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シスタ・ロジャー②

シスタ視点です

 朝の日差しで起きて自分で支度をしていると、お姉様のお付きのメイドさんがやってきました。


「ヴィリアラ様の容態がよくなりましたので、ヴィリアラ様の家庭教師がいらっしゃるまでシスタ様とお会いさせて良いと、旦那様と奥様から許可を頂きました。お会いしますか?」


 まだ夢の中だと思いました。

 この部屋から出られるだけでなく、お姉様と会えると言われたのですから。


「それは、本当ですか? ここから出てお姉様とお会いしてよろしいのですか?」

「はい。そう聞いております」

「あ、会います! 会わせてください!」

「かしこまりました。では、ヴィリアラ様の支度もございますので、お呼びするまでしばしお待ちください」


 メイドさんがいなくなって、私はすぐに髪に取り掛かりました。まだ髪を結んだりすることはできませんが、お姉様と会えるのです、少しでも身なりに気をつけたいと思い、いつも以上に櫛を通しました。


「お姉様が喜んでくれたら嬉しいです」


 鏡で全身をチェックして、変なところがないかを見ていきます。


「大丈夫ですよね?」

「はい、大丈夫です。とても可愛らしいですよ、シスタ様」


 うっかり零してしまった言葉をお姉様のメイドさんに聞かれてしまい、少々恥ずかしく思いました。


「あ、えっと」

「準備が整いましたのでお迎えにあがりました」

「あ、ありがとうございます」


 まだお姉様は来ていらっしゃらなかったので、見た目を気にしながら少し待っていると、どこか上の空なお姉様がやって来ました。

 私は目の前に現れたお姉様に対して少々舞い上がってしまい、上擦った声で挨拶をしました。


「お、お姉様、おはようございます」


 久しぶりのお姉様は変わらなくて、側にいられることがとても幸せで、ずっとこの時間が続いてほしいと思いました。

 ですから、お側にいられる書物室に行き、ずっとお姉様の声が聞けるよう、無茶だとは思いましたが大きな本を読んでほしいなど、いつもは叶えられない我儘をお姉様にお願いしました。それをお姉様は嫌な顔一つせず、笑顔で聞いてくれました。

 そんな優しいお姉様との一時も、いつかは終わりがきてしまいます。


 お姉様の家庭教師が既に待っているようで、お姉様と別れなければならなくなりました。

 お姉様は必死に行きたくないと訴え、メイドさんはそれに困り顔を浮かべていました。私もお姉様とずっと一緒にいたいですが、そんな私の我儘で迷惑をかけるわけにはいきません。

 ですから私は、お姉様を自分ができる最大限の方法で見送ることにしました。


「お姉様、お勉強頑張ってください」


 そんな私の言葉に、お姉様はいつもの笑顔で


「うん。頑張る」


 と応えてくださいました。


 これで今日はお姉様と会えなくなると思うと少し悲しくなりました。

 けれど、お姉様はそれ以外にも与えてくださいました。

 よくお姉様が読んでくださった物語に出てくる口付けというものを。

 あまりの出来事でその場では何も言えず、その後も何も言えませんでした。けれど、とても嬉しかったという感情は確かなものです。

 もう一度してほしいと思いましたが、あの日以降、お姉様が別れ際に口付けをしてくださることはありませんでした。


 そして、いつのまにか王子様の誕生日パーティーの日になっていました。

今日中にあと一話投稿する予定です

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