは本当に可愛いので」
「じゃあ、リシアはどうなんだ?」
「ヴィリアン様、よくシスタちゃんが一番可愛いって仰っていますので、特には。見た目で恐れられてしまっていますけど、こうして仲良くなると、容姿も性格も私なんかよりずっと可愛いので」
「諦めなネイト。この二人に人を妬むっていう気持ちはないんだよ」
「……どうして俺に寄ってくる女にこいつらみたいなのがいないんだよ」
こいつら言うなこいつら。
「妹の方はまだ相手もいないのだろう。そう言うのなら狙えば良い」
「シスタに手なんて出したらヴィルに殺されるだけじゃ済まねーよ。見ろ、もう剣に手を掛けているぞ」
「お兄様、あまり怖がらせちゃダメですよ」
「大丈夫だよ、シスタ。家には迷惑かけないから」
「こえーよ! なんだその言い方! 俺じゃなくて王子が言ったことだろ!」
「いや別に。まあ、警告と思ってくれたらいいよ」
「君は妹に好きな相手ができても、そんなことができるのか?」
シスタに好きな相手。うっ、考えるだけで頭が!
「お兄ちゃん死んじゃう」
「なら、私はずっとお兄様の側を離れられませんね」
ああ、可愛い。私の為にそんな言葉を紡いでくれるなんて。本当に、役得だよ。ありがとうヴィリアラ、シスタの姉でいてくれて。
「本当にどうやったらこれからシスタみたいな妹が育つんだか」
「これ言うな」
「お兄様はずっと私に優しいですよ」
「ボスはシスタちゃんとリシアには優しいんだよ。僕らなんて雑に扱われているし」
「着飾らなくて良いからだと思いますよ。お兄様は私達の前では立派になろうとしますから」
「でも、どうせなら僕も優しくされたい。僕もシスタちゃんやリシアみたいに撫で撫でしてほしい!」
「うぉっ! 興奮しすぎだチビ!」
アドラはネイトの前に乗り出して、私に顔を近づける。
「はぁ、面倒くさいな」
私は早く満足してほしいのもあり、アドラの頭を撫でる。
「そう言いつつやってくれるからやっぱりボスって甘いよね」
「やめても良いんだよ?」
「続けてください」
「はぁ」
いつになったら満足してくれるのやら。
「……ていうかよ、いつの間にか話題逸れていたけどよ、元は誰の顔が一番良いかって話だったよな」
「それは僕の顔が一番ってことで決着つかなかった?」
「記憶障害が起こってるよ。今すぐ医務室に行っておいで」
「酷い! ほんの冗談なのに!」
「まあまあ。せっかくだ、俺達だけでなく、リシアとシスタ、どっちが可愛いかそれぞれの意見も聞こうじゃないか」
それ絶対本人達の前で言うことじゃないから。
「ヴィルはどっちだ?」
「なんで私が一番最初なの」
「そりゃ答え分かってるのお前だけだからな」
じゃあ聞かなくて良いでしょ。てか、アドラはいつになったら満足するの?
「はぁ。二人はこんな話されても良いの?」
「悪口ではないので」
「リシアちゃんが良いなら私も特に反対する理由はありませんね」
悪口に毒されてるよ、二人とも。
「まあ、許可が出たということで。皆さんご存知の通り、私はシスタだけど」
「だよな。俺はリシアだな。チビは?」
絶対こいつは胸だろ。
「まあ、関わる機会の多さとかも関係していると思うけど、リシアだね」
あと一人、逃げられると思うなよ。
「……妹の方だ」
「へー、なんでだ?」
妹だからだろうね。
「理由などない。あったとしても、言う必要はない」
「またそれかよ。しっかし綺麗に割れたな。……よし、これを機に全員好みのタイプを教えろ!」
結局恋バナかい!
こんな話してますがもうすぐ終わります。五話以内にはたぶん絶対おそらく。




