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幼い姉

 なんとなく分かっていたよ。でもさ、もうそろそろやめない? 着せ替え人形でいるのも大分疲れてきたよ。この体まだ鍛える前の体だし、いつもの感じで考えられていると倒れるよ。そもそもどんだけ私の服用意してたの。これ全部着る前に私成長するでしょ。


「これも可愛いな!」

「こちらも中々。ヴィリア、これ持ってください」

「あの、いつまで……。そろそろ戻りましょうよ」

「あともう少しですから!」 

「ヴィリアラが着なかった服を今日一日でできるだけ報わせてあげなければな」


もう十分報わせたと思うよ。だからもうやめにしてほしい。

ほら、ニーファもずっと私を着替えさせているせいで疲れが見え始めてるじゃん。


「シスタに会いたい……」


結局、百着ほど着替えさせられてようやく解放された。


 シスタ達の待つ部屋に戻り、ようやく両親に事情を話せる、というか話させる段階にこれた。


「では、聞きましょう」

「はい……。実はですね──」

「小っちゃい姉さんがいるって本当⁉︎」


別に私はもう全部知ってるんだから、話を引き延ばすお約束なんていらないんだよ!


「ラウザ、挨拶もなしに入ってくるなんてはしたないですよ」

「あ、すみません、つい。姉さんが幼くなって帰ってきたって聞いて」


ラウザは私を見つけると、目を輝かせた。


「もしかして姉さん⁉︎ わー! 僕女の子みたいな姉さん初めて見た! 可愛い!」


なんだろう、すごく複雑。


「僕も姉さん抱っこしたい!」

「え、いいけど落とさないようにね。今のお姉様は普通の五歳の女の子だからね」

「大丈夫です!」


ほ、本当に大丈夫だろうね? 


「ラ、ラウザ、そーっとだよ、今の私そんなに頑丈じゃないから、ぎゅってしちゃダメだよ」

「もう、分かってるって」


ああ、安心と信頼のシスタの手が離れていく……。


「ほら! 平気でしょ! それにしても姉さんすっごくあったかい! それにもちもちしてる!」

「ラウザ、今から大事な話がありますので、静かにお願いします」

「はい、すみません」


 ラウザは空いている席に座ると私を膝に座らせた。静かにしなきゃいけないこの空間を逆手に取り、思う存分幼女の私を堪能している。


「──ということでして。本当に申し訳ありません」

「話は分かった。それにしても、そうか、一週間か……。一週間経ったら戻ってしまうのか……」


あれ? ヘイマイファザー、それどういう意味ですか?


「ちなみにその薬を譲ってもらうということは可能なのか?」

「え、いや〜、それはちょっと……。作るのにお金も時間もかかる物なので。お金を出されてもちょっと今は渋りますね〜」

「そうだよな、これほどの完成度だ、簡単な代物のはずがない。気にしないでくれ」

「お父様、一体何を考えているのですか?」

「気持ちは分かります。ヴィリアが女の子でいてくれる期間は短かいものでしたから」


今も見た目以外はちゃんと女の子ですけど⁉︎


「私傷ついちゃいますよ」

「別に今のヴィリアが嫌というわけではないのですよ。今のヴィリアにはまた違う良さがありますから。ですが、やはり昔のヴィリアを恋しくも思ってしまうのです。昔のまま成長していたら、ヴィリアはどのようになっていたのでしょうかと」


悪役令嬢になっているよ。


「僕も男装していない姉さん気になるな。姉さんはどうなっていたと思う?」


私の見た目に引っ張られていつもと違ってタメ口だよ。そんなちょっと抜けてるところがラウザの愛おしいところだけどね。


「とりあえずソルシーと教官には会えていない」

「酷いです!」

「あと──」


ラウザは生まれていない。けど、そんなこと言えるはずない。


「どうしたの?」

「料理も剣術もしていないから、今よりかはラウザとは仲良くなれていないかもね」

「それは嫌だ! 姉さんのケーキ食べれなくなるなんて、僕は耐えられない!」

「そっち⁉︎」


お姉ちゃん的には仲良くの方に反応してほしかったよ。うう、割とショック。


「もちろん、姉さんと仲良くなくなるのも嫌だよ。でも、姉さんは絶対僕と仲良くしようと頑張ってくれるから」


ふっ、なんて可愛い弟なんだ。見習えアドラ、これが可愛い男の子だ。

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